宝塚大劇場花組公演『うたかたの恋』・『ENCHANTEMENT-華麗なる香水-』
樽井美帆です
花組公演
ミュージカル・ロマン『うたかたの恋』
タカラヅカ・スペクタキュラー『ENCHANTEMENT-華麗なる香水-』
が、2023年宝塚大劇場の幕開け公演として1月1日(日)から30日(月)まで上演されました。
1月10日から17日の公演は中止となり、新人公演も中止となりました。
東京宝塚劇場では2月18日(土)から3月19日(日)まで上演されました。
ミュージカル・ロマン『うたかたの恋』
原作/クロード・アネ
脚本/柴田 侑宏 潤色・演出/小柳 奈穂子
クロード・アネの小説「うたかたの恋 Mayerling」をもとに、19世紀のオーストリアで
実際に起こった皇太子ルドルフと男爵令嬢マリーの悲恋を、
柴田侑宏さんがドラマティックに描きあげた作品。
全国ツアーや中日劇場で再演を重ね、1983年の初演から40周年となる今年2023年、
30年ぶりに大劇場の舞台に甦りました。
小柳奈穂子さんが潤色・演出を手掛ける新たな『うたかたの恋』として上演されました。
ミラーボールが輝き、主題歌が流れ緞帳が上がるとそこには真っ赤な大階段。
白い軍服姿のルドルフ・柚香光さんと白いドレスのマリー・星風まどかさんが立っています。
主題歌のイントロが聞こえただけで、今から目の前で『うたかたの恋』の世界が
始まることに感動し鳥肌が立ちました。
主題歌を歌うルドルフとマリー。
お互いへの深い愛、お互いを守るんだという強い気持ちが伝わってきました。
柚香光さんが星風まどかさんに添える手、見つめる瞳が優しく愛にあふれていましたね。
二人の歌が終わると1889年1月26日、ウィーンのドイツ大使館での舞踏会。
軍服姿の男役さんと豪華なドレスの娘役さんが繰り広げる盛大な舞踏会で、
豪華なドレスの娘役さんが男役さんにリフトされるとまるで花が咲いたよう。
ジャン・サルヴァドルの水美舞斗さん、フェルディナンド大公の永久輝せあさんの
バレエ要素が入った優雅で美しい華麗なるダンスにうっとり。
柚香光さんが演じたのはオーストリー帝国の皇太子ルドルフ。
美しい軍服姿の数々は、すぐにまた会いたくなってしまうほど虜になりました😍
色やデザインなどが違う軍服を何着も着ていただいて本当にありがとうございます。
特に胸元を開けて腕まくりをし、マリーに心から助けを求めすがるような瞳をする
柚香光さんのルドルフは最強で、現実を越えた麗しさで胸が締め付けられました。
マリーへのすべての言葉に愛があふれているルドルフ。
柚香光さんの空気のような『どうぞ』というセリフが、
私は何度も聞きたいくらい大好きでした💗
マリーが落とした扇子を渡してあげる時、マリーが部屋を見てもいいですかと尋ねた時に
『どうぞ』とおっしゃっていましたね。
とても静かに話す紳士的なルドルフでした。
一つ一つの表情も目が離せないほど美しかったです。
苦手なオペラを観ながら居眠りをしている姿も、つまらなさそうにしている表情も美しい✨
皇太子として苦悩している表情、友人たちと過ごしている時のやんちゃな表情、
疲れている姿さえもかっこいい💖
これまでに出演された作品の中でも、お酒を飲んで酔う柚香光さんという場面がありましたが、
酔いつぶれる柚香光さんは芸術的な美しさではないでしょうか?
