宝塚大劇場星組公演『柳生忍法帖』・『モアー・ダンディズム!』

樽井美帆です

 

星組公演

宝塚剣豪秘録 『柳生忍法帖』

ロマンチック・レビュー 『モアー・ダンディズム!』

が、宝塚大劇場にて9月18日(土)から11月1日(月) まで上演され、

東京宝塚劇場にて11月20日(土)から12月26日(日) まで上演されています。

 

また、1993年1月1日に開場した現在の宝塚大劇場が、

10月15日(金)午後1時公演において来場者数3000万人を達成し、

終演後にセレモニーが行われました。

 

 

宝塚剣豪秘録 『柳生忍法帖』

原作/山田 風太郎「柳生忍法帖」

脚本・演出/大野 拓史

 

山田風太郎の小説「柳生忍法帖」。

史実にフィクションを織り交ぜ壮大なスケールで描かれた傑作時代小説を宝塚歌劇が初の舞台化。

将軍家剣術指南役の嫡男ながら城勤めを嫌い、剣術修行に明け暮れる隻眼の天才剣士、柳生十兵衛。

敵討ちを誓う堀一族の女たちを託された十兵衛は、死闘を繰り広げながら会津へと向かう。

待ち受けるのは、藩を牛耳る謎の男・芦名銅伯と、銅伯の娘で加藤明成の側室ゆら。

果たして十兵衛たちは、凶悪な敵を打ち倒すことが出来るのか…。

 

礼真琴さんの開演アナウンスから、どれほど頼りがいがありステキな

柳生十兵衛であるかを容易に想像することができました。

 

礼真琴さん演じる柳生十兵衛の登場場面がカッコイイ

スポットライトが照らす銀橋に座っての登場です。

強くて頼もしく懐が深く、そしてユーモアもある隻眼の天才剣士。

黒い衣装と高い位置で結った髪がとてもよくお似合いですね。

礼真琴さんの明瞭で頭と心の奥深くまで届く歌声。

キレのある動きと立ち廻り。

そして、本当に目にも止まらぬ刀裁き。

激しい立ち廻りをしながら全力で歌う礼真琴さんの柳生十兵衛を、

息をすることも忘れるほど見入ってしまいました。

隻眼の天才剣士ですので、片方の目だけのお芝居になりますが、

それを感じることがないくらい、凛々しさ、慈しみ、可愛いなど

様々な眼差しの虜になりました。

そんな強く頼もしい柳生十兵衛ですが、父親の前では弱いところも魅力の一つ

 

星組『柳生忍法帖』2

 

舞空瞳さんは、会津藩主・加藤明成の側室で、芦名銅伯の娘ゆら。

豪華な髪飾りを付け、冷たくミステリアスな雰囲気をまとった舞空瞳さん。

ゆらは決して言葉を多く発しないのですが、

様々な感情を絶妙な首の角度によって表現されているように感じました。

 

今公演で退団される愛月ひかるさんは、芦名銅伯。

会津藩主・加藤明成に仕える謎多き人物。

芦名一族の長。

目や首の動かし方、まとう雰囲気のすべて、存在そのものが

ゾクッとするほど美しく、この世の者ではない、

ただ者ではないオーラが漂っていました。

金色のサラサラストレートのかつらにさえ、魂が宿っているように見えました。

髑髏模様の大きな衣装も、美しく着こなす愛月ひかるさんの存在感。

双子の兄弟である芦名銅伯と天海大僧正の二役を演じた愛月ひかるさん。

愛月ひかるさんの声同士で激しく言い争う場面は迫力満点でした。

自信満々で野心に満ちている銅伯が絶望した時のお芝居には、

哀愁が漂い心が締め付けられました。

 

星組『柳生忍法帖』1

 

芦名一族の精鋭・会津七本槍。

七人全員カッコよく、ギラギラと濃い存在感で迫ってきました。

悪役ですがあまりにステキで、お一人お一人見入ってしまいました

メイクにも衣装にも個性がありましたね。

私は、漣レイラさん演じる具足丈之進はティボルト風、

極美慎さん演じる香炉銀四郎は天草四郎風かななどと思ってしまいました

漆戸虹七郎を演じた瀬央ゆりあさんは、何があっても表情を崩さず

ポーカーフェイスなのですが、柳生十兵衛に対しては敵意むき出し。

礼真琴さん演じる柳生十兵衛と、瀬央ゆりあさん演じる漆戸虹七郎、

同期生であるお二人の直接対決は見どころの一つだと思います。

 

堀一族の女たちの活躍も見どころですね!

