宝塚大劇場月組公演『Eternal Voice 消え残る想い』・『Grande TAKARAZUKA 110!』

樽井美帆です

 

月組公演

ミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』

レビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』

が、宝塚大劇場にて3月30日(土)から5月12日(日)まで上演されました。

公演日程見直しのため、初日が変更となり、新人公演は行われませんでした。

 

この公演で、月組トップスター 月城かなとさん・月組トップ娘役 海乃美月さん、

麗泉里さん・空城ゆうさん・彩音星凪さん・一星慧さん・まのあ澪さんが退団されます。

 

 

第110期生の初舞台公演ということで、開演に先立ち口上が行われました。

 

第110期生口上

 

組長・梨花ますみさんのアナウンスにより第110期生のみなさんが登場。

日替わりで三人ずつ代表で口上を述べます。

一語一語丁寧にかみしめながら、決意のこもった口上。

とても明るい歌声で「宝塚歌劇団団歌」を歌われました。

 

 

ミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』

作・演出/正塚 晴彦

 

ヴィクトリア女王統治下のイギリス。

独特の感覚を持つ考古学者ユリウスと、亡き母親から特殊な能力を受け継いだ女性アデーラが出会い、

その能力ゆえに、やがて巻き起こる国を揺るがしかねない大事件へと誘われていきます。

 

ミステリアスな音楽とコーラスで幕が上がると、霞みがかった舞台で踊る人たち。

何か起こる予感でワクワクする幕開けです。

 

映像がたくさん使われているのですが、壁を作らず柱のみで建物を表現しているため、

舞台奥に映し出される映像が、背景として活かされ奥行を感じました。

周りがどんな街並みになっているかも想像することができました。

 

そして、正塚晴彦さんの作品といえばの短いセリフでのお芝居。

ああ、うん、ええ・・・

BGMが少なく、心地良い緊張感の中で、登場人物の呼吸や間、

ゆったりとした流れも楽しむことができました。

 

月城かなとさんが退団公演で演じたのは、考古学者ユリウス。

古美術商を営む叔父に頼まれアンティーク・ハンターとして各地へ飛び回る生活を送っていますが、

時折、胸騒ぎにも似た不思議な感覚に襲われます。

 

ネイビーのフロックコートで登場した月城さんは、朗々とした歌声を響かせます。

あらためて、鳳月杏さんとの歌声の相性の素晴らしさを感じました。

お二人の歌声が重なると、重厚感と説得力と感動が倍増!

でも、これが最後なんだと思うと寂しい気持ちにもなってしまいました。

そして主題歌『Eternal Voice』の歌詞が、退団する月城さんからのメッセージのようにも感じました。

 

海乃美月さん演じるアデーラへの優しい励ましの言葉。

「大丈夫だ、恐れることはない。」

「悪い方に考えるな。」

 力強く優しい言葉は、アデーラだけでなく私たちの背中も押してくれたように思いました。

 

どの瞬間も品がある月城さん。

凛々しい後ろ姿、笑顔の中の孤独を表現する月城さんの表情と背中、忘れません。

 

『Eternal Voice 消え残る想い』2

 

海乃美月さんは、ユリウスに似た特殊な能力を秘め、自らそれに対して恐れている女性アデーラ。

 

目の動きがとても繊細なお芝居で、彼女にしか見えない、彼女にしか感じないものが、

確かにそこに存在することへの説得力を感じました。

大きく動かなくても、広い劇場の隅々まで伝わる心の動き。

スカート部分にボリュームがあるドレスの裾さばきも美しかったですね。

 

劇場の空気があたたかくなるように感じる月城さん・海乃さんのお芝居を

退団公演でも楽しませていただきました。

 

『Eternal Voice 消え残る想い』1

 

鳳月杏さんが演じたのはヴィクター。

様々な超常現象に遭遇したことをきっかけに、超常現象研究所を開設した研究者。

祖父が特定秘密局の創設者だったことから、秘密局のプロファイラーでもある人物。

 

低音ボイスで、軽やかで爽やかでとても若々しいイメージを感じました。

 

霊媒師エゼキエル・彩みちるさんと呪術師マクシマス・彩海せらさんのコンビ、最高でしたね!

