宝塚大劇場月組公演『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』

樽井美帆です

 

月組公演ミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』が、

宝塚大劇場で2019年10月4日(金)~ 11月11日(月) 、

東京宝塚劇場で2019年11月29日(金)~ 12月28日(土) まで上演されました。

 

「エリザベート」、「モーツァルト!」など数々の大ヒットミュージカルを生み出した

ウィーン劇場協会が、2017年9月にオーストリアそのものを題材として制作した

ミュージカル「I AM FROM AUSTRIA」。

オーストリアの国民的シンガーソングライターであるラインハルト・フェンドリッヒが綴った

名曲の数々と、「故郷」や「家族」をテーマとしながら、コメディー要素を散りばめつつ、

華やかなレビュー満載の舞台は、オーストリア中に旋風を巻き起こし、

2019年6月まで異例のロングランを果たした話題作です。

日本とオーストリアが国交を樹立して150周年となる記念の年に、

105周年を迎えた宝塚歌劇で日本初演されました。

 

宝塚大劇場初日は、月組トップスター珠城りょうさんのお誕生日でした。

 

開演5分前に緞帳が上がり、『5 minutes to go』の文字が、

赤と白、オーストリアの国旗カラーを背景に、

コーヒーカップを持った月組トップコンビ珠城りょうさん・美園さくらさんの

イラストとともに映し出されます。

潤色・演出をつとめる齋藤吉正さんといえば、

イラストや映像を使ったドラマティックなオープニング演出が印象的。

 

オーストリアの国旗と日本の国旗は、ともに赤と白の2色使いですね。

 

イラストの文字が『Let’s the show begin!!』と変わり、いよいよミュージカルスタート!

このイラストは、一幕の終演後と二幕の開演前にも登場し、少しずつ変化していました。 

 

オーケストラの生演奏とともに、オーストリアの名所が、

主要キャストの写真とともに映し出され、あっという間に日本からオーストリアに到着です。

これまでの公演の中で、映像が一番多く使われているのではと感じました。

 

幕が開くとそこは四つ星が輝くホテル・エードラーのロビー。

ホテルの従業員が忙しそうに働いています。

 

月組『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』1

 

どこかで聞いたことがあるようなセリフが聞こえてきます。

ゾフィー、フランツ・ヨーゼフ・・・

今回と同じウィーン劇場協会によって制作されたミュージカル

『エリザベート』に登場する人物の名前ですね。

珠城りょうさんは主演トートを、美園さくらさんも新人公演でエリザベートを

演じていらっしゃいます。

 

ホテル・エードラーの御曹司ジョージ、珠城りょうさんが軽快に登場。

現代的な爽やかな青年です。

このミュージカルは現代劇なんです。

ホテルのフロント係フェリックス、風間柚乃さんと楽しそうに話しています。

赤い制服姿の風間柚乃さんは、人間性の可愛らしさがあふれています。

このおっちょこちょいでお調子者、そして可愛らしさが

お話しにどう影響していくのか目が離せません。

 

珠城さんの胸キュンポイントがたくさんありました

セリフがストレートに心に響きました。

珠城りょうさんに言ってほしいセリフが、

すべて詰め込まれているんじゃないかと思うほど。

 

ボルドー色のシャツ姿でコーヒーを入れて朝ごはんを作る姿。

アイボリーのVネックセーターの上品な着こなし。

 

ケーキが保管されている冷凍室へ閉じ込められてしまった際、

寒がるエマに自分のジャケットをかけてあげて

『少しはマシ?』

 

そして、壁ドン。

珠城りょうさんは、ほぼ全公演で壁ドンをされているような気がしますね。

 

美園さくらさんは、ハリウッド女優エマ・カーター。

登場シーンでは一言もしゃべらないけれども、歩き方やオーラで十分な説得力。

一人で銀橋を渡りながら歌う歌は、裏声と地声を駆使して歌われ、

低音も美しく心地よく響いていました。

個性的な衣装の数々を見事な着こなしていらっしゃいましたが、

私は特に、黒と白のアシンメトリーなデザインのワンピースと

赤・青・緑の色が使われている花柄のジャージがステキだと思いました。

心が疲れている時の硬い表情から、笑顔になっていく過程も注目ポイントでしたね。

 

二人の心を近づけるのが、エードラートルテ。

ホテルの不手際のお詫びにと、ジョージがエマの部屋へ持って行きますが、

床へ落としてしまいます。

床に置いたまま崩れたトルテを食べるエマ。

美味しいと言った時の表情が、心からの笑顔で子どものように純粋な表情でした。

 

とてもステキなトップコンビだなとあらためて思いました。

二人がこれまで探していた何かを見つけ、大切なものに気づいた時に歌う

I AM FROM AUSTRIA

表情が明らかにスタート時と違いました。

素晴らしい表情でした。

 

月組『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』5

 

ジョージの父ヴォルフガングは、鳳月杏さん。

5年ぶりに花組から月組に戻ってきた鳳月杏さん。

スーツに蝶ネクタイに口ひげ、ステキなおじさまは健在。

そして、長い足!