マリーを見つめる目がどんどん変わっていくルドルフ。
マリーがルドルフにとって大切なもの以上の存在になっていくことが
とても伝わってきました。
その思いはマリーへの仕草にも表れていましたね。
父であるフランツ・ヨーゼフに呼ばれ急いで行くことになった時、
「また来週の金曜日に」と言って別れを惜しむかのようにマリーの腕をトントン。
力強いお姫様だっこ。
マイヤーリンクの山荘で、テーブルの下に隠れたマリー。
テーブルクロスから見えるドレスの裾を見つけ、そっとテーブルクロスをめくる優しい手つき。
マリーを寝かしつけるルドルフ。
「私の大好きなルドルフ、小さな青い花、三日月の髪飾り、サファイアの指輪・・・」と、
静かにとルドルフに静止されても言い続けるマリーに幼さを感じ、
ともに旅立つことを一瞬ためらったようにも私には見えました。
うっとりするしかない、うっとりという言葉を体現するかのような柚香光さんのルドルフ。
うっとりという言葉を辞書で引くと、「柚香光さんを見ること」と載っているのではと
思ってしまうほどでした。
そんな柚香光さん演じるルドルフに愛される男爵令嬢マリー・ヴェッツェラを演じた星風まどかさん。
落とした扇子を憧れのルドルフに拾ってもらって、うれしくてドキドキしている気持ちが
客席まで伝わってきました。
急に目の前に現実として現れたルドルフを見て固まり、ものすごく近い距離で見つめてしまうマリー。
可愛かったですね!
純粋な笑顔のマリー、一目で可愛いと思ったルドルフに激しく同意します。
ルドルフから手紙をもらいキャハキャハと喜んだり、月に2.3度会って見つめられたいと願い、
憧れての人に会えた時には喜び全開のマリー。
ルドルフのお部屋を見学して喜ぶマリーの姿を落ち着いて見ているルドルフ。
ルドルフはそのマリーの姿があまりに可愛くて、鼻の下に手をあてて笑いをこらえていましたね。
静かで悲し気で優しいルドルフの瞳からすべてを理解し受け入れた無邪気なマリー。
無邪気な笑顔はだんだんと聖母のような包容力のある微笑みになっていきました。
ラストシーンは雪のマイヤーリンク。
はかなくも美しく散ったルドルフとマリーが真っ白な軍服姿とドレス姿で登場。
セットはなくスモークの中二人だけの世界。
ゆっくりした動きで愛を確かめ合う二人。
とっても大切にマリーに触れ抱きしめるルドルフの優しさと幸せそうなマリーの笑顔が
心に残っています。
夢を見ているかのように美しい世界でした。
ルドルフの従兄弟ジャン・サルヴァドルを演じられた水美舞斗さん。
4月28日付けで専科へ異動となる水美舞斗さんが花組生として出演する最後の公演となりました。
ストーリーテラーとしての役割も担うジャン。
清潔感があり、少し目にかかる真っ直ぐな前髪がジャンの実直さを表しているようでした。
ルドフルをあたたかく見守る眼差しは、どこまでも優しかったですね。
ドイツ大使館での舞踏会で、ルドルフと踊るマリーを悲し気に見つめるステファニー。
ルドルフが去ったあとマリーのもとへ行こうとするステファニーを察知し、
まるでワルツの振付のようにステファニーの手を取り踊りながら制したジャン。
ステファニーの名誉とマリーを守ったジャンは、最高にかっこよかったです😍
ルドルフの母親でオーストリー帝国皇后エリザベートは、この公演で退団された華雅りりかさん。
若いルドルフとマリーの思いと二人の未来を尊重し、マリーに言葉をかけるエリザベート。
二人の場面はとても深い愛を感じました。
貫録、哀愁、母としての思いが、華雅りりかさんの美しいお芝居からあふれていました。
宝塚大劇場に住みたい、帰りたくないと思ってしまうほどの『うたかたの恋』でした。
ドイツ大使館で催された舞踏会は、1889年1月26日。
ルドルフとマリーがマイヤーリンクへ旅に出たのは、2日後の1月28日。
どちらも宝塚大劇場公演中でした。
そして1月30日、ルドルフとマリーが魂となって旅立った日に千秋楽を迎えました。
タカラヅカ・スペクタキュラー『ENCHANTEMENT-華麗なる香水-』
作・演出/野口 幸作
序曲が流れミラーボールが輝きショーがスタート!
