宝塚大劇場雪組公演『夢介千両みやげ』・『Sensational!』

樽井美帆です

 

雪組公演

江戸スクランブル『夢介千両みやげ』

ショー・スプレンディッド『Sensational!』

が、宝塚大劇場にて3月19日(土)から4月18日(月)まで上演されました。

 

5月7日(土)から6月12日(日)までの公演期間が予定されていた東京宝塚劇場公演は、

公演関係者の新型コロナウイルス感染確認を受け、公演を安全に実施するにあたり

必要な準備期間を確保するため5月7日(土)から10日(火)の公演は中止となりました。

 

 

大江戸スクランブル『夢介千両みやげ』
原作/山手 樹一郎「夢介千両みやげ」
脚本・演出/石田 昌也

 

「桃太郎侍」をはじめ数々の名作を生み出した山手樹一郎の代表作の一つ「夢介千両みやげ」。

腕っぷしは強いが喧嘩嫌いでお人好し、お節介な心優しき青年・夢介の活躍を描く傑作小説が舞台化されました。

 

開演前、舞台上には春らしくて思わずかわいいと言ってしまいたくなる映像が。

大入、招福、百万両などの文字や、雪組と書かれた小判を持った招き猫。

招き猫はまばたきしていましたね!

 

彩風咲奈さんが演じたのは、

相州小田原入生田村の、裕福な庄屋の息子。

千両を使っての道楽修行を父から言い渡され、江戸を目指して旅に出ます。

田舎育ちの純粋な人の好さから、金銭目当てで目を付けられることもしばしば。

しかし、どこか掴みどころがなく、知らず知らずに周りを自分のペースに巻き込んでいきます。

また、意図せず女性たちを夢中にさせる不思議な魅力を持っているんです。

腕っぷしは強いが喧嘩嫌い、心優しい善意の塊のような青年で、江戸でもお節介な性格を発揮。

お金と優しさで問題を解決するうちに、出会った人々に大きな影響を与えていきます。  

 

登場は、桜吹雪と富士山を背景に、菅笠と旅装束でせり上がり。

自己紹介をする夢介。

一目見ただけで、いい人だとすぐに分かる表情と姿でした。

そして、周りの人々に笑顔でお辞儀をする姿からは、世間知らずであることを一瞬で感じました。

一目みただけで、また一瞬で夢介がどんな人物であるかを表現された彩風咲奈さん。

スゴイですよね!

『CITY HUNTER』で冴羽獠を演じた同じ人とは思えません!

 

お金を盗られても『怒ってねえだ。』

ゆる~い笑顔で『へぇ。』

独特の言葉のなまりを見事に使いこなしていらっしゃいました。

 

とても腰が低い人物で、こんなトップスター今まで見たことないと思ってしまいました!

 

見事に次々と騒動に巻き込まれ、牛みたいにボーッとしていると言われている夢介。

ぽやっとしているようですが、実はしっかり自分を持っています。

 

ずっと穏やかでゆるゆるだった夢介ですが、

『許せないことがある』

『決着をつける』

とお芝居の終盤では、力強い立ち廻りを披露。

優しいだけでなく、心も体も強い夢介。

そのギャップに惚れました💘

他人のために泣いたり笑ったりする、日本一のお人好し夢介。

彩風咲奈さんのふんわり優しい眼差しと笑顔に癒されました。

 

雪組『夢介千両みやげ』1

 

朝月希和さんは、“オランダお銀”と呼ばれる肩書付きのスリ。

人目を引く美人で、夢介を色仕掛けで騙そうとしますが、彼の底抜けの優しさに触れ、その人柄に惚れてしまいます。

スリを辞め、夢介に相応しい気立ての良い人間になることを誓い押しかけ女房になりますが、やきもちやきの一面を持ち、元来の気性の激しさを抑えきれずに悩みます。

情に厚い姐御肌ですが、夢介の前では恋する乙女の可愛らしさも見せます。

 

朝月希和さんは、目線や歩き方、首の角度などが涼し気で、かっこいいきっぷのいいお銀さん。

指先まで美しい所作でお銀さんを演じていらっしゃいました。

悪さはしてきたけれども、お銀さんなりの熱く正義感があることが伝わってきました。

惚れた夢介のために一生懸命いい人になる努力をする健気さには思わず応援したくなりました。

この真逆の要素の絶妙なバランスが、不思議なかわいさとなり魅力的なお銀さんでした。

 

