宝塚大劇場雪組公演 グランド・ミュージカル『蒼穹の昴』

樽井美帆です

 

雪組公演 グランド・ミュージカル『蒼穹の昴』

が、宝塚大劇場にて10月1日(土)から11月7日(月)まで、

東京宝塚劇場では11月26日(土)から12月25日(日)まで上演されました。

 

 

グランド・ミュージカル『蒼穹の昴』

~浅田次郎作「蒼穹の昴」(講談社文庫)より~

脚本・演出/原田 諒

 

19世紀末、清朝末期の中国・紫禁城を舞台に繰り広げられる浅田次郎の大ベストセラー小説

「蒼穹の昴」初の舞台化。

激動する時代の流れの中で、懸命に運命に抗い力強く生きる人間たちの勇気、そして希望。

梁文秀の鮮烈なまでの生きざまを主軸にし、ドラマティックに華やかに描いた

超大作歴史ミュージカルです。

 

また、雪組トップ娘役・朝月希和さんの退団公演でした。

 

 

客席に入ると下手の花道には赤、上手の花道には黒の龍が2匹ずつ描かれたセット。

そして朱色の門をイメージしたセットが目に入り、中国の雰囲気が漂っていました。

 

また、大がかりなセット転換が多く、とてもダイナミックで迫力がある舞台でした。

 

大階段に赤い布を敷いて表現した紫禁城のセットが豪華で美しい!

娘役さんの衣装も豪華でしたので、煌めく照明に照らしだされると眩かったですね✨

 

雪組『蒼穹の昴』1

 

男役さんが演じる役は、地位によって刺繍の柄や帽子の羽根の本数が異なり、

豪華な刺繍も見どころの一つでした。

歴史に忠実に作られたそうです。 

 

彩風咲奈さんによる開演アナウンスの後、舞台も客席も真っ暗となり暗闇の中、

占い師・白太太を演じる京三紗さんの声が響き渡り物語がスタート。

 

彩風咲奈さんが演じたのは梁文秀。

河北・直隷省静海県、梁家屯の地主の次男。

光緒12年の科挙に状元(首席)で合格し進士となりました。   

 

地面すれすれまでの丈のある衣装がスラリとした彩風咲奈さんにとてもお似合いでした。

人々に向ける彩風咲奈さんのいつも優しい目。

特に朝月希和さん演じる李玲玲と手をつないで、優しくのぞきこむ眼差し。

玲玲は妹的な相手なので、頭を優しくポンポンとして安心させる愛情いっぱいの文秀でした。

 

文秀に都へ行こうと言われこっくりうなずく可愛い玲玲。

スポットライトに照らされる中、手をつないで舞台の後ろへ去るお二人の後ろ姿は

神々く感動的な美しさでした。

 

朝月希和さんが演じたのは李玲玲。

朝美絢さん演じる春児の妹。

両親を失い文秀に助けら妹のように可愛がられています。

 

朝美絢さんとともに子役から演じられました。

貧しい農民の子ということでお顔も服も汚れているのですが、瞳がキラキラしていて

とても可愛かったです。

 

健気な姿、キレイな声、玲玲の美しさがにじみ出ているように感じました。

衣装の雰囲気も伴って天女のような清らかさでした。

 

 朝美絢さんは、梁家屯の貧しい農民の子・李春児。

「その手にあまねく財宝を手にするだろう」という白太太の占いを頼りに都へと上ります。

 

朝美さんが自分のことをオイラと言うのが可愛かったですね。

子どもながらに一生懸命に生きている姿に感動。

可愛い声で伸びやかな歌声を聞かせる子役から、気迫の京劇まで。

朝美絢さんが演じられる役の幅に、毎回感動してしまいます。

 

彩風さん演じる文秀と朝美さん演じる春児が二人で本心を語り合う場面で見せた春児の涙。

春児があまりにキレイな涙を流しながら泣くので、思わずもらい泣きしてしまいました。

 

雪組『蒼穹の昴』2

 

和希そらさんは順桂を演じられました。

満州旗人。

光緒12年の科挙に榜眼(次席)で合格した進士。

 