愛する家族の敵討ちを誓う女たちが、十兵衛先生の指導のもと

強くたくましく凛々しく確実に成長していく過程には感動を覚え、

一生懸命な姿に客席からエールを送りました。

娘役さんには珍しい、迫力の音楽に合わせた本格的な立ち廻もありました。

宝塚歌劇の娘役さんとしては珍しい役でしたが、美しく可愛く強いという

最強の娘役さんたちのお芝居を見せていただけたと思います。

そして、みなさんそれぞれ個性的で、その姿を追うことも楽しかったです。

 

時にヤキモチをやいてしまうほど十兵衛先生を慕う堀一族の女たちがとても可愛いく、

そんな女たちに翻弄される柳生十兵衛・礼真琴さんも可愛い

 

音波みのりさん演じるお圭とともに花嫁と花婿に扮した柳生十兵衛・礼真琴さん。

お圭が『ふいに抱き寄せられ動揺してしまいました!』という場面、

礼真琴さんの包容力がステキ過ぎて、思わず動揺したのはお圭だけでは

なかったのではないでしょうか?

 

 

ロマンチック・レビュー 『モアー・ダンディズム!』

作・演出/岡田 敬二

 

宝塚歌劇の永遠のテーマである“男役の美学”を追求する“ダンディズム”シリーズ。

1995年、花組・真矢みきさん主演の『ダンディズム!』、

2006年、星組・湖月わたるさん主演の『ネオ・ダンディズム!』に続く第三弾。

 

『ザ・ダンディーザ・ダンディー』というコーラスが響き渡り、緞帳が上がると

黄色・オレンジ・緑・青の4色の衣装とソフト帽をかぶった

ダンディーズとレディースが大階段と舞台で踊りだします。

時折入るピアノの音で、一瞬止まってポーズ。

指先までエレガントで完璧な角度の動き。

懐かしい『ダンディズム』の世界が繰り広げられます。

ダンディーズとレディースの衣装は、初演とは色味が違いますが、

スーパーダンディ礼真琴さんは、初演の真矢みきさんと同じ赤い衣装で天空より登場!

 

ショーでも、全ての場面で歌い方や声が違う礼真琴さんの歌に圧倒されました。

 

続いてピンクの衣装の舞空瞳さんが、

オレンジ色の衣装の愛月ひかるさんと青い衣装の瀬央ゆりあさんとともに登場。

 

振り付けや大階段の光る柱など、初演を思い出し懐かしくて涙が出そうになりました。

 

ラベンダー色の衣装で、愛月ひかるさんが銀橋で優しく歌う

『おもい出は薄紫のとばりの向こう』

忘れな草・ リアトリス・すみれ・露草・風鈴草など様々な花が歌詞に織り込まれており、

愛月ひかるさんの歌声で美しい情景が広がります。

愛月ひかるさんの優しい眼差しとえくぼ。

最高に美しい表情です

 

星組『モアー・ダンディズム!』1

 

一組の若い恋人達の想い出。

青年が一つの指令を受け、恋人に別れを告げ、戦いに向かう『ミッション』

手紙が使われているセットが印象的。

礼真琴さん・舞空瞳さんお二人の素晴らしいダンスにより美しい世界が繰り広げられます。

スゴ技が何度も繰り出されます!

 

有沙瞳さん・小桜ほのかさんを中心とした8名の娘役さんによる場面

『ビューティフル・ラブ』

ロマンチック・レビュー独特の大きな帽子と鮮やかな色彩のドレスに身を包み、

美しい歌声を響かせるとても爽やかな場面でした。

 

黒燕尾の紳士たちとピンクのドレスの淑女たちによるスペクタクルな

『キャリオカ』

舞台の中央にセッティングされた15段ほどの階段の真ん中で

歌って踊る黒燕尾の礼真琴さん。

身体を少し斜めに向けて階段を下りてくる礼真琴さんがダンディでかっこいい

礼真琴さんの「オイ!」という掛け声を合図に、黒燕尾の男役さんが加わります。

『キャリオカ』は、セットが次々と転換し、生徒のみなさんが舞台のいたるところから

登場してくるワクワクがとまりません!