パワー炸裂の彩さんと、そんな彩さんに振り回され気味の彩海さん。

叫ぶ彩さんに合わせて、祈祷をする彩海さんの後ろ姿が私は好きでした。

 

メアリー・スチュアートを演じた白河りりさんと、

メアリー・スチュアートの侍女アンナ・クリフトンを演じた麗泉里さん。

二人の歌声のハーモニーが美しくも力強く、切々と最期に残した想いが伝わってきました。

 

ラストシーンは、月城さんユリウスと海乃さん演じるアデーラが銀橋へ。

二人が巡り会った人々が舞台から見送ります。

やがてみんなが去り、トップコンビだけが舞台に残ります。

ユリウスの少し後ろを歩くアデーラ。

それぞれが一人でしっかりと前を向いてに歩きだす中、幕がおります。

 

手をつないだり、腕や肩を組むのではなく、それぞれが自立して前を向いて歩く。

これまであまり見たことがないラストに驚きましたが、

月城さん・海乃さんコンビにふさわしいラストシーンだったのではないでしょうか。

 

 

レビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』

作・演出/中村 一徳

 

開演前、緞帳に各組のロゴマークがクルクル動く、

宝塚歌劇110周年を祝う映像が映し出されます。

 

「すみれの花咲く頃」がアレンジされた曲が流れ始めると、

これまでの公演の写真が組み込まれた映像が。

 

幕開けから月組カラーの黄色とゴールドの世界✨🌙

華やかで眩しいプロローグです。

 

彩海せらさんを中心に男役さんが歌い踊り、鳳月さんと娘役さんが加わる「アヴァンギャルド!」。

やんちゃな雰囲気の髪型と衣装の鳳月さんが新鮮でしたね!

 

赤い衣装の礼華はるさんを中心とする男役さんからスタートする

スパニッシュの場面「ルナ・ルージュ」。

 

月城さんが「フォッ!」と掛け声をかけると赤い布がとれて輝く階段セットが登場。

男役さんに続いては、海乃さんを中心としたスパニッシュの赤い衣装の娘役さんが銀橋へズラリ!

力強い眼差しとポージングがとてもカッコイイ月娘のみなさんでした。

 

続いては、客席降り!

客席にも舞台にも笑顔があふれます😊

うれし恥ずかし幸せなハイタッチをされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

10年前に初舞台を踏んだ100期生の風間柚乃さんが歌い、

「one hundred ten!」と紹介すると第110期初舞台生のロケットへ!

 

廻り舞台の盆が回って登場すると、人文字で描いた110が✨

ゴールドと赤の衣装の第110期生。

ピョンピョン元気で可愛い、とてもキレのあるダンスを披露しました。

 

第110期生ラインダンス

 

これから宝塚人生をスタートさせるエネルギーに満ちた初舞台生による「動」の場面の後は、

退団していくトップスター月城かなとさんによる「静」の場面。

歩んできた雪の路を思い起こしながら歌う和の衣装の月城さんが美しい✨

雪が降る中、月が姿を現し、幻想的な踊りから総踊りへ。

 

和を感じる場面ですが、激しく熱く燃える雪を感じました。

雪組と月組で活躍した月城さんへの思いがこもっている曲、歌詞でした。

 

続いて、海乃美月さんがグレーの衣装で一人で銀橋で歌う場面「思い出の月の光」。

月組の一員として、月城さんの相手役として、海乃美月さんという一人の娘役として、

様々な美しい輝きを見せてくださった海乃さんからのメッセージソングのようでした。

 

月城さんを中心とした最後の男役群舞は、シンプルな黒燕尾。

白く輝く大階段に並んだ男役さんが、上から下りてくる月城さんを次々ひざまずいて迎えます。

最後は全員で銀橋へズラリ。

月城さん率いる月組の男役の美学を見せていただきました。

 

トップコンビを囲み、これまで共に歩んだ道を懐かしみ、旅立つ仲間を祝福し、

固く結ばれた絆は変わらず、共に過ごした日々を忘れない・・・

感動的な歌を歌いあげる場面「My Best Friend」。

 海乃さんのセリ上がりはゆめゆめしくてポージングも可憐で美しいですね。

みなさんの表情が清々しく幸せそうで、月組が一つになった歌声に感動しました。

本当に美しい場面✨

これからもずっと心に残るでしょう。

 

『Grande TAKARAZUKA 110!』1

 

トップコンビ月城さんと海乃さん二人を残し、みなさんが去り、最後のデュエットダンス。

これまでの時間を愛おしむかのように、大階段でじっくり二人の時間を過ごします。

月城さんが海乃さんの鼻を指でチョンとしたり、寄り添ったり、微笑み合ったり・・・

お二人のこれまでの軌跡を感じるステキな時間でした。

 

『Grande TAKARAZUKA 110!』2

 

大階段で、エトワール一乃凜さんを第110期生が囲みます。

初舞台生が出演する公演は、出演者数が多くパレードが華やかですよね!

 

「さよならのかわりにありがとう」という月城さんの歌声で幕がおりました。

 

『Grande TAKARAZUKA 110!』3

 

東京宝塚劇場では、6月1日(土)から7月7日(日)まで上演されます。