2017年6月20日(火)花組新人公演 古代ロマン『邪馬台国の風』リポート
安來茉美です。
私が新人公演リポートを担当するようになってから約半年が経ちました。その時お伝えした内容をブログでも残しておきたいと思い、振り返りにはなりますが、これまで取材させていただいたリポートを順次UPしていきたいと思います。
今回は、6月20日(火)におこなわれた花組新人公演 古代ロマン『邪馬台国の風』についてです。本公演においては、明日海りおさん、仙名彩世さんの新トップお披露目公演でしたね。新人公演では飛龍つかささん(写真右)華優希さん(写真左)という初主演・初ヒロインコンビが演じられました。
舞台は、数多くの小国が乱立し、絶えず争いが繰り広げられていた古代日本。
中でも倭国連合の中心となる邪馬台国と、狗奴国は激しく対立。
狗奴国は邪馬台国の豊かな土地を手に入れようと、幾度となく戦を仕掛けては襲ってきます。
幼い頃に両親を狗奴国の兵に殺されたタケヒコは、生き抜く為に闘う術を身に着けていきます。ある時、狗奴の兵に襲われていたマナという娘を助けたタケヒコは、神の声を聞くというマナから“私達は遠い昔に出逢い、もう一度めぐり逢うと誓った”と告げられます。そして人々の平和な暮らしを守る為、巫女になるというマナの言葉を受け、タケヒコも邪馬台国の兵となってこの国に平和をもたらそうと決意。
やがて大巫女の位を受けたマナは、ヒミコという名を与えられ邪馬台国の女王となります。手の届かぬ存在となったマナに思いを馳せるタケヒコ。しかしある事件をきっかけに、二人は再び相見えることとなるのですが……。
上演開始は午後6時から。
舞台を観終わって確かに感じたことは、とにかくキャストの演技がナチュラルで、感情の動きが素直に伝わってきた公演だったということです。
主人公タケヒコ役は飛龍つかささん。98期生にして、すでに大物感が漂っていました。
安定した歌唱、そして滑舌のよさ。敵対する狗奴国の兵士・クコチヒコが、師匠の仇だと知った後の感情の高ぶりもすごく感じましたし、人間らしい、感情の流れが伝わるタケヒコだったと思います。これからが楽しみな、頼もしい存在感をはなっていました。
マナ=ヒミコ役は華優希さん。100期生です。神秘的な本役に比べて、女の子が少しずつ大巫女になっていく過程が感じられるお芝居でした。
特に印象に残っているのは、物語の後半でタケヒコと逃げようとする時に、神意がおりてしまう場面。
とても悲しく辛そうに「神意がおりた・・」とタケヒコに伝えていました。
マナに戻って女性の幸せに生きると決意したのに、それは許されることなのだと言われ、絶望するかのような悲しみに、こちらも胸が苦しくなりました。
でもそこから一変、ひとたび覚悟を決めたら女王の顔になり、凛とした佇まいになるんです。
揺れ動く心情までしっかりと表現された、とにかくレベルの高い、堂々とした新人公演でした。
終演後には囲み取材もありました。
★まずは舞台を終えての率直な感想は?
飛龍「今回本当にありがたい機会をいただきまして、お客様と本当にみなさまのおかげで、こうして無事大劇場のホールの幕をおろさせていただくことができたこと、ほんっとうに感謝の気持ちでいっぱいでございます。今終わって直後は、感謝の気持ちが凄い沢山あるのですが、今この感じている気持ちを大切に、ご経験させていただいたからこそ感じられる気持ちだと思いますし、それに責任があると思いますので、この気持ちを大切に、明後日からの本公演ももちろんそうなんですけれども、ずっと生かしていきたいなと思っております。」
華「未熟ながら、今回ヒロインという役をさせていただけて、本当にたくさんのことを学ばせていただいて、たくさんの方に支えられて、今日を終える事ができて、やっぱり本当にたくさんのまだまだ課題が残ってしまって。今回宝塚で舞台に立たせて頂けて、学ばせていただいたことを、さらに東京に向けて努力を積み重ねて、さらに役を深めてつくっていきたいと思います。ありがとうございます。」
★とても落ち着いて演じているように見えましたが、実際はどんなお気持ちでしたか?
飛龍「私は最初に浴びるライトが本当に眩しくて、経験した事のない眩しさだったので、それにある意味集中させてもらえたといいますか、そこからだんだんお客様がみえてきて、凄く嬉しい気持ちと幸せな気持ちになって、そこからプロローグのナンバー中に、タケヒコの役として、かなり集中することができたのではないかなと思います。まだまだ課題はあるんですけれども…それが落ち着いているように見えたのかも。タケヒコとしてはかなり感情の振れ幅は自分とリンクしながら、感情を動かすことができたかな~と思います。」
華「私は、初めの場面とかは本当に緊張してしまって、体がぐらぐら揺れているのが自分でも…(飛龍:気づいていました(笑))歌の中でも飛龍さんとお芝居をしたり、言葉をかわしたり、歌・・・デュエットの部分になったりしたときに、すごく安心感があって、そこでグッと落ち着けました。」
★今日のいちばん気持ちよかったシーン&本役からのアドバイス
飛龍「一番ラストの華と一緒に曲中(きょくなか)で踊るところ、踊りながら緞帳がしまっていくところで、まだ緞帳がしまりきっていない段階で、お客さんからのあたたかい拍手をいただきまして、そこがいちばん嬉しかった・・・気持ち良かったです。明日海さんからは日々おそばで沢山見させていただきながら、学ぶことが沢山あって、もちろん舞台上に立たれている時もなんですけれども、そうでない袖の中にいらっしゃるときや、明日海さんをずっと意識しながら行動させてもらって、それで舞台が素晴らしいのはもちろんなんですけれども、人間としてといいますか、普段から人に対しての気遣いや思いやりが本当に素晴らしい方なので、そういうのが舞台にあたたかみや包容力として出ていらっしゃるんだなぁというのを改めて思いましたので、私も本当に普段からその気持ちを大切にしていかなければいけないんだなぁというのを一番おそばで感じたことです。本番がいちばんうまくいくものだよ、という風に前日はあたたかく背中をおしてくださって、その言葉に本当に救われました。」
華「私も同じ場面なんですけれども、最後の場面で、お互いの心が深い所で通じ合って、
言葉をかわして、目と目で通じ合えているという感覚が本番もすごくつかむことが出来たので、そこが一番心も幸せだなって思って、いちばん幸せな場面でした。
仙名さんから言っていただいたのは、本当に技術的には未熟すぎる私なんですけれども、いろいろなことを思うかもしれないけれど、私が今まで考えて作ってきたマナの心をつないでいくことを一番大切にしたらいいよということを言っていただけて、その言葉を本番中もずっと、一番大切に思ってやらせていただきました。」
なお東京宝塚劇場での新人公演は8月17日におこなわれました。
以上、6月20日におこなわれた花組新人公演 古代ロマン「邪馬台国の風」リポートをお送りしました! (次回は月組新人公演「『All for One』 ~ダルタニアンと太陽王~」のリポートをUPします)