階段が真ん中で割れて、その間から登場したり、

舞台中央の大きなセリが上がって舞台上にセッティングされたアーチ型トンネルを通って

トップコンビが登場したり。

柔らかい素材のドレス姿の娘役さんが翻す裾の美しさにうっとり。

特に音波みのりさんの優雅な裾さばきに見とれてしまいました。

中心で踊る礼真琴さん・舞空瞳さん、愛月ひかるさん音波みのりさん、

瀬央ゆりあさん・有沙瞳さんがお互いを見つめる瞳と美しいお顔の角度にも

終始うっとりしました。

大舞踏会のように優雅で気品にあふれる場面。

心がギュッとなる感動を覚え、終わってほしくない、ずっと見ていたいと本気で思った

本当に美しい場面でした。

 

星組『モアー・ダンディズム!』2

 

若い士官たちと美しい淑女たち、一人のプリンスが過ぎ去りし青春を歌う『ゴールデン・デイズ』。

水色の軍服姿の初々しい男役さんと、優雅で美しい白い軍服姿の愛月ひかるさん。

愛月ひかるさんの長い足にあらためてうっとり

愛にみちた場面。

水色の軍服姿の男役さんとドレス姿の娘役さんが、中央に立つ愛月ひかるさんに向かって手を伸ばすと、

尊い神々しさに感動が込み上げました。

 

初演を思い出し鳥肌が立つほど感動した『ハード・ボイルド』

ストライプの衣装で、どこまでも正確で完璧なダンスを披露される礼真琴さん。

漣レイラさん・瀬央ゆりあさん・綺城ひか理さん・碧海さりおさんも

かっこよくポーズを決めていきます。

何ともいえない緊張感がたまらないのも、この場面の魅力ですよね。

礼真琴さんが『PARADISO』を歌い、早いテンポで男役さんが踊ります。

羽山紀代美さんの奇跡の振付

息をすることを忘れて見入ってしまう本当にカッコイイ場面です!

 

赤いダービー・ハットに赤い蝶ネクタイ、ゴールドのジャケットという

タキシード風の衣装の『ザ・ロケット』

最後のポーズを決め、照明が消える寸前の稀惺かずとさんのウィンクが

とても美しくチャーミングでした。

 

ラテン・ロック風アレンジの『テンプテーション』

真紅の衣装とターバン姿の礼真琴さんと男役のみなさん、そして真紅のドレスの娘役のみなさん。

舞空瞳さんは、かっこいいし可愛いし本当に無敵でした!

どの場面でも舞空瞳さんの笑顔は最高で、特に礼真琴さんを見つめる笑顔が可愛すぎました

 

美しいグリーンの衣装で瀬央ゆりあさんが銀橋で歌う『ラパッション』

パワー全開の歌声、熱く声量たっぷり!

ミラーボールも真っ赤に輝き、客席からは熱い手拍子!

ショーの終盤にも関わらず元気いっぱいの瀬央ゆりあさん

思わずマスクの下で笑顔になってしまうほど、

とても若々しくて溌剌とした瀬央ゆりあさんから幸せと元気をいただきました。

 

礼真琴さん・舞空瞳さん・愛月ひかるさん、三人の場面『アシナヨ』

柔らかなシフォン生地の青い衣装の礼真琴さんが大階段で

『アシナヨ』を一人で歌っていると、ネイビーのドレス姿の舞空瞳さんと

同じくネイビーの衣装の愛月ひかるさんが大階段から登場し踊ります。

礼真琴さんが愛月ひかるさんの肩に、そっと手を置く振付も。

愛月ひかるさんが大階段を数段駆け上がると、ジャケットの裾がマントのようにフワーッと翻り、

そのあと正面を向く姿が美しすぎました

人はこんなにも美しい表情ができるものなのかと感動しました。

愛月ひかるさんが歌う『アシナヨ』にのせてトップコンビがデュエットダンス。

 

星組『モアー・ダンディズム!』3

 

パレードは白い衣装で、男役さんも娘役さんもシルクハット姿。

なんと、ここで初めて主題歌が歌われます

歌いだしから、新しい風が吹いたような心地よい主題歌は、吉﨑憲治さんの作曲。

曲にあわせて小さく踏む愛月ひかるさんのステップがとても上品で、

つま先まで男役の美学が輝いていました

ゆったりとダンディズムの世界に酔いしれたひととき。

どこまでもエレガントでダンディでビューティーなショーでした。