ブクブクという音とともに美しい香水瓶の中から柚香光さん・調香師レイが登場。
白い衣装にシルクハット、先端に薔薇の花が付いたゴールドのステッキを繊細な手つきで回します。
香水瓶をシュッとひとふきし「アンシャントマン」と香水の魔法をかけると、
2階建てのメリーゴーランドのような香水棚のセットが回り、
パステルカラーの美しい世界が繰り広げられます。
ダンス場面で時々柚香光さんのマイクが入っていませんか?
これまであまりなかったように思うのですが、笑い声や息遣い、
軽い掛け声が聞こえてきて柚香光さんのダンスがさらに魅力的に感じます✨
フローラルをイメージした場面では、柚香光さん演じるNYCガイが
夜の街に出る前に素敵な香を身にまとおうと歌います。
とにかくすべてのポージングが美しく軽やかで優雅💓
香水をモチーフにしたセット『MADOKA』からNYCドール星風まどかさんが魅力的に登場。
とてもチャーミングな星風まどかさんに振り回されて照れる柚香光さんが素敵でした。
第2部ミドル・ノートは、オリエンタルムード漂う場面。
白井鐵造さんの中国を題材にした作品や、『トゥーランドット』などの名曲が歌い継がれます。
公演グッズの扇を使って舞台と客席一緒になって楽しく踊りました。
ウッディー&マリンの場面では、星空美咲さんを中心とした娘役さんがデニムの衣装で登場し、
かわいく溌剌と歌い踊ります。
永久輝せあさんの伸びやかで爽やかな歌声は、とても心地よく明るい未来を感じました。
船のオールを使ったダンスが珍しかったですね。
ムスクの場面では、夜の紳士たちが主催するナイトクラブで、
色気を競う熱いダンスバトルを繰り広げます。
豪華な飾りが付いた黒い衣装の柚香光さんとピンクの衣装の水美舞斗さんが銀橋でダンスバトル!
同期生でともに花組で過ごしてこられたお二人が大人なダンスで魅了します。
お二人が並ばれた時の輝きはまぶしすぎました🤩
近未来、戦争で生命が失われてしまった地球。
星たちが歌い踊り、やがて新たな命が生まれるまでを描いたグルマン。
ANGEL星風まどかさんがブルーの美しいドレスで神々しく登場し銀橋で歌う。
女神のような美しさでした✨
さきほどまで違う場面で激しく踊っていた柚香光さんが白い衣装に着替え加わって踊ります!
金髪が美しい!
驚くほどの早変わりも感じさせないほど優雅に回り、飛ぶ柚香光さん。
美しいダンスは圧巻ですね。
退団者のみなさんを両手をいっぱいに広げて迎える柚香光さん。
柚香光さんと笑顔を交わしながら踊る退団者のみなさんは、幸せの笑顔で輝いていました。
香水瓶をマイクに見立てて、ブロードウェイ・ミュージカルの黄金期の名曲をメドレーで綴る
ラスト・ノート。
AQUA水美舞斗さんを筆頭にアイドルグループ風に歌い踊ります。
一人一人が持つ香水瓶の香水名に注目!
永久輝せあさんはSEA
帆純まひろさんはPURE
などとお名前とリンクしていました。
黒燕尾にシルクハット、ケーンを持った柚香光さんとゴールドの衣装の娘役さんたちが踊り、
美しく優雅でセクシーな黒燕尾男役群舞へ。
柚香光さんとピンク色のドレスの星風まどかさんのデュエットダンス。
そこには幸せしかありません。
華麗な高速リフト!
柚香光さんと星風まどかさんのリフトは助走がないですよね!
星風まどかさんを降ろす時も、柚香光さんは大切に丁寧に優雅に。
エトワールはキラキラの歌声を響かされた星空美咲さん。
とても美しくで優雅でふんわりしたパレード。
慌ただしい日々を忘れる幸せな時間でした。