宙組の伝統「歌力」が感動を呼んだ 新人公演「エリザベート」
姿美保子です
学生のみなさん、夏休みを楽しんでいらっしゃいますか。
毎日お仕事で忙しい皆さんもお盆休みでゆっくりなさっているのでしょうか。
8月とは言え、本当に暑い日が続いていますね
~タカラヅカの夏は暑い。今年は特別だ!?~
「エリザベート」を観劇すると
何故か日常の会話が「エリザベート調」になってしまうのです。
皆様もそんなこと・・・ありますよね?
これも暑さのせいでしょうか。
~失礼~
さて、夕方になっても8月特有の暑さがじっとりと尾を引いているような
8月9日午後6時。
黄昏時の大劇場では宙組新人公演「エリザベート」が上演されたのでした。
新人公演の主演トートは 瑠風 輝(るかぜ・ひかる/98期生)さん。
この公演が2度目の新人公演主演です。
瑠風さんの歌唱や演技からは若木のような伸びやかさを感じます。
宙組期待の新進男役さんですね。
そしてヒロインのエリザベート役は 星風まどか(100期生)さん。
入団翌年の2015年6月に
「王家に捧ぐ歌」新人公演でヒロインを演じて以降この1年余りで、
バウ「相続人の肖像」、ドラマシティ「ヴァンパイア・サクセション」
と立て続けにヒロインに抜擢されている
こちらも宙組注目の娘役さんです。
主演二人に加えて歌える実力者が揃った注目の公演
野口 幸作さん担当:宙組新人公演「エリザベート」観劇日記です。
今回の公演は、これまで上演された「エリザベート」新人公演と同じく、
上演時間に合わせていくつかの場面がカットされた構成となっていました。
(詳しくは番組でご紹介します)
ルキーニ役は 和希そら(かずき・そら/96期)さん。
上背のある本役:愛月ひかるさんに比べ小柄な印象ですが
その分動きは敏捷で、予想通りのはまり役!
口髭が何て似合うんでしょう!
本公演では愛月ひかるさんのビジュアルがかっこいいと評判になっていますが
和希そらさんも負けていません。
瑠風トートの全体のビジュアルは本役の朝夏まなとさんと同じようですが
かつらは瑠風さんのオリジナルなものだったそうです。
本人曰く
「私は黒い髪の色が似合わないこともあり、毛先を少し白くしました」
歴代トートの一人である彩輝 直さんのかつらを参考に
白い毛をアクセントに入れたかつらを着用されていました。
フェースライン添いにもアクセントの入ったかつらは
朝夏まなとさんからもアドバイスをもらってできあがったものだそうです。
続いて登場してくるハプスブルグ家の皆さんも
それぞれ個性を生かし存在感がありました。
特に皇太后ゾフィー: 瀬戸花まり(せとはな・まり/96期生)さんの
力強いソプラノや、
抑圧された美しき青年皇帝・フランツ: 留依 蒔世(るい・まきせ/97期生)さんの
よく通るていねいな歌声は印象的でした。
ソロのナンバーで殊に印象的だったのが
星風まどかさんの歌う「私だけに」です。
嘆いていた歌い出しから次第に強い決意へと歌声が変わっていき
エリザベートの心の動きが歌詞にのってひしひしと伝わってくるようでした。
~自由に生きるのー~ という歌詞は力強く!
最後に歌う ~私にー!~ は
まるで魂の叫びのように迫ってきました。
歌い終わったエリザベートが倒れた一瞬の静寂の後
会場からは割れんばかりの拍手がわき起こっていました。
このすばらしい歌唱は本役の実咲さんのアドバイスから生まれたもののようです。
「曲自体がその人の個性を表していて歌うことでそれが伝わる」
「曲に真摯に向き合っていったら役として成り立つ」
実咲さんからそんなアドバイスもらい、
星風さんは楽譜とにらめっこしながら稽古に励んだと言います。
その成果が如実に現れたシーンが「私だけに」だったのでしょう。
宙組の新人公演は 主だったキャストのソロはもちろん、
コーラスのすばらしさも際立った公演でした。
1幕終盤のウィーンのカフェやミルクのシーンは、
本公演より人数が少ないことを忘れさせるぐらいの迫力であり、
幕が下りた時には会場中から惜しみない拍手が送られていました。
第2幕の見せ場の一つ「闇が広がる」は
銀橋で繰り広げられる緊迫のナンバーです。
青年ルドルフ: 鷹翔 千空(たかと・ちあき/101期生)さんが
瑠風・トートに引きずられ、背中を抱かれ 闇へと取り込まれていきます。
腰を引いて抵抗する鷹翔さんを容赦なく攻め立てる瑠風さん。
視覚的にも見ごたえがありますしデュエットも迫真の出来でした。
そして2幕終盤の名曲は「夜のボート」
年老いたフランツとエリザベートのやるせない程の心のすれ違いを
留依さんと星風さんが見事なデュエットで聞かせました。
本当に 新人公演のレベルを超えているのではと思わせるほど
すばらしいソロやコーラス、デュエットが続いた公演でしたが
新人公演メンバーの皆さんはどんなお稽古をされたのでしょうか。
その様子を囲み取材で瑠風さんに聞いてみましたところ
「本公演より人数が少ない中で
パートに分かれているところを合わさなければならないため
お稽古場では長の期の方がまとめ役となってものすごくお稽古をしました。
特にウィーンの場面やカフェの場面ではみんな本当にたくさん練習をしました」
ということでした。
その成果が見事に舞台に反映されていたということですね。
公演長の和希そらさんも終演後の挨拶の中で
「・・ことに、今や宙組の伝統とも言われているコーラスの力!
今日、たくさんの歌に囲まれたこのエリザベートという作品に出会えたことで
その伝統をしっかりと受け継ぎ守っていかなければならないと
より一層強く思いました・・」
と歌稽古をがんばった新人公演であったことを話されていました。
今回の宙組新人公演は出演者の皆さんが真摯に役に取り組んでいることが
伝わってくるようなすばらしい公演だったと私も感激しています。
それでは8月19日(金)午後2時放送の
【レビュー・ステイション】 感激日記のコーナーでお会いしましょう。
皆様の感想もお待ちしています チャオ
―ミニニュースー
各組の97期生から100期生までの男役をピックアップした
「NEW GENERAITION Ⅳ」が先月発売されました。
宙組からピックアップされていた皆さんは今回の新人公演でも活躍をされていましたので
お終いにピックアップされていた皆さんをご紹介しておきましょう。
97期生
秋奈るい(あきな・るい/シュヴァルツェンベルグ侯爵)さん
98期生
瑠風 輝さん、 潤奈すばる(じゅんなすばる/革命家シュテファン)さん
99期生
希峰かなた(きほう・かなた/ツェップス)さん
100期生
優希しおん(ゆうき・しおん/黒天使・マデレーネ)さん
愛海ひかる(まなみ・ひかる/黒天使)さん
※94期生から97期生までがピックアップされた「Ⅲ」には新公出演者の中から
96期生・和希そらさんと、 97期生・留依 蒔世さんが掲載されています