宝塚大劇場宙組公演アクション・ロマネスク 『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』
樽井美帆です
宙組公演
アクション・ロマネスク『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』
が、宝塚大劇場にて3月11日(土)から4月17日(月)まで上演されました。
東京宝塚劇場では5月6日(土)から6月11日(日)まで上演されています。
この公演で、宙組トップスター 真風涼帆さん、宙組トップ娘役 潤花さん、
宙組発足メンバーで、15年間にわたり宙組組長をつとめてこられた寿つかささん、
秋音光さん、紫藤りゅうさん、澄風なぎさん、湖風珀さんが退団されます。
アクション・ロマネスク『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』
原作/イアン・フレミング「007/カジノ・ロワイヤル」(白石朗訳、創元推理文庫刊)
脚本・演出/小池 修一郎
時は1968年、世界はアメリカとソ連を中心とする冷戦の最中。
イギリスが誇る秘密情報部「MI6」では、コードネーム「007」を持つ
秘密情報部員ジェームズ・ボンドに、ル・シッフルと呼ばれるソ連のスパイを倒すよう
指令が下されます。
華麗なるカジノを舞台に、密かにめぐらされる陰謀と策略。
CIAやフランスの情報局員、ソ連側の工作員も加わり、
ボンドの行く手には次々と危機が襲いかかる…
真風涼帆さん最後の開演アナウンスはBGMなし。
真風涼帆さんのお声を存分に堪能しました。
強く輝く照明!
客席に背中を向けたかっこいいシルエット!
美しいスーツ姿でピストルを構える姿に長い足!
真風涼帆さんが宝塚歌劇で最後に演じる役ジェームズ・ボンドの登場からスタート!
左右にスライドするセットと連動するように動き回り、次々にポーズを決めていく
真風涼帆さん演じるジェームズ・ボンド。
そこにダークスーツのボンドの影の男役さんが加わり踊ります。
曲もかっこよくて幕開けから胸が高鳴ります。
華麗かつ迫力アクションの数々、カジノロワイヤルの豪華なセット、
上下するセリや回転する盆を駆使した鮮やかな舞台転換などなど、
ワクワクするポイントがたくさんありました。
宙組トップスター真風涼帆さんが、宝塚の男役として最後に演じたのはジェームズ・ボンド。
イギリスの秘密情報機関「MI6」の諜報部員でコードネーム「007」
フォルムが美しい芸術的なオールバック。
足が長くて下半身がかっこいいのはもちろん、上半身の余裕な動きもカッコいい💗
たばこを挟む指先の繊細な動きや、歩く時の腕の振り方、細やかな目の動きなど、
真風涼帆さんのどこを見ても男役の美学が輝いています✨
そんな美しくかっこいい姿にも関わらず、凛々しくもおちゃめな表情を見せてくださるところも
また真風涼帆さんの魅力🥰
親しみを感じてしまいますよね!
様々なデザインのスーツ姿、タキシード姿、またカジュアルスタイルなど、
最後の舞台で見せていただきたかった衣装をたくさん着ていただけて、
目も心も幸せでした😍
長い足でバルコニーの柵を軽々ゆったりと乗り越える姿は、
白馬に乗った王子様が目の前にあらわれたかのようなトキメキが止まりませんでした🤩
任務中はビシッと決めたオールバック、任務を終えた後は横分けにし、
少しだけ前髪が垂らされたスタイルに。
そんな細やかなこだわりからも、真風涼帆さんの男役への愛を感じます。
未来に向かって歩き出すデルフィーヌを見送るジェームズ・ボンド。
頼もしいデルフィーヌの背中をあたたかい眼差しで優しく見つめるのでした。
ブラウンのコートを羽織ったジェームズ・ボンド真風涼帆さんが舞台に一人残り、
「Adieu 君に会えて良かった」を歌います。
Adieu
別れの時が来て
今 君と別れ 一人佇む
たとえどんなに 短い日々でも
愛の深さに 変わりは無い
いつかまた会える日を信じて
今は心込めて言おう
君に会えて良かった
愛の深さを歌うラストシーン
紗幕の奥にはカジノでルーレットをする人たち。
去って行くジェームズ・ボンドには気にもとめていません。
歌詞の「君」は、デルフィーヌであり、宙組のみなさんであり、
客席のみなさんであり、真風涼帆さんがこれまで出会った人たちすべてのように受け取れます。
銀橋を渡りながら、劇場全体を見渡し別れを告げるジェームズ・ボンド真風涼帆さん。
男役・真風涼帆さん、宝塚大劇場でのお芝居最後のセリフとなったのは「Adieu」
あたたかく心地よい響きと優しい笑顔を残し、宙組の圧巻のコーラスに見送られて
左手花道から一人去っていきました。
真風涼帆さんとともに退団されるトップ娘役・潤花さんが演じたのはデルフィーヌ。
亡きロマノフ家の大公女の遺言で、一族の家長後継者となるソルボンヌ大学の院生。
舞台に登場されると存在感が圧倒的!
