専科 轟悠 退団記者会見

樽井美帆です

 

3月18日(木)、大阪のホテル阪急インターナショナルにて、

宝塚歌劇団 特別顧問で専科の轟悠さんの退団記者会見が行われました。

 

轟悠さんの退団は、記者会見前日の3月17日(水)に発表されました。

みなさん、衝撃を受けられたのではないでしょうか?

私もその一人です。

轟悠さんは、永遠に宝塚にいらっしゃると思い込んでいました。

これからも宝塚に行けば轟悠さんがいらっしゃって、

ずっとずっと男役轟悠さんの舞台を観続けることができると思っていましたので、

最初に退団という文字を見た時、目には入ってくるけれども理解ができませんでした。

頭も心も受け入れられず、信じられない、信じたくない気持ちでいっぱいになりました。

 

記者会見場に入ってもまだ信じられず、夢を見ているのではと思ってしまいました。

ですが、美しい靴音を響かせ、会場に入って来られた轟悠さんの姿を見て、

現実なんだと受け入れるしかありませんでした。

 

登場された時の轟悠さんは、長い間お付き合いをしてこられた

お顔見知りの記者たちを前にして、ちょっと照れたような、

驚かせてごめんねというような笑みを浮かべられたように私には見えました。

 

まるで無重力のような軽やかな歩みと立ち姿、

舞台での男役の轟悠さんとは雰囲気が異なりとてもエレガント。

轟悠さんは、宝塚歌劇の美学の結晶だと思います。

額にかかる前髪、耳にかかる髪、襟足、後頭部、耳から顎にかけての完璧なフェイスライン

すべてが美しい、美しいという言葉がもどかしいほどです。

 

轟悠さん退団記者会見3

 

轟悠さんのお人柄もあり、会場は終始、穏やかで優しい空気に包まれました。

自然体でリラックスされた表情ではありますが、重みのある声、

そして美しい言葉でお話しされました。

 

出席者されたのは、宝塚歌劇団 小川友次理事長と轟悠さんです。

 

小川理事長が、1998年に営業の総支配人として宝塚に来られた時、

すでに雪組のトップスターでいらっしゃった轟悠さん。

今でも『ノバ・ボサ・ノバ』のまさしく名前のように轟くような

激しい歌声を思い出しますとおっしゃっていました。

また、特に感動した作品・役としては『凱旋門』と『風と共に去りぬ』のバトラーをあげられました。

 

「雪組でトップスターをつとめたあと専科へ、そして理事になり、

100周年を引っ張ってくれたことに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

本当にありがとう」と轟さんに向かい一礼。

轟悠さんは恐縮しながら笑顔でこたえていらっしゃっいました。

 

100周年後も『リンカーン』などで、新しい男役の境地を開いてくれたような気がしています。

35年間宝塚のために、本当に必死で頑張ってくれた、感謝の気持ちしかありませんと小川理事長。

 

轟悠さんの舞台を愛し、信頼していらっしゃったこと、

そして、轟さんの退団を心から残念に思っていらっしゃることが声から伝わってきました。

 

また、轟悠さんから退団の意思を聞いた時のお気持ちはとしては、

雪組のトップ、専科、理事となり、自分のことは自分で決める立場にある

彼女が決心したのですから私がどうこう言うことではありませんし、

本当によく頑張ってくれましたし、ありがとうという気持ちしかありませんとお話しされました。

 

退団までの2作品については、劇団として彼女の思いも叶えてあげたいですし、

また最後まで生徒に背中を見せてほしいと思っていますとおっしゃっていました。

 

轟悠さんは、会見冒頭で

「この度、2021年10月1日をもちまして宝塚歌劇団を退団いたします。」

とごあいさつされました。

 

2021年からおっしゃったのが、轟悠さんらしいと思いませんか?

とても清々しくスッパリおっしゃったことが轟悠さんの意志を表しており、

轟悠さんらしいなと感じました。

 

轟さんは1983年4月、71期生として宝塚音楽学校入学されました。

宝塚歌劇との出会いから合格発表までの思い出をという質問に対して、

「よろしいんですか?お時間とっていただいて」

と恐縮しながらお話ししてくださいました。

 

はじめて宝塚歌劇の存在を知ったのはテレビで。

外国人の男性の方がとても綺麗な日本語でお芝居されているという印象を持たれたそうです。

宝塚歌劇に興味を持ち、はじめて自分でこれをしたいということをご両親に伝え

受験することに。

音楽学校があるということもご存知なかったそうですよ。

 

合格発表の日は、きっと不合格だから発表を見たらそのまま熊本県へ帰ろうと

荷物をタクシーに載せて合格発表会場へ。

「たぶん不合格なので見るだけ見てきます」と運転手さんに告げて・・・

結果は見事合格!

