宝塚バウホール月組公演 キューティーステージ『愛聖女-Sainte♡d’Amour-』

樽井美帆です

 

7月1日(日)~ 7月7日(土)まで、宝塚バウホールでは

月組公演 キューティーステージ

『愛聖女(サントダムール)-Sainte♡d’Amour-』が上演されました。

 

11月に退団される月組トップ娘役 愛希れいかさん主演の作品です。

前回、宝塚バウホールで娘役が主演をつとめた公演は、

2002年に退団された元雪組トップ娘役 月影瞳さん主演の

「Over The Moon」で、2001年に上演されました。

今回は、17年ぶりの娘役主演公演となります。

チケットは発売開始と同時に完売。

バウホール公演千秋楽は、異例のライブ中継が行われました。

 

作・演出は齋藤吉正さん。

出演は、愛希れいかさんをはじめとする20名。

91期生の紫門 ゆりやさんから、今年4月に初舞台を踏んだ104期生までが

出演されました。

 

中世フランスの英雄ジャンヌ・ダルクが、突如21世紀の現代へと

迷い込んだことから始まる冒険劇。

遥かな時を経て、ジャンヌが様々な人と触れ合い、

友情を育んでいく物語です。

優しく、強く、愛らしいヒロインです。

 

舞台の幕が開き聞こえてきたのは、オルレアン工科大学で学生たちを前に

熱心に授業を行う白雪さちかさん演じるドクター・ジャンヌ。

金髪のボブヘア、眼鏡をかけ白衣を着た、かなり熱い方です。

 

その学生の中の1人パメラを演じる天紫珠李さんが案内役となって、

舞台と客席をつないでくれます。

天紫珠李さんは101期生。

昨年12月25日に男役から娘役へ転向されました。

 

ドクター・ジャンヌと学生たちが研究しているのは、人類初のタイムマシン。

太陽フレアの衝撃とともにタイムスリップするという仕組みです。

 

舞台セットは、時間を表す時計がモチーフになっています。

舞台の上にはスクリーンがあり、映像と一体となって舞台は進みます。

 

女子学生たちは、英雄ジャンヌ・ダルクにちなんだ

オルレアンの少女コンテストの話で持ちきり。

国民的英雄ジャンヌ・ダルクは、現代の少女たちが熱狂的に愛し憧れを抱く存在なのです。

 

その憧れの存在ジャンヌ・ダルクを演じるのは、愛希れいかさん。

ジャンヌ・ダルクがタイムマシンに乗って現代21世紀のフランスの街

オルレアンへと迷い込んでしまったのです。

 

火あぶりの刑に処されようとしているまさにその時、

ジャンヌ・ダルクが影も形もなく消えてしまいます。

 

腕を拘束され立ったまま歌う愛希れいかさん。

炎に焦がされながらも正義を信じる目の力強さ!!

この目力の強さは、男役経験のある愛希さんだからこそ

出せるものかもしれませんね。

 

かわりにジャンヌが生きていた15世紀のオルレアンにタイムスリップしてしまったのが、

大学教授で同じ名前のジャンヌ(白雪さちかさん)。

お見合いに失敗して男の子にもてる時代に行きたいと願って

タイムマシンに乗り込んだのです。

 

生きていた時代が入れ替わってしまった二人のジャンヌは

一体どうなってしまうのか・・・

 

月組『愛聖女』1

 

ここで愛希れいかさんによる開演アナウンス。

『開演いたします。ていうかってとっくに開演してるじゃないか、これってバッディ?』

と、どこかで聞いたことのある楽しい開演アナウンスでした。

 

プロローグは、15世紀の人物と現代の人物が一緒になって

楽しく歌い踊ります。

愛希れいかさんは可愛いポスターの衣装で。

 

21世紀の世界にジャンヌは戸惑うばかりですが、

ジャンヌ・ダルクを崇拝していた女子学生パメラ(天紫珠李さん)は、

喜び勇んで彼女を自分のアパートに連れて行きお世話をやきます。

 

パメラはジャンヌを現代仕様に変身させますが、ジャンヌはマイペースを崩すことなく、

あちこちで騒動を起こしていきます。

 

でも心の中は、道半ばになってしまった100年戦争に国の未来を憂い、

現代に暮らすことへの葛藤でいっぱい。

 

おい!

そやつ!

かたじけなかったな。

と勇ましい言葉遣い、そして上から目線の口調も愛希さんが言うと

何とも可愛らしくキュート!

 

美しい花を見て、どの時代にも美しい花は存在するということに感動するなど、

様々な表情や言葉や声をクルクル使い分けることができるのは、

男役と娘役の両方を経験した愛希さんだからこそでしょうか。

 

場面ごとに色々な表情を見せる愛希さん。

本当にずっと見ていたいですね!

