宝塚大劇場月組公演『応天の門』-若き日の菅原道真の事-・『Deep Sea-海神たちのカルナバル-』

樽井美帆です

 

月組公演

平安朝クライム『応天の門』-若き日の菅原道真の事-

ラテン グルーヴ『Deep Sea-海神たちのカルナバル-』

が、宝塚大劇場にて2月4日(土)から3月6日(月)まで上演されました。

東京宝塚劇場では3月25日(土)から4月30日(日)まで上演されています。

 

この公演で、組長の光月るうさん・千海華蘭さん・朝霧真さん・清華蘭さん

結愛かれんさん・花時舞香さん・蘭世惠翔さんが退団されます。

 

 

平安朝クライム『応天の門』-若き日の菅原道真の事-
原作/灰原 薬「応天の門」(新潮社バンチコミックス刊)
脚本・演出/田渕 大輔

 

原作は、灰原薬さんが月刊コミックバンチで連載中の同名漫画。

平安初期の京の都。

学問の神様と称される菅原道真と、平安の色男・在原業平が手を携え、

都で起こる怪事件を次々と解決していく様を描く歴史サスペンス。

京の都では、月の子の日に「百鬼夜行」が通りを闊歩し、

その姿を見た者を取り殺すという怪事件が頻発していました。

幼い頃から秀才との誉れ高き文章生・菅原道真は、ひょんなことから知り合った

検非違使の長・在原業平に怪事件の捜査に協力するよう頼まれます。

唐渡りの品を扱う勝気な女店主・昭姫らの協力のもと、道真は真相に近付いていくのでした。

 

笛の音にのせて月城かなとさんの開演アナウンスが終わると、

舞台には月が輝き、藤色の衣装の在原業平役の鳳月杏さんが雅な佇まいで登場されます。

 

月城かなとさん演じる菅原道真と鳳月杏さん演じる在原業平の出会いからスタート。

 

門の上で月あかりのもと書物を読む菅原道真。

大きな月を背に登場する月城かなとさんがカッコイイ🌙

一瞬にして消える演出もカッコイイ🌛

今回の公演では、音楽と照明の見事なタイミングに何度も感動しました。

 

梨花ますみさんのナレーションで、平安京の街が映像で紹介されます。

客席に座っている私たちが街の中に入っていくような映像でしたね。

 

木の香がするような大きなセットが印象的。

装置を担当されたのは大橋泰弘さん。

最近は装置監修をされていましたが、今回久しぶりに装置を担当されました。

 

美しい衣装を担当されたのは『桜嵐記』・『Dream Chaser』でデビューされた薄井香菜さん。

お一人お一人の衣装が美しいのはもちろん、大勢集まった時の全体としての色彩の美しさや、

優しい色合いがとても雅でした。

 

月城かなとさんが演じられたのは、秀才と誉れ高き学生で学者揃いの菅原家の三男・菅原道真。

いつもより高めの声で演じることによって、若々しい道真を息づかせていらっしゃるように感じました。

 

未来の自分、なりたい自分、未来を見つめて笑顔で銀橋でソロで歌う月城かなとさん。

月城かなとさんのチャーミングなえくぼが若々しい道真にピッタリでした。

 

腕を組んで顎を上げ気味にし、その鼻先で人を見る道真。

その様子から、人が見えていないものや人がまだ気づていないこと、

人の何歩も先の景色が見えている雰囲気が漂っていました。

 

海乃美月さんは、唐渡りの品を扱う唐人の女店主である昭姫。

天女のような衣装がをまとった海乃美月さん演じる昭姫は、

目線や手の動き、指先までとにかく仕草が美しい✨

そして気が強くて周りから信頼され慕われるカッコ良さも兼ね備えています。

道真に「食えない坊ちゃんだよ!」という言葉をよく言うのですが、

言うたびに言い方が変わり、込められた昭姫の気持ちが変わっていく心の動きが伝わってきました。

 