今までに見たことがないほどのいい人である夢介に、秒で惚れるお銀さん。

惚れた瞬間が、キラリンという音や七色の光で分かりやすく演出されていたのも楽しかったです。

 

江戸の飛脚問屋・伊勢屋の放蕩息子、総太郎を演じたのは朝美絢さん。

流行りの着物に身を包み、通人を気取っては、芸者遊びなどに明け暮れています。

器量良しで、モテ過ぎるのが悩みの種だと豪語しますが、実のところは女性に惚れやすく、たびたび夢介を厄介事に巻き込みます。

 

モテてモテてしょうがない総太郎。

この顔、この声、この目力と、自分で言ってしまいますが納得の美しさ✨

 

親にも世間にも甘えて生きているダメっぷりが、顔にも歩き方にも出ているのですが美しい朝美絢さんの総太郎。

 

ダメな人間過ぎて清々しいほどでした。

 

宙組から雪組へ組替えとなり、初の雪組公演出演となった和希そらさんが演じたのは、スリの少年三太。

お銀とは、火災で焼け出された者たちが住む“お救い小屋”で苦楽を共にした、姉弟のような間柄。

幼い弟と妹を養っています。

 

お髭をはやしたダンディーなおじさまから青年まで幅広く演じてこられた和希そらさん。

三太は、17、8才の設定。

本当に17、8才にしか見えませんでしたよね?

 

お銀さんのことを見守り、人の笑顔と幸せを願う三太。

ちょっと悪ぶった表情と態度と、周りの人を思う本来の優しさのギャップが魅力的でした。

 

この公演で退団された綾凰華さん。

地元兵庫県宝塚市のご出身。

さらに地元の公立高校である兵庫県立宝塚高等学校のご出身です。

 

綾凰華さんが演じられたのは船頭の悪七。

一つ目の御前の手下。

悪行三昧のチンピラで、夢介にも因縁を付けます。

 

夢介と関わることで、自分にとっての大切な存在に気付き生き方をあらためていく悪七。

可愛く麗しいお顔に、ザ時代劇のような髪型が新鮮だった綾凰華さん。

退団公演でもまた新しい魅力を見せてくださいました。

 

縣千さんは、自由気儘な遊び人、金の字。

頭にかぶっていた手ぬぐいを取ると青天!

手ぬぐいの取り方も青天姿もとてもかっこよかったですね。

筆で描いたような凛々しい眉毛も素敵でしたし、見せ場で披露した長袴のさばき方もかっこよかったです。

縣千さんは、新人公演で主演をつとめられました。

 

娘役さんも大活躍でした。

春駒太夫・愛すみれさんとお糸・夢白あやさん、お二人の手妻が見事で可愛かったですね。

 

真っ赤なほっぺのメイクが可愛らしい伊勢屋の女中お松・野々花ひまりさん。

好きな総太郎にいつもほったらかしにされひどい扱いを受けます。

そんなひどい扱いを受け舞台からはけるお松ちゃんは、いつもいじらしくかわいそうなのですが、特にスポットライトがしぼられて消えゆく時のお顔がせつなく、でもとてもかわいかったです。

 

雪組『夢介千両みやげ』2

 

芸者の浜次を演じた妃華ゆきのさん、猪崎を演じた星加梨杏の美しい舞台姿も私は印象に残っています。

 

夢介の爺や・嘉平は汝鳥伶さん。

江戸へ道楽修行へ旅立つ夢介を、くわをかついで見送る嘉平。

悪い女にだまされないでと手を振って見送ります。

汝鳥伶さんは登場されるだけで、何とも言えないほっこりした雰囲気と哀愁、かわいらしさとあたたかさが劇場中に漂いますよね。

 

ワチャワチャな立ち廻りも楽しめましたし、何といっても舞台と客席が一体となったラスト場面は感動的でした。

 

『お手を拝借』という夢介・彩風咲奈さん呼びかけとともに、舞台と客席が一緒になっての三本締め!

一体感に感動し心があたたかくなりました。

実は、通し舞台稽古取材の際、演出の石田昌也さんが『ぜひ一緒にしてやってください。』とおっしゃっていたんですが、何の予告もなく練習もなく、見事に反応し見事に揃った三本締めができてしまうなんて、宝塚歌劇ファンのみなさんって本当にすごいですよね!