待っていてくださったタクシーの運転手さんに合格を報告し、

いの一番にタクシーの運転手さんに『おめでとうございます』と

言ってもらったことが思い出だそうです。

 

歌は部活で歌うくらいの経験しかなく、受験のためのレッスンも特にされていなかったため、

願書の中に入っていた試験の譜面を、中学校の音楽の先生に

「すみません、ちょっとこれ弾いてみていただけませんか。どんな曲でしょうか?」

とちょっともぞもぞしながらお願いしたこともありましたと懐かしそうにお話しされていました。

 

どこからわいてくる自信なのか、「私は歌える」と思っていたと

当時を振り返っていらっしゃいました。

 

また、大阪弁も全く聞き取ることができず、「この人たちすごいな」と

同じ受験生を見て思ったことははっきり覚えていますと轟悠さん。

 

会見では、たくさんの質問が轟悠さんに向けられましたが、

質問される記者のみなさんほぼ全員が「とても驚きました」と

質問する前に言っていたことが印象的でした。

 

轟悠さんが退団を決意されたのは昨年の9月末から10月にかけてで、

その時期にハッキリと心が決まったそうです。

 

★退団を決めた経緯

私の心の中に退団しようという時がやってきたことに気づき、

自分の心に素直に従おうと思いました。

ストンという感じで、「あっ」と自分で気がついたと言った方が分かりやすいかなと思います。

 

一つ一つの答えは短いのですが、だからこそ思いが詰まっていると感じました。

 

退団を決める時には鐘が鳴るという方もいらっしゃいますが、

轟さんは鐘は鳴らなかったそうですし、特にこれといった出来事があったというわけではない

とのことでした。

 

★入団から36年間にわたりたくさんの役を演じてこられた中で印象に残っている役は?

私の中では、今取り組んでいる役というのが一番になりますので、

先日発表いたしました『婆娑羅の玄孫』の細石蔵之介という役に取り組めることが

今一番の楽しみでもあります。

レット・バトラーは4・5回ほどやらせていただき、

多くの美しいスカーレットを相手にしてまいりました。

『JFK』のキング牧師など、私の中では本当に多くの多くの大事な役、思い出深い役ばかりです。

 

その時その時の役を、全身全霊で演じてこられた轟悠さんらしいお答えですよね。

その姿にたくさんの感動をいただいてきました。

 

★雪組トップスターをつとめた後、退団する道ではなく、専科への異動を選んで感じたことは?

雪組トップを5年近くやらせていただいて、その時は雪組のみんなに守ってもらっていた

というのが、専科へ異動して気づいたことです。

孤独感というものも感じましたが、5組あっても宝塚は一つなんだという答えを

見つけることができました。

専科に入って本当にどうだったんだろうと自問自答する時もありました。

ですが今こうして、本日みなさまにお会いしてお話しする中で、

残ってよかったな、あらためて私はとってもラッキーな人で幸せなんだなと感じております。

 

★専科に異動したからこそ見えたこと、できたことは?

トップスターとして退団するか、専科へ異動するか、半年ほど悩み決心しました。

今だからこそ感じられる思えることがあります。

約20年間専科に残っていなければ、これほど多くの方に出会うこともできませんでしたし、

宝塚の舞台でこれだけ多くの役と巡り合い、演ずることはできませんでした。

残る選択をして私は正解だったというふうに感じております。

この世の中なかなか難しいとされております人とのつながり、

そういったものを太く強くちょうだいできた年月だったのではないか、

今後もそれはつながっていけると信じております。

 

私はまず次の2つの質問をさせていただきました。

 

轟悠さん退団記者会見1

 

★轟悠さんにとって宝塚歌劇・男役とはを教えてください。

夢の世界、そして退団なさったOGのみなさんおっしゃっいますが第二のふるさと、

それ以上ですね。

男役をさせてもらったからこそ舞台に立ってこれたと思いますし、

退団を決心いたしましてからも、男役って何なんだろうという追求していく心は

忘れておりませんので、最後まで追い求めたいなと思っております。

 

★宝塚の舞台に立たれるだけではなく個展も開催されました。

2016年の第6回『心の旅』は、今日の会見と同じこのお部屋でした。

今のお気持ちを描かれるとしたら、どんな作品どんな絵になるでしょうか?

色んな色を使ってみたい気がします。

抽象画的なもので描きたいなというイメージを持ちました。

 

轟さんの個展をこれまで番組でも取材させていただいてきましたが、

何とも言えない清涼感、穏やかな心、美しい世界を感じることができる絵なんです。

なんと、くぎ・糸・ごま・パスタ・卵の殻・和紙・新聞紙を使った絵にも初挑戦されていました。

絵は轟悠さんの分身だとおっしゃっていましたので、このような質問をさせていただきました。

色んな色は、これまで演じてこられた役、年数、お気持ちを表しているのでしょうか。

いつかもしその絵を描かれたら見てみたいなと思います。

 

★退団までの約半年間の日々をどのような思いで過ごしたいですか?

