雪組トップスター 望海風斗 宝塚大劇場ラストデイ

樽井美帆です

 

2月8日(月)、宝塚大劇場雪組公演

『f f f-フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~

『シルクロード~盗賊と宝石~』の千秋楽をもって、

雪組トップスター望海風斗さんが宝塚大劇場を卒業されました。

 

この日の宝塚は、少し小雨が降ったり雪が舞う時間がありました。

コロナ禍でのトップスター退団公演は、これまでに経験したことがない形となりました。

 

通常時は、楽屋入りにも多くのファンの方がかけつけ、

退団するトップスターがおみこしに乗ったりと、

組子のみなさんとファンのみなさんが一緒になって華やかにセレモニーが行われますが、

今回は行われませんでした。

また、公演終了後には大劇場前でパレードが行われ、

車に乗って晴れやかな笑顔で大劇場を後にする姿を見送り、

卒業を受け入れる時間となるのですが、それもありませんでした。

 

雪組のみなさんも、ファンのみなさんも様々なあふれる思いを胸に、

望海風斗さん最後の宝塚大劇場の舞台の幕が上がりました。

 

映画館でライブ中継をご覧になった方、ご自宅などでライブ配信をご覧になった方、

今回は多くの方が様々な形で退団公演を見守られたのではないでしょうか。

 

取材も通常とは異なる形となり、大劇場3階エスプリホールにてモニターを見学させていただきました。

 

サヨナラショーの前に、緞帳前で雪組組長・奏乃はるとさんより、

望海風斗さんからのメッセージが紹介されました。

 

緞帳にはこれまでの望海風斗さんのステージヒストリー映像が映し出されます。

 

望海風斗さんからのメッセージ、一部ご紹介させていただきます。

 

たくさんの作品・役を通して様々なことを学びました。

まず衝撃的だったのは、「くらわんか」の貧乏神。

冒頭のセリフ「わしゃ貧乏神や」を発するたび、演出の谷正純先生に「違う」と怒られ、

教室を追い出されると廊下には同じく追い出された仲間たちが

壁に向かってセリフを大声で練習しているという、何とも恐ろしいお稽古の日々でしたが、

お芝居のマナーや土台作りを叩き込んでいただきました。

谷先生にはそれ以降もたくさんお世話になり、どの作品でもたくさん叱っていただきましたが、

先生からいただいた役はすべて今でも大好きです。

 

「Victorian Jazz」ナイジェル・カニンガム。

こんな軽やかな役にその後あまり出会わなかったので、とても貴重な役となりました。

 

「オーシャンズ11」テリー・ベネディクト

小池修一郎先生に大変怒られました。

お稽古中は悩み苦しみ、自分の引き出しからすべてを出し尽くしてしまい、

空っぽになってやっと役に一歩近づけた、それくらい当時の自分にとっては大変でしたが、

自分自身が舞台で大きくジャンプすることができた役でした。

 

2014年、研究科12年で雪組に組替え。

それまで花組で培ったことが自分の個性となり、

雪組での様々な出会いが新たな扉を開かせてくれました。

 

「アルカポネ」・「ドン・ジュアン」・「星逢一夜」の源太、

どれも私自身を強く奮い立たせてくれました。

 

お披露目公演である全国ツアー公演「琥珀色の雨にぬれて」・「“D”ramatic S!」

初日の開演アナウンスやデュエットダンスのあと、

そしてパレードでいただいたあたたかい拍手は、一生忘れません。

 

「ひかりふる路」

フランク・ワイルドホーンさんに作曲していただき、音楽からのエネルギーに圧倒され、

歌うたびに力をもらっていました。

 

「凱旋門」

轟さんの近くで、たくさんのことを学ばせていただき宝塚歌劇の伝統を深く感じる日々でした。

 

「Gato Bonito!!」

憧れのラテンショーにも挑戦させていただきました。

なぜ、ラテンの衣装を着るとあんなにもスイッチが入ってしまうのでしょうか。

 

「ファントム」

ずっと夢だったエリックを演じることができ、

モーリー・イエストンさんのあたたかい音楽に包まれ毎日が幸せでした。

 

「壬生義士伝」

吉村貫一郎の生き様に毎回胸が締め付けられる思いでした。

 

「Music Revolution!」

舞台でキラキラと息づく仲間たちの姿を袖から見ることができ、

『その笑顔のためならお父さんは頑張れるぞ』と父性のようなものが芽生えはじめました。

 

「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」

男役としての集大成だと思い挑んだヌードルス。

全てを受け入れ生きていく、東京公演千秋楽の熱気が今でも鮮明に蘇ります。

 

Music is My Life、TAKARAZUKA is My Life

今までもこれからもその気持ちは変わりません。

 

 

いよいよサヨナラショーの開幕です。

 

