宝塚バウホール 星組公演 音楽奇譚 『龍の宮物語』

 

宮村裕美です

 

宝塚バウホールにて、

11月28日(木)~12月9日(日)まで

上演されました

 

音楽奇譚

『龍の宮(たつのみや)物語』

 

 

この公演は、作・演出を担当された指田珠子さんの

宝塚バウホールデビュー作品です。

 

今回、主演を務めたのは、

95期の瀬央 ゆりあさん。

 

ヒロインを務めたのは、

98期の有沙 瞳さん。

 

瀬央さんは、『デビュタント』にて

初めてバウホール公演主演を務められ、

今回2度目のバウホール主演となりました

 

物語は、夜叉ケ池伝説と

105年前にも宝塚で上演されたお伽話

『浦島太郎』からなる内容です。

龍の宮1-1

物語は明治中期、夏休みを利用し、

集まった書生たちは怪談話に花を咲かせます。

 

夜更かしをする書生たちを注意しに来たのは、

この舞台の主演を務める瀬央ゆりあさん演じる、

伊予部清彦。

 

 

そこで夜叉ケ池の聞きます。

夜叉ケ池という大きな池には古くから、

龍が住んでいると伝えられている。

今から千年以上も昔、周辺の村でひどい干ばつが続いた。

悩んだ末、村の長者は池を訪れ、

底深くに住む龍神に

雨を降らしてもらうよう願ったという。

 

すると龍神は雨を降らす代わりに

村の若い娘を生贄にすることを条件とした。

泣く泣くその長者は、

自分の娘を池に沈め

たちまち村には雨が降ったという。

その後村人は、もう一度だけ

娘に会いたいと池を訪れる。

娘は龍になっていたという・・・。

 

 

怪談話が終わり、水乃ゆりさん演じる

島村家の娘・百合子を送っている途中、

清彦は百合子に先ほどの怪談話で出てきた、

夜叉ケ池の近くに咲く“サクラタデ”の花を一輪、

持ってくると約束します。

 

 

そして、サクラタデの花を探しに

清彦が夜叉ケ池の近くを訪れると、

女性が山賊に襲われています。

助けた清彦は、お礼にと池の奥底にある龍神の城、

龍の宮へ招待されます。

 

なんと清彦が助けたのは、有沙瞳さん演じる

龍の宮の姫、玉姫だという。

 

龍の宮では、歌い・踊り、

豪華な食事とお酒がふるまわれ、

常に華やかな世界が広がっています。

しかし、そんな楽しい空間にいるにもかからず、

全く楽しそうでない玉姫のことが気になる清彦。

 龍の宮2

 

龍の宮で二人は少しずつ距離を縮める中、

次第に明かされていく清彦と玉姫の関係は・・・

という物語でした。

 

 

世界観が非常に美しく、自然と集中して

龍の宮の世界へ引き込まれる作品でしたね

 

 

誠実さと爽やかさに溢れた、清彦は

瀬央さんにぴったりな役でした

 

玉姫への想いに気づき、

再び二人が会う時の表情や雰囲気も、

繊細に役を演じられる瀬央さんならでは。

という印象を受けました。

 

落ち着いていて、温かさ溢れる清彦に、

思わず玉姫が感情を見せるのも納得してしまう、

周りの人の心を動かせる好青年という印象です。

 

 

登場から美しさの中に独特のオーラを感じ、

「姿は人なのに、この人は“人ではない何か”」だと

感じられる雰囲気をまとっていた有沙さんの玉姫。

 

龍の宮のキャラクターは

皆さんメイクもいつもと違い工夫されていましたが、

有沙さんも吸い込まれそうな色気がある、

非常に美しい目元をされていました

 

瀬央さん同様、有沙さんも

清彦と出会うことで、清彦と触れ合っていくうちに

感情が不安定になり、

心が揺さぶられる芝居が非常に魅力的で、

細やかな表情や所作から

有沙さんの芝居心が感じられました。

 

 

渋い色の着物を素敵に着こなし、

清彦のことを一歩引いたところから見守り

心配している様子がよく見られたのは、

天華 えまさん演じます、清彦の親友・山彦。

 

山彦も、このお話のキーポイントとなる

人物の一人だと思います。

安定感のあるお芝居や歌が魅力的なのはもちろん、

フィナーレにて、天華さんが男役を率いて踊る場面は

とても華やかでした

 

 

龍の宮を治める者としての

威厳・風格に溢れていたのは、

龍神・火照を演じられた、天寿 光希さん。

人間離れしたビジュアルは

恐れ多く怖いはずなのに美しく、

永遠に見ていられる美しさでしたね

また、玉姫を想ってきたからこその芝居が

とても素敵でした。

 

 

みんなが惹かれる漫画のヒロインのような

清楚な可愛さがある百合子を演じたのは、

水乃 ゆりさん。

 

登場の際と、清彦が龍の宮から一度戻ってきた時で、

役が違い、服装も

着物とワンピースで違うのですが、

どちらも宝塚の娘役らしい

可憐な可愛らしさがありました

 

 

皆さん素敵な作品でしたが、

今回の公演で特に私が注目をしたのは

笹丸を演じました、

澄華  あまねさん

 

清彦が龍の宮に招待され、

負けたらお酒を飲むというゲームを

龍の宮の皆さんとおこなうのですが、

必ず負けてたくさんお酒を飲む清彦を

心配したり、気に掛けます。

 

白銀の髪色に幼い容姿をしていて、

ぶっきらぼうな物言いや、小さい子が

足裏をべたっと地面につけるような歩き方など、

まるで子どものような言動が

非常に可愛らしく、印象的でした

 

 

今回、お芝居では涙を流す方も

きっと多かったと思うのですが、

華やかなフィナーレとのメリハリが

これまた素敵でしたよね

 

龍の宮4

龍の宮5

 

瀬央さんと有沙さんが

キラッキラの眩しい笑顔を交わしながらの

デュエットダンスや、

メイクは芝居のままですが、

男役はかっこよく、娘役は可憐に踊る皆さんが見られ、

見ている皆さんの心にストレートに残る

バウホール公演という印象を受けました。

 

龍の宮3

 

観劇された皆さんの感想を調べてみると、

やはり皆さん気になる点や様々な考察があり

余韻まで楽しめる作品だと感じました

 

この公演にてデビューされました、

指田珠子さんが今後

どのような作品を手掛けられるのか楽しみですね