コミカルな動きがかわいらしくギャップがあります。

ジョージの良き理解者。

妻の強さに押されながらも愛が深く優しい。

花組公演『CASANOVA』で、コンデュルメル夫人を経験されたからか

高音も美しく、広い音域の歌がとても魅力的でした。

 

ジョージの母で、ホテル・エードラーの女社長ロミーは、海乃美月さん。

海乃美月さんもこれまでにない役。

ブロンドのストレートボブヘアが、彼女のキャラクターを象徴しているように感じました。

ホテルを五つ星にすること、息子を立派な後継ぎにすることに一生懸命で、

何か大切なことを忘れてしまっている、そして夫と息子の間に壁を感じさせます。

親子の関係がお話しが進む中でどう変化していくかも見どころのひとつ。

 

お芝居の途中にも、ダンスシーン、ショー場面がたくさん入っています。

ホテルの中にあるBar Edlerで、鳳月杏さんが渋く赤ワインを飲んでいたかと思うと、

羽を背負ったダンサーが登場しサンバが繰り広げられます。

夫の浮気を疑ってご機嫌斜めだったロミー海乃美月さんも、

いきなりサンバダンサーとしてバリバリ踊り出します。

見事な早変わりで衣装がサンバダンサーに!

これにはビックリ!

とてもかっこよかったです!

 

誰かが登場するたび、何か起こるたびに大騒ぎのショーが繰り広げられます。

ビックリするところから人が出て来てショーが始まることもありました。

一本立てのミュージカルですが、まるでショーも見たような満足感がありました。

 

休演から復帰された月城かなとさんは、エマのマネージャーのリチャード。

深い緑のギラギラしたスーツがお似合いで、

迫力あるカッコよさと、野心あふれる目のお芝居。

 

月組『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』3

 

暁千星さんは、アルゼンチン代表のサッカー選手、パブロガルシア。

登場された時にまず驚いたのは髪型!

地毛かどうかを、思わずオペラグラスで確認した方も多いのではないでしょうか。

キレッキレのダンス!

お顔の可愛らしさと、アスリートのたくましさ、

そして、可愛らしくて優しいキャラクターのギャップ。

マッチョ!マッチョ!の歌も最高でした。

 

おしゃれでスポーティーな衣装での楽しい客席降り。

一緒にエクササイズをしている気分になれました。

 

二幕には驚きの演出が!

今度は私があなたを誘拐する番よ!というエマのセリフに続いて登場!

うわぁ~すごい!と思わず声をあげそうになりましたよね。

オーストリアのアルプスの雪山を下に見て、トップコンビと一緒に逃避行!

 

月組『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』2

 

人を愛すること思うことの素晴らしさをあらためて感じることができるミュージカル。

自分探しの青春ストーリー。

 

月組『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』4

 

フィナーレで特に印象的だったのは、暁千星さんを中心とした

フットボーラーの歌とアルゼンチンカラーのチアガールたちによるラインダンス。

マッチョ!マッチョ!と元気に繰り広げられました。

 

男役群舞は、黒いチロリアンハットを被ってという

とても珍しいものでした。

 

この公演で退団された叶羽 時さん・陽海 ありささんは、

珠城りょうさんと組んで踊り銀橋を渡られました。

 

トップコンビのデュエットダンスは黒い衣装。

大階段にはオーストリアの国旗が浮かび上がり、スモークの中華麗に。

パワフルなリフトも印象に残っています。

 

エトワールは晴音アキさん。

明るく晴れやかで元気な歌声。

ミュージカルで演じられた元気な警察官役もステキでした。

 

パレードの衣装、娘役さんは白ドレス、男役さんは黒燕尾。

月城かなとさん・美園さくらさんは真っ赤な羽根、

珠城りょうさんは真っ白な羽根を背負っていらっしゃいました。

最後までオーストリアと日本の国旗の2色が使われ、

オーストリアと日本の絆を感じました。