宝塚バウホール 星組公演 Bow Workshop『Stella Voice』
宮村裕美です
宝塚バウホールにて
4月1日(土)~4月9日(日)まで上演されました
星組公演
Bow Workshop
『Stella Voice』
構成・演出は中村一徳さん。
この公演は天華えまさん率いる、
星組の若手メンバー17名による歌唱を中心としたワークショップ作品です。
最上級生は、98期生の天華えまさん。
最下級生は107期生の碧羽陽さん・世奈未蘭さん・詩花すずさん・藍羽ひよりさん。
宝塚歌劇の歴史を彩ってきた
名曲やミュージカル曲など、
宝塚やミュージックが好きな皆さんが
一度は聞いたことがある楽曲が数多く披露され
出演者の皆さんの魅力的な歌声はもちろん、
華麗なダンスナンバーなどまさにフレッシュな公演となっていました。
舞台上にはオーケストラの方がいらっしゃり
生演奏でのパフォーマンスということで、とても伸びやかな歌声が客席に響いていました。
幕が開くと、すでに出演者の皆さんが
舞台上にいらっしゃり
中央にいる天華さんにスポットライトが当たるところからプロローグが始まります。
この公演のテーマ曲ですが、爽やかかつ軽快で
覚えやすいリズムというのもあり
一度聴いたら頭から離れない、何度もメロディが頭の中で回る素敵な歌詞と曲調です。
そんな元気いっぱいのプロローグの後は、
舞台上でコートを羽織られた天華さんが
『ME AND MY GIRL』より
「街灯によりかかって」を披露されます。
警官役として男役さんが
おひとり登場されるのですが、なんとこれは日替わりだったそうです。
ビルのチャーミングさと軽快さが、
天華さんの伸びやかな歌声と相まって
上品ながらも茶目っ気のある愛らしいビルでした。
そして、1幕・2幕と通して
様々な曲やメドレーが歌われる中
ソロ歌コーナーでは、お一人ずつ
皆さんがご自身で選ばれた1曲を披露されました。
『THE SCARLET PIMPERNEL
(スカーレット ピンパーネル)』より
「あなたを見つめると」を歌われたのは、二條華さん。
切ない気持ちが歌声に乗り、
まさに心にストレートにささる
透明感の中に芯の強さを感じる歌声でした。
この曲の他にも、天華さんとデュエットされた
「愛するには短すぎる」では、おふたりの
相性ばっちりの魅力的な歌声はもちろん
天華さんの包容力と二條さんの寄り添い力と
夢のような甘い空間が広がっていました。
『アナスタシア』より
「過去への旅(Journey To The Past)」
を歌われたのは、紅咲梨乃さん。
紅咲さんの凛とした歌声や表情と、
『アナスタシア』の公演内で歌われた歌詞と
少し歌詞が違うというのも相まって
より自分の道を切り拓いていくという未来に続く明るい歌声でした。
『ノートルダムの鐘』より
「僕の願い」を歌われたのは、鳳真斗愛さん。
空気をたっぷり含んだような伸びやかな歌声は
どこまでも響き、ラストに近づくにつれて
さらに歌声がより深く響き、
心情が強く表れた表情と鳳真さんのお芝居力に一瞬にして惹きこまれた一曲でした。
『ひかりふる路(みち) 〜革命家、
マクシミリアン・ロベスピエール〜』より
「ひかりふる路 A passage Through The Light」を歌われたのは、紘希柚葉さん。
若々しくフレッシュさがありながらも
あたたかな歌声からは求心力が感じられ、
その姿には民衆を率いるロベスピエールが見えました。
また、この公演を通して客席に向ける優しい笑顔も魅力的でした。
『ロミオとジュリエット』より
「僕は怖い」を歌われたのは、羽玲有華さん。
登場され、一節歌われた瞬間から「ロミオだ…」
と思うほど歌声や表情には
今にも恐怖に押しつぶされそうな
不安な気持ちがつまっているのですが、
低音から高音にかけてのなめらかな音の運びや
響きなど一曲を通して物語が感じられる歌声でした。
『パパラギ』より「心はいつも」を歌われたのは、星咲希さん。
しっとり広がる美しい歌声と、
女神のような優しい微笑みと
その場が一瞬で癒しの空間に包まれる優しい歌声でした。
『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』より「バラ色の人生(ムケーシュの歌)」を歌われたのは、碧音斗和さん。
礼真琴さんの要素を感じる厚みのある響きに
色気たっぷりで客席中の視線を自然と奪う
余裕のある仕草や歌い方がかっこよく
ドラマティックで情熱的な歌声でした。
星組メドレーでの「レビュー・オルキス」など
一瞬でその場を自分のものにしてしまう
圧倒的な歌声に、碧音さんの更なる成長が楽しみになりました。
