宝塚バウホール 月組公演バウ・プレイ『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』

樽井美帆です

 

宝塚バウホールでは、3月7日(日)から23日(火)まで

月組公演バウ・プレイ『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』が

上演されています。

 

バウ・プレイ『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』
原作/有栖川 有栖(幻冬舎文庫刊「[新版]幽霊刑事」)
脚本・演出/石田 昌也

 

巴東署の刑事・神崎達也が、上司の経堂芳郎に突然射殺された。

私の意志ではないんだよ、すまんという言葉を残し・・・

結婚を間近に控え、殺された理由に全く心当たりがない神崎は、

成仏できず幽霊となってしまった。

誰一人、母親も、フィアンセの森須磨子にも神崎の姿は見えず、存在に気付かない。

愕然とする神崎だが、生きていた頃と同じようにコミュニケーションが取れる

唯一の人物が現れる。

それは、警察学校時代の同期刑事・早川篤。

祖母のイタコの血を引く霊媒体質の早川だけは、神崎の姿を見ること、

声を聞くことができた。

神崎は、唯一コミュニケーションが取れる早川に事件のあらましを話し、

幽霊刑事と霊媒刑事、世界最強のコンビが誕生。

タッグを組んで捜査に乗り出す。

しかし、事件の解決はまた、神崎がこの世に別れを告げ、昇天することをも意味していた。

 

1月15日(金)から17日(日)に、3Days Special LIVE 『Eternità』で

バウホールの舞台に立たれたばかりの珠城りょうさんが

2カ月足らずで再びバウホールの舞台に。

『Eternità』は、昨年2020年6月に宝塚ホテル、パレスホテル東京で予定されていた

ディナーショーでしたが新型コロナウイルス感染拡大防止のため延期となり、

宝塚バウホールに場所を移して上演されまました。

 

宝塚大劇場を6月21日(月)に卒業され、東京宝塚劇場公演の千秋楽

8月15日(日)をもって宝塚歌劇団を卒業される珠城りょうさん最後の

宝塚バウホール公演『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』。

 

脚本・演出を担当されている石田 昌也さんは、

文京シビックホールと梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演された

珠城りょうさんのトップお披露目公演『アーサー王伝説』、

そして月組トップスターに就任されてからの公演

『カンパニー -努力、情熱、そして仲間たち-』を担当されています。

石田昌也さんはプログラムに、プレ・サヨナラ公演でもある公演なので、

恋愛要素も匂わせつつ、鳳月杏さんとのバディー物の要素も・・・と依頼され、

幽霊の視点から舞台化を思いついたと記されています。

 

出演は月組26名、そして専科から京三紗さん・汝鳥伶さんの同期コンビ。

 

京三紗さんと珠城りょうさんは、2018年の『カンパニー -努力、情熱、そして仲間たち-』で

共演されました。

京三紗さんは、バレエ団の代表・敷島瑞穂役。

今回は、珠城りょうさん演じる神崎達也の母・神崎比佐子役です。

あたたかい愛で舞台を包んでいらっしゃいます。

 

汝鳥伶さんは、2010年『ジプシー男爵-Der Zigeuner Baron-』で

珠城りょうさんと共演。

珠城りょうさんは新人公演で、ジュパンという汝鳥伶さんの役を演じられました。

汝鳥伶さんが今回演じるのは、雲井光雄という老人の幽霊。

珠城りょうさん演じる神崎にとって幽霊の先輩です。

この世との別れについて、先輩幽霊として後輩幽霊の神崎に

あたたかく教え諭していきます。

 

珠城りょうさんのあたたかい声のナレーションから舞台はスタート。

人生は自分探しの旅というが、万一自分が見つからなかったらどうなるのだろう。

そして、運よく自分が見つかったとしてどう生きればいいのか、なんて考えたこともなかった。

幽霊になるまでは・・・

 

銃声音、救急車のサイレンに続いて、

暗闇のカオスという歌詞とメロディーが印象的なナンバーにのせ、

シルバーのトレンチコートを着た珠城りょうさんが、

黒い衣装を着て踊るカルマたちから抜け出そうと苦悩の表情で歌い踊ります。

スモークが濃く大量に舞台に漂い、最初は珠城りょうさんの姿も舞台も何も見えず

最後には自分もスモークの中に入ってしまうほどで驚いてしまいました。

 

宝塚バウホールは、客席と舞台が近いので「珠城りょうさんがこんなに近くに!」と

目の前に確かに存在する珠城りょうさんに、ただただ感動してしまいました。

 

劇中の音楽が楽しいのも見どころです。

女性警察官が巴東署の警官たちを元気に楽しく歌で人物紹介。

なぜ警察官になったか、どんな人物なのか。

個性豊かな警官たちが登場します。

 

珠城りょうさんが演じるのは、殺され幽霊になった刑事・神崎達也。

スーツ・コート姿がとにかくお似合いです!

そのカッコよさを思いっきり堪能できます!

本当にうっとりです

 

長い足にもうっとり

ベンチ・階段そしてブランコに座る場面が多くあります。

座る時の足を開く角度がたくましくて最高です

珠城りょうさんと鳳月杏さんのお二人が、舞台の中央に設置されている

階段に座っている姿もとてもかわいいんです!

