宝塚バウホール 月組公演 バウ・ミュージカル 『LOVE AND ALL THAT JAZZ』 …ベルリンの冬、モントリオールの春…

 

宮村裕美です

 

現在、宝塚バウホールで上演中の、

 

月組公演

バウ・ミュージカル

『LOVE AND ALL THAT JAZZ』
…ベルリンの冬、モントリオールの春…

 

 

 

主演を務めるのは、風間柚乃さん。

 

この公演の作・演出は谷正純さん。

風間さんを主役にと聞いた時に、

ジャズが禁止されたドイツで、

ジャズを愛し、ジャズで戦うという設定が

真っ先に思い浮かんだそうです。

 

風間さんがバウホール公演の主演を務めるのは、

今回が初となります。

同じく、バウホール公演にて

初のヒロインを務めるのは、きよら羽龍さん。

 

風間さんときよらさん

お二人の空気感が似ており、

並んだ時にとてもお似合いの印象を抱きました。

その印象は並びだけではなく、

お芝居も息ピッタリで

二人のお芝居が心地よく感じました。

 

 

物語の舞台は、第二次世界大戦下のベルリン。

ドイツ人ジャズピアニストのルーカスが

ベルリンのジャズを守るという強い信念のもと、

ジャズ・クラブ「ディ・フライエ」を

一人護り続けていました。

ある時、店へ逃げ込んできたユダヤ人の娘、

レナーテを匿ったことで、ルーカスの運命が動き始めます。

 

 

舞台の始まりは、風間さんのピアノ演奏から。

公演のポスターには、

ピアノを弾いている風間さんが

写っていますが、物語の最中にも

何度かピアノを弾く風間さんルーカスの姿が。

 

谷さんが、風間さんへ向けて

「彼の武器は音楽です。」と言っていますが、

まさにその通りで、ピアノを弾く姿も

これまた非常に似合います。

ピアノを弾いた後、ピアノがある舞台奥から

階段を降りてこられるのですが、

この時の表情がとてもかっこよく

シルバーのスーツが風間さんの輝きを増しています。

 

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風間柚乃さんが演じるのは、

ジャズピアニストのルーカス・ボルクマン。

 

突然店に逃げ込んできたレナーテを助け、

その後も彼女が平和に過ごせる場所へ行けるように支えます。

 

ルーカスの人の良さが、言動のみならず、

お芝居の端々から感じ取れるのは

演じる風間さんが、自然体で包み込むような

温かなお芝居をされているからこそだと感じます。

 

レナーテがルーカスに自然と惹かれていくのも、

風間さんルーカスがどんな時も前を向き、

現実と向き合いながらも

今を精一杯生きる姿を見ていると

非常に納得できますし、

 

そんな強い意志で前を向いているルーカスに

周りの人々も心を動かされていきます。

 

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どの場面も印象的ですが、やはり

二幕の収容所の場面は、見ている皆さんも

引き込まれる場面ではないでしょうか。

 

カナダの民間ドイツ人収容所では、

多くの人が収容されています。

厳しい状況の収容所と比べると、皆さん平穏に

しかし、いつまで経っても

終わりが見えない労働に追われ、生活しています。

 

そこにやってきたルーカスは、

自分がジャズピアニストであることを

証明しようとピアノを弾き、歌います。

 

今まで希望や未来を忘れていた

収容所の人たちは、ルーカスの音楽や

まっすぐな思いに心を動かされます。

 

これまでの思いを発散するかのように

歌い・踊る皆さんの、強いエネルギーを感じていただける魅力的なシーンです。

 

また、音楽と共に心を揺さぶられる

風間さんの心情が乗った歌声にも惹きこまれました。

 

美しい歌声はもちろんなのですが、場面ごとに

心の奥底からルーカスの気持ちが

伝わってくるかのような歌声が

伸びやかにバウホール全体に響き渡ります。

 

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ユダヤ人の娘、レナーテ・ヤニングスを演じる

きよら羽龍さんの歌声も

美しさの中にレナーテの思いがつまっていて、

場面ごとに歌声が変わる様は、まさに天使の歌声そのもの。

 

ジャズ・クラブに逃げ込んだ際、

歌手志望だと親衛隊の目を欺くのですが

歌いだした瞬間に、その場の空気が変わるのを肌で感じました。

 

ルーカスと自由を求めて旅立つも、

ユダヤ人ということで、不安いっぱいで

心配そうな曇った表情が続きます。

しかし、ルーカスと一緒に過ごすうちに

時々魅せるキュートな表情、そして健気な姿が可愛くて素敵です。

 

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物語の最後に

ルーカスとレナーテが再会する時の

見つめあった風間さんときよらさん、

お二人の瞳の輝き、目のお芝居に吸い込まれました。

 

 

今回、専科から汝鳥伶さん・紫門ゆりやさんが

ご出演されていますが、汝鳥さんは二幕からのご出演です。

汝鳥さんが演じるのは、大学教授のフリードリヒ。

紫門さんが演じるのは、獣医のツヴァイク。

 