まさかのジャージ姿で『わはははっ!』と大きな口を開けて笑う姿は貴重かも(笑)

 

月組『愛聖女』2

 

現代になじもうとする過程で見せるギャップの面白さ、無邪気さ 、

祖国を思う強い信念。

誰かの幸せのために行動できる優しさ、まっすぐで飾らず、嘘のない潔い姿。

スピード感ある立ち回りなど、愛希さん演じるジャンヌにグイグイ引き込まれます。

 

歌劇7月号によりますと、公演の企画段階で愛希さんは、

自分のことよりも周りのみんなが楽しんで充実できる公演にしたいと

齋藤吉正さんに伝えられたそうです。

ですから、セリフのない人が一人もいないのだそうですよ。

 

娘役が主演ということで、相手役はどうなるのかと考えましたが、

今回の相手役はパメラかなと感じました。

恋愛ではなく女性同士の友情がしっかり描かれていたことも

『愛聖女』の特徴ではないでしょうか。

 

色々な衣装を着た愛希さんを見ることができたのも見どころの1つ。

肌触りがとてもいいと喜んでジャージを着たり(笑)

どんな衣装も品よくお茶目に着こなしてしまう愛希さんは本当に素晴らしいですね

 

現代の暮らしの中で様々な人と接し、

時代は違ってもこの世に生きる「意味」をみんなが持っていることに気づくジャンヌ。

一生懸命生きている現代の人たちのために自分はこの時代に来たのではないか…

国のため、誰かのため、愛するもののために戦った自分を思い起こし、

ジャンヌの心の中で何かが結びついていきます。

 

そんな中、体調不良のパメラにかわって出場した

オルレアンの少女コンテストで、歌の才能を活かしてジャンヌは見事優勝。

副賞であるUKデビューを利用して、出生後間もなく離れ離れになった兄妹と

母親を再会させる計画を立てます。

 

月組『愛聖女』3

 

兄妹を演じているのが、兄シドニー夢奈瑠音さん、妹アマンド結愛かれんさん。

夢奈瑠音さんは、『俺』が自然で深い声が心地よく説得力がありました。

レザーのジャケット、ジーンズ、ブーツがお似合いでしたね。

結愛かれんさんは、自然なお芝居で兄思いの可愛い妹。

母マリーを演じた楓ゆきさんは、タイトなスーツを着こなし、

美しくかっこいい魅力的な女性でした。

 

月組『愛聖女』4

 

パメラの恋人でゲーム作家志望のニート、エルヴェを演じた輝生かなでさんは

憎めない系のさわやか青年。

 

紫門ゆりやさんは、中世フランスの軍人ジル・ド・レ。

黒髪にダークな色味の騎士の衣装が美しく、見事に中世の雰囲気をまとっていました。

まじめなのになぜか面白い魅力的な人物です。

ジャンヌ・ダルクが消えてしまい、なんとかしなければと大奮闘!

 

千海華蘭さんは、中世フランスの軍人ファン・ドゥ・ファン。

ものすごいハイテンション!!

なぜか口調は「ござる」

ジャンヌ・ダルクの大ファンです。

 

キャンパス1の美人クララは、晴音アキさん。

男子学生にいつも囲まれています。

奇跡的な勘違いをしながらもそれに気づかない、

いつも一生懸命なクララが可愛かったです。

 

現代での役割を終え、たくさんの出会いを経て、

平和であたたかい今の時代のよさも感じながらも、愛するフランスのため、

歴史通りの道に向かうため、再び自分の時代へ戻る覚悟を決めたジャンヌ。

 

この定め、悔いはない・・・

どこまで生きるかではなく、どのように生きるか・・・

 

現代に愛と勇気を残し、現代から希望を受け取り、

笑顔でもとの世界に帰っていったジャンヌ。

 

月組『愛聖女』5

 

『人は死んだら、花になる。』

『愛する人の傍らでいつも笑顔でいられる。』

騎士の衣装で、黄色い薔薇を一輪舞台に置いて去っていくラストシーンの美しさ

 

もう二度と後戻りできない、過酷な運命が待っているにも関わらず、

ジャンヌは清々しい表情。

振り返ることなく去っていく、その後ろ姿は気高く美しい一人の戦士でした。

 

ジャンヌ・ダルクと入れ替わりに、大学教授のジャンヌも

無事に現代に戻ってきました。

 

フィナーレはまず、黒燕尾の紳士と黒色ドレスの淑女が踊ります。

その後、シンプルな白いドレスに身を包んだ愛希れいかさん登場。

あまりの清らかさに息をのみました!

華やかで優しい包容力で舞台と客席を包み

愛オーラをキラキラ発しながら、

澄んだ声で「夢・アモール」を歌う愛希れいかさんは、

まさに天使そして、愛聖女でした。

 

愛と夢、勇気を伝えて『愛聖女(サントダムール)-Sainte♡d’Amour-』

幕は下りました。