宝塚大劇場月組公演 『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』・『ピガール狂騒曲』
樽井美帆です
月組公演
JAPAN TRADITIONAL REVUE『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』
ミュージカル 『ピガール狂騒曲』〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜
が、宝塚大劇場にて9月25日(金)から11月1日(日)まで上演されました。
東京宝塚劇場では、11月20日(金)から現在上演中、
年をまたいで2021年1月3日(日)まで。
日本物レビューとミュージカルの二本立てです。
休演明け、5組の中で一番最後にスタートをきった月組。
当初4月24日、春に初日を迎えるはずでしたが、
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、スケジュールを変更しての上演となりました。
また、舞台上および舞台裏での密集状況を避けるため、
1公演あたりの出演者を減らして上演されました。
この公演は、専科 松本悠里さんの退団公演、そして待ちに待った第106期生39名の初舞台公演です。
JAPAN TRADITIONAL REVUE『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』
監修/坂東 玉三郎
作・演出/植田 紳爾
日本人の精神性の原点ともされる「雪月花」。
四季折々の自然の美しさ、そこから生まれる心情をテーマに紡ぎ上げる
宝塚歌劇ならではの日本物レビュー。
宝塚歌劇の伝統である洋楽での日本舞踊の魅力を堪能することができる作品です。
また、歌舞伎界のみならず様々な舞台で活躍を続ける坂東玉三郎さんが
初めて宝塚歌劇の監修にあたっていらっしゃいます。
オリンピックに世界中から来られる方々に、日本の情緒を感じていただきたいと企画された作品だったと、
プログラムに植田紳爾さんが書いていらっしゃいました。
それはできなくなってしまったけれども、歴史や伝統を踏まえて宝塚魂の絆の強さと、
生命の賛歌をご覧いただきたいとお気持ちをしるされています。
月組の日本物レビューは、100周年の日本絵草紙 『宝塚をどり』(作・演出/植田 紳爾)、以来となります。
劇場に入るとまず、オーケストラボックスの上にかけられた舞台と銀橋をつなぐ
2本の橋が目に入りました。
幕開きから終演まで涙がとまらない、そんな日本物レビューでした。
耳なじみのあるクラシック曲が使われていたことで、より心に響いたのでしょうか。
幕開きはチョンパ
舞台には満開の桜
銀橋・舞台・花道に、白字にブルー・ピンク・黄色・黄緑の桜模様の着物姿の月組のみなさんがズラリ。
手には金色の扇。
主題歌『それが宝塚』を歌いながら舞います。
主題歌がとても優しく心地よく。
月組のみなさんからものすごくウエルカムされ、劇場で観劇することの喜びをかみしめる
そんな主題歌です。
プロローグが終わると笛の音とともに、口上を述べる第106期生の登場です。
赤い幕が左右に開くと、令和初の初舞台生、第106期生39名がずらり。
すみれ色の着物、豪華なかつらに赤い髪飾り。
まるで39名のお姫様のようです。
小林一三さんが文字を書かれた『清く正しく美しく』の扇のセットの前に、
裃姿の光月るう組長と初舞台生。
このご時世ならではの口上となりました。
組長の舞台再開の御礼とごあいさつに始まった口上は、
『みなさま方のご健勝を一同心からお祈りいたします。』という言葉で締めくくられました。
そして、声量豊かな明るい響きの歌声で、主題歌を歌いながら一列に並んで銀橋を渡っていきました。
舞台は一転、闇の中に朱色の千本鳥居。
降り続ける雪の中、朱色の大振袖に傘を持った一人の女。
松本悠里さんがセリ上がりで舞台へ。
空気が一気に清らかになります。
悲しみの中待ち続ける女。
しかし、待つ人は二度と帰らぬ人・・・
悔しさ、悲しさ、これまでの人生などが切々と伝わってきます。
松本悠里さんの様々な表情、恋する表情、悲しみ、諦め、胸が苦しくなるほどでした。
着物が擦れる音の美しさ、着物の扱い方、可愛らしいしぐさ、美しい体の流れにうっとり。
曲は、ヴィヴァルディ作曲『四季』より『冬』。
美しいカゲソロは、白雪さちかさんでした。