月城かなとさん・海乃美月さん、二人のお芝居の心地よさと声の質感は

いつもとても心地よいですね。

 

月組『応天の門』2

 

検非違使の長である在原業平・鳳月杏さん。

色男として名を馳せる業平。

歩くだけで、目が合うだけで虜にしてしまう色気💗

頼もしく軽やかなふるまいは、誰もが惹きつけられる業平です。

 

藤原基経は風間柚乃さん。

何を考えているか分からない怖さが漂っていました。

黒い衣装と真っ赤なな口紅が、基経の野心をより強く表していたように感じます。

苦しい胸の内を歌った歌声は切なく響き渡りました。

 

年若き天皇清和帝を演じられたのは、この公演で退団される千海華蘭さん。

入団17年目の千海華蘭さんが宝塚の舞台で最後に演じられたのは

13歳の幼い帝。

声もしぐさも歩き方もかわいく、表情もまさに13歳。

眉毛をハの字にして懸命に帝であろうとする姿に感動しました。

これまで酔っ払い、ひげもじゃの男性、懸命に主人に従う男性など、

いつも一目では千海華蘭さんだと分からないほどの見た目の変貌ぶりと幅広いお芝居。

数々の感動をありがとうございます。

 

月組『応天の門』3

 

基経の手下である黒炎を演じた朝霧真さんもこの公演で退団されます。

暗い場面で黒い衣装、目だけが出るようにお顔も忍者のように布で包まれているにもかかわらず、

隠せないカッコいいオーラが放たれていました✨

 

彩みちるさんは、菅家の女房白梅。

動きや表情、ちょっと発するセリフではない声がとても可愛らしく、

舞台のどこにいても目で追ってしまいました。

 

藤原常行を演じたのは身長178㎝の礼華はるさん。

烏帽子も被るとさらに大きく見えました。

スラリとした美しい姿と落ち着いた声が魅力的でした。

 

この公演で退団される結愛かれんさんは、舞師の大師。

どこにいても目を惹く美しくチャーミングな結愛かれんさん。

金髪で妖艶な姿で登場。

目元や視線も美しい✨

白い鳥のような衣装で帝の前で舞う姿がとても美しくダイナミックで、

千海華蘭さん演じる清和帝も『うわぁ~!』とうれしそうでしたね😍

 

道真の学友である紀長谷雄は彩海せらさん。

眉毛を下げて困っている表情と、道真大好きオーラを放っているのに

素っ気なくあしらわれてしまう姿がかわいかったです。

 

月組『応天の門』1

 

スキンヘッドの昭姫のお店の用心棒である大拙を演じたのは身長180㎝の大楠てらさん。

眉毛も消して、お髭もとてもリアル。

一見怖い雰囲気なのですが、目がかっこいい💕

大楠てらさんは、宝塚音楽学校の入学式で

「背の高さを生かして客席を包み込んでしまうような包容力のある男役になりたいです。」

とお話しされていました。

今回の大拙は、そんな思いにまた近づいた役となったのでしょうか🤩

 

道真の亡き兄・吉祥丸を演じた瑠皇りあさん。

道真の幼少期を演じた一乃凜さん。

お二人の美しくかわいい姿とあどけない真っ直ぐで美しい歌声が胸に響きました。

 

藤原多美子は花妃舞音さん。

最強の妹役者さんではないでしょうか?

声がかわいい!

世の中を何も知らない純粋なかわいさと優しさ!

兄の藤原常行・礼華はるさんが必死に守るのも納得ですね。

 

ラストシーンは、満開の梅の花と静かに輝く月の映像を背景に銀橋で歌う道真・月城かなとさん。

舞台上には主な登場人物と鬼たち・・・

ジャジャン!とオーケストラの音が鳴り響くと一瞬赤いライトで舞台が照らされ暗転。

宝塚歌劇の公演では珍しい、かっこいいカットアウトな閉幕でした。

 

 

ラテン グルーヴ『Deep Sea -海神たちのカルナバル-』
作・演出/稲葉 太地

 

久しぶりの月組によるラテンショーは海底で繰り広げられるカルナバル!