お二人とも、民間ドイツ人収容所に

収容されており、ルーカスが脱走するのを

助けてくれる存在なのですが、

それぞれお二人が

お芝居にいい味を出してくれています。

 

特に、フリードリヒがルーカスに言葉を掛けるシーン。

一つ一つのセリフがとても温かく、

汝鳥さんの偉大さを改めて感じました。

 

 

そして、その他の出演者の皆さんは、一人二役。

またはそれ以上ということで、

一幕と二幕で全く異なる人を演じています。

 

たとえば、千海華蘭さん。

一幕では、パリのジャズ・クラブの

トランペット奏者、ルネを演じ、

レナーテのカナダ行きを手助けします。

ジャズの音楽と共に歌い・踊る姿が

とてもかっこよくて、イケメンっぷりにドキドキしてしまいます。

 

二幕では、収容所の所長、ジャスティンを演じています。

収容所に新たに連れてこられたルーカス。

真っ直ぐな思いで突き進み、みんなの心を動かす

ルーカスのことをよく思いません。

しかし、最終的には強い意志で困難に立ち向かうルーカスを認めます。

 

 

ルーカスとレナーテを温かく迎え入れるルネ。

冷たく厳しくルーカスに当たるジャスティンと、

これだけ全く違う役を演じ分けられるのも、千海さんだからこそ。

 

 

しかし、二役を見事に演じていたのは上級生だけではありません。

 

一幕では、ベルリンの偽造屋

佳城葵さん演じるシュミッツの助手、

セレシュを演じた蘭尚樹さん。

 

シュミッツを訪ねて

ルーカスとレナーテが訪れた際、

とても大きな声で何度もシュミッツを呼んだり、

客を一人で任せるなと泣いたり、

まるで幼い子どものようなのですが

実はそれはお芝居。

偽造屋の助手ということで、念には念をと

あえて幼さを演出しています。

まずこの時点で、魅力的な演技力なのですが、

二幕では、ユダヤ人のごみ収集業者

ウッディを演じます。

 

礼華はるさん演じる、

ごみ収集業者のユーディと共に

ルーカスが逃げるのを助けるのですが、

所長のジャスティンの気持ちを動かすのが

このウッディとユーディ。

 

二人の言葉でジャスティンの気持ちが

変わったのが見ていてわかるように、

その言葉はとても温かくて自然で

見ているこちらも涙を誘われます。

 

礼華さんは、一幕ではナチス親衛隊の少尉

エーリッヒ・ゾマーを演じています。

この時の冷ややかな視線と

冷酷に任務を遂行しようとする姿からの

二幕のギャップに、心を奪われます。

スタイル抜群の礼華さんが着こなす軍服姿も魅力的でした。

 

 

蘭さんや礼華さんをはじめ、ほかの皆さんも

一人一人が二役を丁寧に・大切に

演じているのが伝わってきますので、

一幕と二幕、それぞれの役を

全力で生きている舞台姿に目が離せません。

 

 

そして、この公演はフィナーレがあります。

まずは汝鳥さんが

星空のようにライトが輝く中、

しっとりと歌われます。

そのあとは、ガラッと空気が変わり

舞台がパッと明るくなり、皆さんで

「sing sing shig」を踊ります。

 

全身で陽の明るいパワーを放った皆さんが、

全力でパワフルに

そして何よりもキラキラとした

楽しそうな眩しい表情で踊られる姿に、元気をもらえます

 

この一瞬のフィナーレが、

「この公演を見られてよかった」と感じる思いに

拍車をかけているなと思える、

とっても素敵なフィナーレです!

 

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フィナーレの最後に風間さんが登場された際、

優しそうに風間さんを見守る

皆さんがとても印象的で、特に紫門さんの

包み込むような温かな笑顔に癒されました。

 

 

今回の公演は、決して楽しいだけの

時代のお話ではありませんが、そんな中で

懸命に生きる皆さんの熱のあるお芝居に

言葉では表せないほどのパワーを感じ、

そのエネルギーの強さに心が動かされます。

 

そして、お芝居の所々にある楽しいジャズナンバー。

ジャズが詳しくないという方でも楽しめる

華やかで楽しい場面とお芝居の深く重い物語と、

メリハリがあり、初めて見る方でも

物語に集中することができる作品だと思います。

 

 

周りの皆さんの心を動かし、

先頭に立つルーカスの姿は

これからの月組を担い、そして今までも

新人公演などで下級生の皆さんを

引っ張ってこられた風間さんの姿に重なりました。

人が自然と惹きつけられ、

‟この人についていきたい”と思わせる

包容力や落ち着きが風間さんにはありますよね。

 

 

現在、宝塚バウホールにて上演中の

月組公演 バウ・ミュージカル

『LOVE AND ALL THAT JAZZ』
…ベルリンの冬、モントリオールの春… は、

10月18日(月)までの上演です。

 

千秋楽、10月18日(月)の14:30公演は、

タカラヅカ・オン・デマンドにてライブ配信が行われます。

詳しくは、宝塚歌劇公式ホームページをご確認ください。