清々しい余韻のバウ公演 「燃ゆる風ー軍師・竹中半兵衛ー」
姿 美保子です
今年最初の観劇日記は
バウホールの新春を飾った星組公演
バウ・戦国ロマン「燃ゆる風―軍師・竹中半兵衛―」(1/12~23)をお送りします。
1月20日(金)放送予定です。(21日(土)午後4時~再放送予定)
戦国の大スター・信長(麻央 侑希)の登場に続いて「燃えて燃えて燃えて・・・」と耳に残るコーラスや武士たちの勇ましいで群舞で「待ってました!」とばかりに舞台は幕を開けました。
藤吉郎の語り(専科:悠真 倫)や時折舞台上に映し出される当時の勢力図などがお話の進行を助けてくれます。
信長が攻めあぐんだ稲葉山城をあっという間に乗っ取った半兵衛に軍師としての才覚を見た信長は
織田方につくよう説得させるべく半兵衛のもとへ藤吉郎をつかわせます。
「乱世を終わらせ人々が安心して暮らせる世を」と説く藤吉郎に天下人の器を見た半兵衛は、
信長ではなく藤吉郎の家来になると申し出たのでした。
凛としたたたずまいを見せる竹中半兵衛を演ずるのはは七海ひろきさんです。。政略家としての知性を感じさせます。
友や妻と語らう時に見せる穏やかな笑みやしなやかな立ち姿は
「女性と見紛うほどに美しい武将であった」という言い伝えをそのまま具現化しているようです。
またこの物語は半兵衛の活躍のみならず夫婦や親子の情、人と人との絆などが盛り込まれた人間ドラマでもあると感じました。
半兵衛を慕う幼友達の三郎太(天華えま)は友の為に友を庇い槍を振るって戦います。
生きているからこそ今がある。生きているからこそ未来がある。生きているからこそ価値がある。
「命の使い道」を常に思う半兵衛にとって、大切な友や仲間を失って得た勝利はさぞかし悲しいものだったことでしょう。
そんな半兵衛に寄り添い、いつも温かな居場所となってくれる妻・いね(真彩 希帆)。
椿の花を歌った真彩さんのソロは澄み渡る空に流れる風のように心地よく、
武勲をあげ城持ちになれると浮かれる藤吉郎夫婦(妻:万里 柚美)は明るい笑いを誘い、
戦いに邁進する信長は長身に豪華な装束が映えてただもうかっこよく
信長に従う妻・濃姫(音波みのり)の悲しみと強さは胸をうちます。
秀吉の名軍師として名高い黒田官兵衛(天寿 光希)のエピソードも心に響きました。
官兵衛は織田に忠誠を誓うために我が子・松寿(天彩 峰里)を人質に差し出すのですが、
半兵衛の忠告に耳を貸さず毛利攻めでの戦功をあせったがために官兵衛と松寿は命の危機にさらされてしまうのです。
そんな二人を救い、「命の使い道」を説いて未来を託したのもまた半兵衛でした。
内に秘められた情熱のように赤く燃えながらもどこまでも端正な竹中半兵衛は七海ひろきさんによく似合っていました。
この公演を最後に雪組へ組替えとなる真彩さんは入団5年目。
七海さんとの学年差を感じさせない落ち着いたお芝居で日本物がしっくりときていました。
組替えされてからも日本物の雪組で活躍されることでしょう。
清々しい余韻の残る舞台を出演者皆さんで創り上げた「燃ゆる風ー軍師・竹中半兵衛」は
お正月らしいバウホール公演となりました。
実力派スターや注目の若手スターが活躍するバウホール公演は今年も目が離せないようです。