開演前から波の音や海のセットにワクワクしました。

 

月城かなとさんの低音でカッコいい「ダイブ」という声に続いてジャパーンと飛び込む音。

この公演で退団される組長の光月るうさんのアナウンスとともに海の底深くへと

潜っていく映像が映し出されます。

 

暗闇から一気に照明がつくチョンパのオープニング。

フリフリキラキラの衣装を身に着けたみなさんが銀橋、舞台、花道にズラリ。

上着の袖、スカートやパンツの裾がボリュームたっぷりのフリフリ。

男役さんの衣装の肩には、魚のヒレのような装飾。

元気でノリノリ、力強いプロローグ。

深海で繰り広げられる海神たちのカルナバルのスタートです!

 

月組『Deep Sea』1

 

クラゲの映像が映し出される中、ラベンダー色の衣装・白いターバンで登場するのは

鳳月杏さんの吟遊詩人。

カルナバルを一緒に楽しむ素敵な女性を求めさまよっています。

グリーンの衣装のマーメイド・海乃美月さんが登場し、

最初はセクシーな雰囲気ですが、ミラーボールが輝きクールなクラブへ。

ラベンダー色の衣装とターバンをとって、黒い衣装になった鳳月さんが

とってもカッコよかったです💖

 

娘役さんに囲まれる月城かなとさんという場面、月城かなとさんにとってもお似合いですよね。

今回は6人娘役さん扮する素敵な真珠たちに囲まれて登場。

今回の公演で退団される結愛かれんさん・蘭世惠翔さんも真珠として

清楚で美しい輝きを放っていらっしゃいました。

真珠の女王・海乃美月さんはキリッとした凛々しい輝きを放つ真珠。

衣装の上下が分かれたアラビア風の衣装がよくお似合いになりますね。

 

暗闇の中に淡く光りが灯る秘密の花園

海神S・月城かなとさんと絶世の美女・鳳月杏さんが愛を交わします。

鳳月杏さんの美しいドレス姿😊

歌手・風間柚乃さんの歌声は力強さもありながら、高音は美しく響き渡っていました。

 

月組『Deep Sea』2

 

燭台を手にした海の女神・海乃美月さんがレクイエムを捧げ、

カルナバルもまもなく終わり・・・

 

海底からマントルのエネルギーが吹き出し、舞台が赤く染まる中、

打楽器の音が激しいリズムを刻みます。

金色にまばゆく輝くマントルの王・月城さんが登場し、みんなを率いて明るく輝く舞台で

激しく歌い踊ります。

総踊りもコーラスも命の力強さを感じる迫力でした!

 

ロケットが『ディープシー』という掛け声で終わると幕が開き大階段が登場。

パールの装飾が施されたブルーの衣装の月城かなとさんが白い衣装の娘役さんに囲まれています。

月城かなとさんは、娘役さんに囲まれるて大階段を下りてくる場面が似合いますね。

ベサメムーチョで踊ります。

男役さんが加わりオラオラなダンス。

男役群舞の最後は、銀橋でも熱いオラオラなダンスを繰り広げました🔥

 

月城かなとさん・海乃美月さん、トップコンビのデュエットダンスは、

黒いキラキラの衣装で。

月城かなとさんは大階段から登場、海乃美月さんは右手花道からのせり上がりで登場。

キビキビとした振付がカッコいい情熱的なタンゴでした。

 

エトワールは、桃歌雪さん・天愛るりあさん・白河りりさん・きよら羽龍さん・咲彩いちごさん、

5名の娘役さんの役替わりというとても珍しいものでした。

 

パレードでもまだまだ終わらないカルナバル!

熱くかわいく元気なショー、パワー充電させていただきました。