続いては、ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』をボレロへアレンジした月の巻。
一糸乱れぬ圧巻の群舞、衣装も印象的でした。
花の巻は、花の男・月城かなとさんと、鏡の男・風間柚乃さんを中心とした、面白いほっこりする場面。
妖しく神秘的な男役の誕生を『鏡』を通して描き出します。
曲は、チャイコフスキー作曲『くるみ割り人形』より『花のワルツ』。
早変わりである引き抜きも見どころのひとつでした。
そして、幕が落ちるとまたまた舞台には爛漫の桜
主題歌『それが宝塚』での華やかな総踊りのフィナーレです。
松本悠里さんがセリ上がり舞う『我が心 宝塚』
松本悠里さんを囲む月組のみなさん。
宝塚を、そして月組のみなさんを慈しむような松本悠里さんの優しい眼差しが心に残っています。
羽広げた鶴の着物を着られた松本悠里さん。
64年間の宝塚生活、色々な思いを下級生に託し羽ばたいていかれるようでした。
カゲデュエットをつとめたのは、104期生の同期コンビ、
きよら羽龍さん・咲彩いちごさん(宝塚市出身)でした。
本当にあっという間の45分間でした。
ミュージカル『ピガール狂騒曲』~シェイクスピア原作「十二夜」より~
作・演出/原田 諒
シェイクスピア喜劇の最高傑作と言われる「十二夜」の世界を、
ベル・エポック(輝かしき時代)と謳われた古き良き時代のパリ・ピガールに移し、
当時活躍した実在の人物を巧みに織り交ぜ描き出すミュージカル。
今もピガールに残るミュージック・ホール「ムーラン・ルージュ」で繰り広げられる
恋の駆け引き、恋の鞘当てを楽しく描いた物語とともに、
美しく豪華絢爛なレビューシーンも見どころのひとつでした。
アコーディオンの調べが開演前から流れ、舞台には、ピガールの街並みが映し出されます。
幕開きは、赤い風車が回るオシャレなパリ。
珠城りょうさんは、二役を演じられました。
ムーラン・ルージュの裏方として働くことを望み、
実はある重大な秘密を抱えているジャック・ヴァレット。
そして、腹違いの妹を探してパリへやって来たベルギーの貴族ビクトール・バーレンベルク。
ジャックを演じている時の珠城りょうさんは、とてもキュート
少し高めの声で、のびのび歌っていらっしゃいました。
二役のため、早変わりも多数。
鳳月杏さん演じるウィリーが、また着替えた!と驚くほど
どれが本物の珠城りょうさんかを探すのも楽しかったです。
かわいいジャックと爽やかなビクトール。
珠城りょうさんの魅力満載です
珠城りょうさん演じるジャックと、月城かなとさん演じるムーラン・ルージュの支配人
シャルル・ジドレールの掛け合いも見どころですね!
月城かなとさんの丹精なお顔にお髭、そしてハスキーで深みのある声とスマートなスタイル。
そして、様々なギャップと本当に魅力的
珠城りょうジャックに、美園さくらガブリエルと踊ってほしいと懇願するときの
月城さんのロングトーン!
あれだけ歌って踊ったあとなのに本当にすごい!
毎回のアドリブも楽しみでしたね
光月るうさん(ミシェル)、紫門ゆりあさん(フローレンス) 、春海ゆうさん(セドリック)、
佳城葵さん(エドモン)、周りのスタッフも個性豊かでお芝居もかわいいかったです。
美園さくらさんは、夫のゴーストライターをすることに嫌気がさし、
別れを決意したガブリエル・コレット。
言いたいことをハッキリしっかり言う女性。
観ていて心がスッキリ!
オシャレで個性的な衣装の数々を、魅力的に着こなしていらっしゃいました。
華やかなレビューシーンも圧巻。
暁千星さんのすご技には拍手喝采!
そして、ある意味逆のすご技を繰り出す風間柚乃さん演じるボリスにもくぎ付けになりました。
今年は、残念ながら花火大会も各地で中止となりましたが、
この月組公演では最後に花火を見ることができました。
これまでとは異なる生活を送る私たちの、夢や希望を代弁するようなセリフが散りばめられ、
元気と勇気をもらうことができました!
とても軽快で楽しいミュージカルでした。
フィナーレでは、106期生の待ちに待った初舞台ラインダンスが披露されました。
ピンク・水色・白のパステルカラートリコロールの衣装での可愛いラインダンス。
ダイナミックな振付の黒燕尾群舞にうっとり
パレードの衣装も、月城かなとさんがピンク、美園さくらさんが水色、珠城りょうさんが白。
珍しい配色で、3人並んでトリコロール!
今ファッションで人気のくすみカラーでしたね。
パレードでは、シルバーのスティックに鈴がついた小道具を手に。
シャンシャンと涼やかな鈴の音が爽やかでした。