明るく太陽のような輝きを放っていらっしゃいます🌞
お声も魅力的で心地よく、気づくと潤花さんのお芝居に引き込まれ、
いつの間にか潤花さん演じる人物を応援しているような気持ちになります。
どんな衣装を着ても潤花さんはとてもゴージャス✨
もっともっと色々な衣装の潤花さんを見たかったです。
ニッコリ笑う笑顔、強い光と意志を宿す瞳、誰に対してもブレることなく
ハキハキはっきりとものを言う素敵なデルフィーヌでした。
ジェームズ・ボンド真風涼帆さん、デルフィーヌ潤花さん。
二人の素敵な出会いは、ジェームス・ボンドがデルフィーヌをかくまうためにした
息が止まるほどの熱いキス。
ドキドキしました💜
お二人は並ぶととてもゴージャス!
真風涼帆さん・潤花さんトップコンビは、大劇場公演が4作でしたが、
どの作品でもお互いに夢を語り合う場面があったのではないでしょうか?
隣に並んで、お互いの夢を真っ直ぐ語り合う場面がとてもお似合いなコンビだったなと
あらためて思い返しました。
銀橋でジェームス・ボンドがデルフィーヌの着替えを手伝ったり、
ジェームス・ボンドとデルフィーヌが対等に言葉を交わし、
時にデルフィーヌに振り回されるジェームス・ボンドなどなど、
お芝居だと分かってはいるのですが、真風涼帆さんと潤花さんとしてのお二人の関係性も
垣間見える気がして、とても微笑ましかったです。
ル・シッフルに捉えられ、椅子に縄で縛られたデルフィーヌ。
椅子ごとぴょんぴょん飛び跳ねてジェームス・ボンドのもとへ移動する場面は、
宝塚歌劇でこんな場面初めて見た~と、不思議な感激を覚えてしまいました😆
潤花さんの運動神経が素晴らしいですね!
ジェームス・ボンド真風涼帆さんも「いいぞ!ガンバレ!」と応援していました🏁
「俺を信じろ」という最高に頼もしくかっこいいジェームス・ボンド真風涼帆さんの言葉で、
塔からパラシュートで脱出!
空中に二人きりで登場したジェームス・ボンド真風涼帆さんとデルフィーヌ潤花さん。
演出家・小池修一郎さんの演出に驚いてしまいました。
二人だけの時間、二人だけの大空で、語り合う二人は童心に返り可愛らしく思えました。
空中で歌う「この広い世界に生まれて」の歌詞には、二人の愛が詰まっています。
その歌詞は、ジェームス・ボンドとデルフィーヌであり、真風涼帆さんと潤花さんでもあり、
これまでのお二人の舞台、見せてくださった世界を思いました。
お互いを見つめ合う視線、優しく柔らかい表情、神々しいお二人の姿に涙が溢れました。
芹香斗亜さんは、ソ連の秘密情報機関「KGB」の諜報部員ル・シッフル。
フランスでのKGBの司令塔です。
金髪で、ジェームス・ボンドたちとは少し質感が違う地模様の入った上品な黒いスーツを着ています。
カリスマ性があって、優雅で憎めないのが芹香斗亜さんが演じる悪役。
思わずクスッと笑ってしまう面白い場面があったかと思うと、声量たっぷり迫力満点の歌。
ギャップの振れ幅が大きくとても魅力的ですよね!