 

雪組『夢介千両みやげ』3

 

ミラーボールが回ってショーのように華やかな場面も楽しめました。

心がふんわり柔らかくなり、マスクの下で思わず笑顔になった作品でした。

 

 

ショー・スプレンディッド『Sensational!』

作・演出/中村 一徳

 

魅惑的に輝く『Sensational!』というタイトルの映像とコーラスでスタート。

素晴らしい歌声は、カゲソロ・希良々うみさん、カゲコーラス・絢斗しおんさん・琴峰紗あらさん・白綺華さんでした。

 

客席の自分が舞台に引き込まれていくようなアトラクションのような映像にワクワクしました。

 

お芝居で夢介を演じた彩風咲奈さんのギャップにも驚くばかりでしたね。

 

シルバーのギラギラ輝く衣装でのスタイリッシュなプロローグ。

 

舞台もシャープにカッコよくキラキラ輝いていました。

 

雪組『Sensational!』1

 

一人の娘役さんを中心に男役さんが踊る場面が続くという新しい構成も斬新でした。

雪組の娘役さんのかっこいい魅力があふれていました。

 

ソフト帽のかぶり方にも個性がありますね。

和希そらさんは、シャープなあごが見える絶妙なライン✨

 

綾凰華さんは、帽子の下から見えるかわいらしい目、愛らしい笑みが魅力的✨

本当に不思議な魅力の男役さんですよね💗

 

縣千さんを中心とした場面『喜び アフリカン』

かっこよくパワフルな場面です。

黒が基本の衣装ですが、ジャケットの袖・ボタン・ネクタイ・ポケットチーフがピンク、シャツは千鳥格子と、カッコよさと可愛さがまだ同居している縣千さんにとてもお似合いだなと私は思いました。

 

オリエンタルな雰囲気漂う場面『Sensational! Wind! 風神』

銀橋、舞台、花道で雪組のみなさんが歌い踊ったあと、一人残って綾凰華さんが歌います。

初めて触れた星の輝き、最後に触れる雪のきらめき・・・

所属された組、星・雪という言葉も入っていて感動的な詞。

退団される綾凰華さんからのメッセージソングを、目をキラキラさせながら美しい笑顔で歌われました。

劇場の隅々まで見渡しながら歌われる姿から、本当に宝塚がお好きなんだということが伝わってきました。

 

愛すみれさんの美しい歌声にのせて、彩風咲奈さん・和希そらさんが踊る『Sensational! Aurora』は、和希そらさん雪組へようこそという歓迎の気持ちにあふれた美しい場面でしたね。

 

半分ずつ生地とデザインが違うとても珍しいデザインの赤と黒の衣装を着たブロンドの朝月希和さんが、タキシード姿の男役さんに囲まれて踊る場面。

とてもカッコよくキュートな朝月希和さんにピッタリの場面でした。

 

黒燕尾の男役群舞は大階段から登場。

最後は銀橋にズラリと並びます。

彩風咲奈さんと綾凰華さん二人だけが残って歌い、最後は彩風咲奈さんが綾凰華さんに場面を託します。

黒燕尾で銀橋で一人で歌う綾凰華さん。

美しい男役姿の綾凰華さんを眺め続けることができた本当に最高の場面でした✨

 

雪組『Sensational!』2

 

そのあと、パープルの衣装の娘役さんが歌いながら銀橋を渡っていくと、なんと黒燕尾の男役さんが再び登場!

もう一度黒燕尾の男役さんのダンスを見ることができる幸せに胸が高鳴りました。

 

雪組カラーのグリーンに輝く大階段で、ゴールドの衣装の彩風咲奈さんが歌っていると、同じくゴールドのドレスの朝月希和さんがせり上がり、緩急のあるダイナミックな大人の雰囲気のデュエットダンスへ。

カゲコーラスは聖海由侑さんと愛陽みらさんでした。

 

エトワール有栖妃華さんの愛らしい歌声とともにパレードがスタート。

 

朝月希和さんの髪飾りがとてもゴージャズで美しくてステキでした。

 

おかわりしたい思いにこたえてもらえるショー!

中村 一徳さん、ありがとうございます!

と言いたくなってしまうショーでした。