和希そらさんのいい声からは順桂の知性が伝わってきました。

公演ごとに和希さんの声が低く太くなっているような気がしてしまいますが、

本当によく響くお声ですよね。

銀橋でのソロが圧巻でした。

 

光緒帝を演じたのは縣千さん。

豪華な紫禁城のセットで、側妃である珍妃・音彩唯さんにばかり話しかける姿が可愛かったです。

光緒帝の愛を一心に受ける珍妃。

音彩さんの可愛すぎる姿から納得でした。

 

専科の凪七瑠海さんは、李鴻章。

科挙出身の漢人将軍。

内乱を平定し直隷総督となり、西太后の信頼を得て洋務運動を進める人物です。

 

ポスターでは貫録たっぷりなお姿でしたので、少し怖い雰囲気の人物かと思っていたのですが、

時間きっちり守る少々コミカルな人物を緩急自在に演じていらっしゃいました。

軍服姿もカッコよかったですね~💖

そして誰をも魅了する貫録が凪七さんからあふれていました。

 

この公演には、専科から6名の方々が出演されていました。

最近の公演ではとても珍しいですよね。

 

汝鳥伶さんは、日本の初代内閣総理大臣・伊藤博文。

ビジュアルの再現率が高すぎて驚いてしまいました!

2008年の宙組公演『黎明の風』では吉田茂を演じていらっしゃいましたが、

この時も吉田茂にしか見えませんでした。

パレードにも伊藤博文の姿で登場された汝鳥さん。

シャンシャンを持つ伊藤博文の可愛らしさにほっこりしました。

 

一樹千尋さんは西太后。

周囲を圧倒する絶対的な存在感。

少々怖いお顔、豪華な衣装と髪。

心から国を思う愛溢れる歌声が心に残っています。

 

楊喜楨を演じられた夏美ようさん。

光緒帝の学問の師でもあり、文秀たちの才覚を見出した大学者。

 

若者たちから先生と慕われる包容力と寄り添い力。

国を思う気持ち、先を読むことができる目。

 

一樹さん演じる西太后と夏美さん演じる楊喜楨、国を思う二人の場面のお芝居の深み。

息をすることも忘れて見入ってしまいました。

 

安徳海を演じた天月翼さん。

前任の大総管で、失脚ののち盲人となり、廃寺で暮らしている老人なのですが、

特殊メイクなのかと思ってしまうほどにインパクトがあり、思わず見入ってしまいました。

 

実直を体現された譚嗣同を演じた諏訪さきさん。

丸メガネで自信なさげな人物が見せた強さと愛に、胸が苦しくなりました。

 

眞ノ宮るいさんが演じられた黒牡丹は、春児の京劇の師匠。

命を削って春児に京劇を教え、迫力ある京劇を演じる姿はダイナミックで

目が離せないほどのオーラがありカッコよかったです💕

 

文秀・彩風咲奈さん、玲玲・朝月希和さん、春児・朝美絢さんが

三人で明日への希望を歌う壮大なナンバーはとても感動的。

 

舞台セット・曲・三人の笑顔が美しいダイナミックなラストシーン。

 

玲玲・朝月希和さんにさんに『離れるな』という言葉をかける文秀・彩風咲奈さんの優しい笑顔。

涙を流しうなずき、心から文秀を信頼している玲玲の姿が美しかったです。

 

雪組『蒼穹の昴』3

 

感動のラストシーンに浸っていると、和希そらさんが赤色の変わり燕尾で登場し

フィナーレがスタート✨

 

一本立ての作品なので時間的には短いフィナーレなのですが、

そう感じないほどたたみかけてくる豪華なフィナーレで大満足でした!

 

雪組『蒼穹の昴』4

 

彩風咲奈さん・朝月希和さんトップコンビによる最後のデュエットダンスは、

お二人が手をつないで大階段をおりこられてスタート。

この公演で退団された羽織夕夏さんの美しい影コーラスが響き渡ります。

大階段が青く煌きます。

最後は彩風さんにおいでと手をのばしてもらって朝月さんは銀橋へ。

幸せいっぱいのラストダンスに涙があふれました。

 

雪組『蒼穹の昴』5

 

雪組トップ娘役・朝月希和さんは、クリスマスの日、

12月25日の東京宝塚劇場千秋楽をもって退団されました。