真風涼帆さんと芹香斗亜さんのお二人は、これまで様々な間柄を演じてこられました。
それぞれ星組に配属されたお二人が、時を経て宙組で再会。
友情・敵役などで熱く私たちを魅了してくださいました。
お二人の対決のシーンはこれまでにも何度もありましたが、今回は一段と白熱したもので、
息をすることを忘れ手を握りしめながら見入ってしまいました。
デルフィーヌの恋人で、パリで反体制デモに身を投じる過激派の学生
ミシェル・バローを演じたのは桜木みなとさん。
学生連盟のリーダーとしてデモの中央で先導するミシェル。
溌剌としたパワーがみなぎった歌声が、学生たちの気持ちを高め、
学生たちのコーラスのパワーも高めていました。
みんなの頼れるリーダーかと思いきや、豊かな表情を見せ女性に甘える可愛らしさ、
振り回される可愛らしさを持つミシェル。
桜木みなとさんの困ったハの字眉毛がチャーミングでした。
真風涼帆さん演じるジェームス・ボンドが、軽々カッコよく越えたバルコニーの柵も、
デルフィーヌに助けてもらって乗り越えていましたね。
天彩峰里さんが演じたのは、ナイト・クラブ「メゾン・ダムール」の歌手で
ル・シッフルの片腕アナベル。
歌声が色っぽかったですね。
パープルがかった艶やかなボブヘアが美しく魅力的。
魔性の女性で不思議な雰囲気も持っているのですが、愛する人の前では強くてかわいくて
そして面白い一生懸命なアナベルでした。
英国外務省から派遣されたヴェスパー・リンドは春乃さくらさん。
スマートでキリッとした知的で頼りになるタイトなドレスを着こなす女性。
立ち姿もとても美しかったです。
寿つかささんはゲオルギー・ロマノヴィッチ・ロマノフ大公役。
ロマノフ家の末裔の一人でデルフィーヌの従伯父です。
『アナスタシア』でマリア皇太后を演じた寿つかささんの写真が使われていましたね。
今回はお髭が素敵な大公。
悪だくみをしているけれども、実は自分がだまされているという面白い設定の役を
軽快に演じていらっしゃいました。
息子のグレゴリー・風色日向さんとアナトリー・亜音有星さんへの教えのセリフが、
まるでこれからの宙組を担う若い組子へのメッセージのようで
胸が熱くなりました。
グレゴリー・風色日向さんとアナトリー・亜音有星さんは、ダメンズですがかっこよかったね。
ジェームス・ボンドに協力しているフランス情報局のエージェント
ルネ・マティスは瑠風輝さん。
アメリカCIAのエージェント
フェリックス・ライターは紫藤りゅうさん。
いざという時に助けてくれる、スーツ姿がスマートな爽やかなイケメンお二人でした。
ル・シッフルのボディーガード、イワンの真名瀬みらさんとミロンの嵐之真さん。
黙って控える姿はとてもかっこいいのですが、肝心なところであたふたしてしまったりと、
上司であるル・シッフル同様憎めないキャラクターで目が離せない存在でした。
フィナーレは、芹香斗亜さんが歌う「イルカが人を愛するように」からスタート。
ミラーボールが輝く中、芹香斗亜さんの声量たっぷりの歌声があたたかく劇場を包みます。
大階段の上から真風涼帆さんが娘役さんに囲まれて登場。
黒のベルベットの衣装が真風涼帆さんの上品な魅力を際立たせ、
その魅力に誘われる蝶のように娘役さんが軽やかに舞います。
続いて、大階段の上から男役さんが登場し、真風涼帆さんと合流。
大階段と舞台が赤く染まる中、かっこよく大人っぽい群舞が繰り広げられます。
宙組男役のみなさんが見つめ追いかけてこられた真風涼帆さんの背中。
真風涼帆さんを中心とした背中でも魅せるダイナミックな群舞は感動的でした✨
真風涼帆さんが舞台を去り、次期トップスター芹香斗亜さんを中心に男役さんの群舞は続きます。
真風涼帆さんから受け継いだ宙組を、さらに盛り上げていくぞという気迫を感じました。
寿つかささんが芹香斗亜さんに寄り添い、ダンスで激励を伝え舞台を去ります。
その激励を受け取る時の芹香斗亜さんの表情は、感謝と愛、そして下級生としての
可愛らしさなど、様々なお気持ちがあふれているように見えました。
真風涼帆さん・潤花さんトップコンビによる最後のデュエットダンスは、
キラキラの白い衣装で。
ダイナミックで優雅なデュエットダンス。
潤花さんを見送り、一人で幸せそうに劇場の空気を感じて踊る真風涼帆さん。
大階段には星が流れています。
初舞台を踏んでからこれまで立ち続けてきた舞台の床に愛おしそうに触れる真風涼帆さん。
宝塚大劇場の舞台との別れを慈しむ時間のように感じました。
パレードでは、真風涼帆さんは白い羽根にキラキラの雉羽根がついた
大きく豪華な羽根を背負われました✨
大人っぽい雰囲気の真風涼帆さん・潤花さん、お二人の最後の公演にふさわしく、
大人っぽい豪華なパレードでした。
真風涼帆さんは、宝塚大劇場での通し舞台終演後のごあいさつにて、
「千秋楽まで大切につとめてまいります。」とおだやかにおっしゃっていました。