専科になって色々な作品を通して、各組の生徒のみなさんとご一緒して、

その中で私が学ぶべきところがたくさん感じられましたし、

今後の作品も今までどおり共演者とともに宝塚を盛り上げていきたいという心は変わりございません。

 

★退団までに後輩のみなさんにに伝えたいことは?

これだけはというのはないですね。

その都度その都度、私なりに一生懸命、心を込めてやってきたつもりでおりますので、

引き続き変わらずやっていきたいと思っております。

 

サヨナラショーについて、また大階段を下りてのご挨拶など

ラストステージについての思いを次のようにお話ししてくださいました。

 

雪組トップとして退団するのでなければ、

大階段を下りたりサヨナラショーをするというつもりはないと決心いたしておりました。

ディナーショーという場でお客様にきっちりとお別れ、感謝を伝えたいという気持ちを

歌劇団の方へ私からお願しました。

『婆娑羅の玄孫』作・演出の植田紳爾先生は、生徒に対してとても愛情深い

ステキなみんなの大好きな先生なのですが、私のわがままで申し訳ありませんが

静かに受験し入団しましたので、静かに退団をさせてほしいというお願いを申し上げました。

それが一番私らしいのではないかなと思っております。

 

轟悠さんへの質問もひと段落し、「それでは以上を持ちまして」と

司会の方が言い出した途端、「えっ!ちょっと待って!」と轟悠さん。

 

「まだ質問が・・・あっ、はい、あがりました!」

と轟悠さん自ら会見を進行し記者をご指名。

 

指名された記者が、「退団後の芸能活動の予定は?」と質問すると

少し残念そうに、「えっ、その質問ですか?」と轟悠さん。

 

「まず、この質問からいかせてください」と記者。

「言ってくださると思ったんですが・・・」と轟悠さん。

 

楽しい笑いに包まれる会場。

 

舞台は男役だけでと宝塚に入った時に決めております。

男役だからできた、立たせてもらえた、自分もここまでできたと思っておりますので、

まだ舞台に立つとか女優さんになるとか、そういうものは一切浮かんできておりません。

とりあえずは辞めてから考えさせていただこうかなと思います。

 

とお答えになり、姿勢を正し、あらためて椅子に座り直す轟悠さん。

胸の前で手を合わせて、とても乙女な轟悠さん

 

そして、轟悠さんが待ちに待った質問です!

 

★結婚のご予定は?

ありがとうございます!お待ちいたしておりました!

実は、お名前は言えないのですが、一般の方なので・・・

と、ここまでは用意しておりました!

ありがとうございます、募集いたしております。

 

轟悠さん退団記者会見2

 

このあと、司会の方より

「ありがとうございました、本人非常に楽しみにしておりましたので。」

という補足もありました!

 

私は轟悠さんに、ファンみなさんへのメッセージをいただいてまいりました。

 

轟悠さん退団記者会見5

 

★轟さんの退団はファンのみなさん、轟さんの背中を見て学んでこられたOGのみなさん、

後輩のみなさんも大変衝撃を受けていらっしゃるようです。

ファンのみなさん、下級生のみなさん・後輩のみなさんへのメッセージをお願いします。

長い間、暑い時も寒い時も劇場に足を運んでいただいて、応援していただけたことは

本当に感謝の気持ちしかありません。

応援していただいて本当にうれしかったですし、ありがたく思っております。

残っておりますラストステージまで、私なりに誠心誠意、

お客様のために宝塚のためにつとめたいなと思っておりますので、

ぜひとも引き続きよろしくお願いいたします。

 

このあとは穏やかな表情で写真撮影にのぞまれました。

優しい眼差しをすべてのカメラマンのリクエストに丁寧にこたえて。

 

轟悠さん退団記者会見4

 

「みなさま、ありがとうございました。」と丁寧にごあいさつをされ、

会場からのあたたかい拍手に送られ退場されました。

 

轟悠さんの今後の予定です。

戯作『婆娑羅の玄孫』

7月9日(金)~7月15日(木)<梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ>

7月21日(水)~7月29日(木)<東京芸術劇場プレイハウス

 

轟悠ディナーショー

8月23日(月)・24日(火)<ホテル阪急インターナショナル>

9月21日(火)・22日(水)<パレスホテル東京>

 

ディナーショーをラストステージに、10月1日、宝塚歌劇団を卒業されます。