 

月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』3

 

珠城りょうさんのあたたかく優しい声、

時々ふと見せる悲しげな顔にときめきと切なさが交互に押し寄せます。

お芝居なのに、どこか珠城りょうさんの素を感じる気がする

不思議な感覚に陥りました。

 

婚約者で刑事、天紫珠李さん演じる森須磨子を後ろから抱きしめる場面があります。

愛する人のそばにいるにも関わらずに相手からは見えない自分、

思いを伝えられないもどかしさを、後ろから抱きしめることで愛と切ない思いを表現。

珠城りょうさんの切ない表情と、がっちりとでも優しく抱きしめる姿がステキ過ぎます

 

月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』5

 

鳳月 杏さんは、神崎と警察学校同期の刑事・早川篤役。

赤茶色のフレーム太目のメガネの奥の瞳が、

時に優しく時にやんちゃに輝きます

 

霊媒体質で、唯一神崎の姿を見ることができ、声を聞くことができる早川。

初めて幽霊になった神崎を見て、「で、で、出た~!」と分かりやすく驚く姿がとても面白いです。

 

幽霊刑事と霊媒刑事、世界最強コンビのかけ合いがとても楽しく、

今回の公演の見どころです。

テンポが最高で呼吸もぴったり。

幽霊と人間の間で交わされているとは思えないほど、息のあった楽しい会話です。

でも、その会話は他人から見れば早川の独り言にしか見えないところが

また面白いところです。

 

月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』4

 

神崎は、誰にも見えないことを利用し、捜査という名の家庭訪問をします。

その内容を早川に報告する、再現場面。

みなさん全力でお芝居をされていて、笑いが込み上げます。

 

また、これまで珠城りょうさんが演じてきた役を彷彿とさせるセリフが

ところどころに織り交ぜられていますよ!

 

幽霊が主役ということもあってか、夜の場面が多いので舞台の照明は暗め。

幽霊になりたての頃は、グリーンのオーラ。

昇天が近いとオーラが白くなる。

この違いが、照明が暗めの舞台上でライトで表現されています。

 

月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』1

 

神崎の婚約者で刑事の森須磨子を演じる天紫 珠李さんは、

凛々しく頼もしい女性。

悲しみの中にあふれる正義感が爽やかでした。

 

殺された刑事・新田克彦は紫門ゆりやさん。

オーバーアクションが楽しく、舞台にあたたかい笑いを起こします。

 

マダムXと呼ばれる女泥棒・久須悦子は白雪さち花さん。

顔を汚し、美しさとはかけ離れたメイクをされています。

とても低い声でゾッとするような話し方。

白雪さち花さんのお声・お芝居のふり幅にあらためて感動しました。

 

巴東署副署長・漆原夏美の晴音アキさん。

赤ぶちメガネ姿で仕事をする姿はカッコよく、

そしてほどよく漂う生活感が絶妙だと思いました。

 

弾き語りの青年・春海ゆうさんの素晴らしい歌声に

客席も幽霊も魅了されましたね!

 

ショパンの別れの曲にのせて、汝鳥伶さん演じる老人の幽霊・雲井光雄が神崎に

教え諭します。

 

命は借り物、借りたものは利子をつけて返さねばならない。

人生という舞台、一度上がった幕はいつかは降ろさねばならぬ。

大切な人のために消える優しさ。

珠城りょうさんの退団が重なり、心に染みます。

 

珠城りょうさん演じる神崎達也

汝鳥伶さん演じる雲井光雄

白河りりさん演じる交通事故で幽霊になってしまった聾唖の少女・天乃愛

この世に別れを告げる時が近い三人が、切手のないおくりものを歌います。

 

別れ行くあなたにこの歌を届けよう、寂しい時に歌ってほしい遠い空からこの歌を

私からあなたへこの歌を届けよう、広い世界にたった一人の私の好きなあなたへ

 

愛する人を思い、自分が生きたこの世を思い、清らかで優しい微笑みをたたえて歌う

三人の姿に涙腺が崩壊です。

 

月組『幽霊刑事~サヨナラする、その前に~』2

 

見送るもの去り行くものそれぞれの思いホームに残して。

白いオーラに包まれて珠城りょうさんは旅立っていきます。

 

ステキなアンコールもあります

ブラウンを基調としたスーツ・ドレスに黒いソフト帽でのダンス。

 

人生は舞台

一度上がった幕は、いつか必ず下りるもの

自分の去り行く花道を俺は飾れたのだろうか

 

囲んだ組子を大切に見つめながら歌う珠城りょうさん。

 

聾唖の少女・愛を演じる白河りりさんがエトワール的な立場で歌い、

出演者のみなさんがが登場しご挨拶。

白河りりさんは役のまま少女の歌い方をされているのですが、

心洗われる素晴らしい歌声でした。

 

3月20日(土・祝)15時30公演で、映画館でのライブ中継・ライブ配信が実施されます。

詳しくは、宝塚歌劇公式ホームページでご確認くださいね。