『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』より「Compass of Your Heart」を歌われたのは、世晴あささん。
陽の明るさを含んだ元気な歌声が
真っ直ぐと響き、はじける笑顔と相まって
まるで太陽に照らされているような暖かさを感じる1曲でした。
MISIAの「オルフェンズの涙」を歌われたのは、
稀惺かずとさん。
比較的高い音が多い曲というのもあり、
男役としての歌声というよりかは
ナチュラルに歌われていましたが
ぶれることのない音程に
自然な強弱やビブラートなど
誰が聞いても虜になる魅惑的な歌声でした。
また、ナチュラルな歌声に反して
歌っているときの視線や
ポケットに手を入れるなど
男役としてのキザな仕草もスマートでかっこよく
スター性や華を実感しました。
『THE SCARLET PIMPERNEL
(スカーレット ピンパーネル)』より
「ひとかけらの勇気」を歌われたのは、大希颯さん。
ダイナミックな歌声に堂々とした姿と、
より大きな姿が大きく感じ
表情含めて全身で歌っている姿が印象的な歌声でした。
『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』より
「蒼氷色の瞳」を歌われたのは、瞳きらりさん。
髪形や音の置き方など、実咲凛音さんへの
リスペクトが感じられ
一つ一つの言葉を丁寧に歌われる澄んだ歌声が魅力的でした。
また、歌詞に合わせてはもちろん、
芸名でもある“瞳”に強い意思が感じられる
きらめく瞳も印象に残っています。
『落陽のパレルモ』より
「ロザリオの祈り」を歌われたのは、彩紋ねおさん。
余裕のあるゆったりとした歌声が安定しており
広がるように響きわたるラストの高音も美しい歌声でした。
『ポカホンタス』より
「カラー・オブ・ザ・ウィンド」
を歌われたのは、碧羽陽さん。
落ち着いた歌声は艶っぽく美しく
心に語り掛けてくるような深い響きがありました。
爽やかな笑顔の中にはかっこよさを含み
凛々しくも美しい笑顔が素敵でした。
『エクスカリバー』から「未来へ」
を歌われたのは、世奈未蘭さん。
深い響きが魅力的ながらも、
ふんわりと広がる歌声は包容力があり
光が前方に広がっていくような輝きを感じました。
『ME AND MY GIRL』より
「顎で受けなさい」を歌われたのは、詩花すずさん。
跳ねるような明るい歌声に、歌詞に合わせて
お顔のパーツをギュッと中央に寄せて
にが~い顔をしてからの笑顔が可愛らしく
等身大の姿がとびきりキュートでした。
『モーツァルト!』より
「ダンスはやめられない」を歌われたのは、藍羽ひよりさん。
登場されてきたときから
すでに表情・まとう空気感が
コンスタンツェそのもので、そのオーラに心を奪われました。
上品さがありながらも美しく鋭く、
それでいて儚さを兼ね添えており
内からにじみ出る強いパワーが瞳に宿り
美しくも力強い歌声が印象的でした。
ソロ歌コーナーの他には、
初舞台を踏まれた公演から1曲歌われる
初舞台公演メドレーや星組メドレーなど、
客席も一緒に盛り上がることのできる
楽しい楽曲が次々と歌われました。
その他には、天華えまさんを中心に
出演している娘役の皆さん7人全員が
それぞれ天華さんと踊られる
「Lady Dreamer」。
娘役の皆さんが天華さんと踊られる際に
心から幸せそうに微笑まれる姿が本当に尊く、
天華さんの優しい笑顔が輝いていました。
2幕の始まりは、コンテンポラリーダンスです。
真っ黒な舞台上から2幕が始まり、
天華さんが何者かに追われ、逃げる・・・
というダンスなのですが、
照明や音楽なども少し独特な世界観で
これまでの宝塚ではあまり見たことのない
新鮮なジャンルのダンスでした。
天華さんを含めて周りで踊る皆さんも
最初は靴を履いているのですが、
途中から裸足で全力で踊られ、
強く訴えかけてくるものがありました。
男役皆さんが黒燕尾で踊られる群舞では、
背中で魅せる振り付けや決めポーズなど
天華さんの男役の美学が感じられる
一つ一つの振りがかっこいいのはもちろん、
踊っている瞬間だけではなく
踊りと踊りのちょっとした間など
どの瞬間も余裕が感じられるのに、隙のないかっこよさが印象に残っています。
天華さんが踊りつつ、周りの皆さんと
アイコンタクトを取る瞬間からは
天華さんへの熱い信頼関係が見え
かっこよくもあたたかな空気感があふれる男役群舞でした。
MCコーナーでは、天華さんと
出演者から2名が日替わりで登場され
この公演にてより星組の若手メンバーの皆さんに詳しくなられた方も多いのではないでしょうか。
まさに17名の星たちが輝く魅力いっぱいの公演でした。