公演は、出演者を2グループに分け人数を減らして上演していましたが、

サヨナラショーは全員が出演。

 

 

・『ドン・ジュアン』から「悪の華」

望海風斗さん・彩風咲奈さんが歌います。

ロングヘアに黒い衣装、ドン・ジュアンの望海さん。

赤いライトが照らす中、魂をぶつけ合うかのように歌います。

 

サヨナラショーで一番最初に「ドン・ジュアン」を選んだ理由について、

終演後の記者会見で次のようにお話しされました。

 

いつかは何かで歌いたいなと思っていましたが、

やはり「ドン・ジュアン」をやるには彩風のカルロがいなければ。

彩風自身もまたいつかやりたいとずっと言ってくれていたので、

コンサートでやるよりはやはりサヨナラショーで彩風がいる時に歌いたいなと思いました。

色々考えた時に、最初に歌った方がインパクトがあるのではないかと思い、

一番最初が「悪の華」になりました。

ショーのはじめとして、みんなも一緒にいてくれてすごく心強かったです。

当時の楽しかった思い出、もう一回その姿で大劇場で会えた喜びが強かったです。

お稽古場でやってみて忘れていた感情を思い出し、舞台でやると色々とよみがえってきたので、

何年か前に戻ったような気持ちでした。

 

 

・同じく『ドン・ジュアン』から「Aimer」

望海風斗さんが歌い、同期生の沙月愛奈さん・退団されされる笙乃茅桜さん、

そして彩みちるさんが踊ります。

切なく胸がぎゅっとなる歌声。

歌声を自由自在に操る望海さんにただただ感動です。

 

・『琥珀色の雨にぬれて』から「シャロンのテーマ」

小鳥のさえずりのように真彩希帆さんが歌います。

 

・同じく『琥珀色の雨にぬれて』から「クロードとルイ」

望海風斗さんと彩凪翔さんが歌います。

光沢のあるベージュのスーツの望海さん、タキシードに白いマフラーをかけた彩凪さん。

軽快に楽しそうに、信頼と絆を感じる歌声。

長い時間男役を追求してきたお二人からは心地よい余裕が感じられました。

 

・『凱旋門』から「酔いしれて」

望海風斗さん・退団者の煌羽レオさん・真地佑果さんが楽しいダンスで歌います。

 

・『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』から「愛ひとひら」

望海風斗さん・真彩希帆さんが歌います。

暗い舞台で二人にだけ照明が当たり、二人だけの世界。

真彩希帆さんはデボラのピンク色のドレス。

離れた位置で見つめ合わずに歌っても、お互いを感じていらっしゃるのが分かりました。

 

・『SUPER VOYAGER!』から「アンダルシアに憧れて」

望海風斗さんは茶色のソフト帽を被り、かっこいいことこの上ない!

男役さんもカッコよく踊り盛り上げます。

 

・『春雷』より「黄金の翼」

彩凪翔さんが歌います。

「もう迷いはしない」という歌詞にグッときました。

銀橋の真ん中に立つ彩凪翔さんをスポットライトが照らしていましたが、

彩凪さんはそれ以上にまぶしかったです

 

・『“D”ramatic S!』から「Dancing In The Dark」

望海風斗さんが歌い、真彩希帆さんとのデュエットダンスへ。

深い青色の衣装。

二人で様々なことを経験してきた、色々な景色を一緒に見てきたからこその美しい大人のダンス。

優雅なリフトもありました。

 

・『壬生義士伝』から「石を割って咲く桜」

望海風斗さん・真彩希帆さんが、歌いながら銀橋を手をつないで渡っていかれました。

 

・『Gato Bonito!』

彩風咲奈さんと退団者、笙乃茅桜さん・煌羽レオさん・真地佑果さん・ゆめ真音さん

朝澄希さんが、ギラギラ感のある黒の衣装で銀橋で歌います。

ミラーボールも輝き、ホイッスルも鳴り響き、照明もカラフルに。

楽しいラテンの世界でした。

 

・『ファントム』より「Home」

望海風斗さん・真彩希帆さんが歌います。

歌詞とお二人がリンクし、とても感動的。

夢が叶ったお二人の神々しいハーモニーでした。

 

・『ひかりふる路』から「ひかりふる路」

望海風斗さんは、足元にいくほど白くなっていくグラデーションが入った

雪組カラーの美しいグリーンの変わり燕尾。

ジャケットにはキラキラ輝く雪の結晶の飾りがデザインされています。

真彩さんもお揃いのグリーンのドレス。

裾が何段もフリルになっていて、まさに雪組のプリンセス。

舞台の上からは、望海風斗さんの電飾サインが下りてきました。

銀橋で魂のこもった熱唱をする望海風斗さん。

舞台にはコーラスをしながら白い衣装の雪組のみなさんが勢ぞろい。

望海さんはそんな頼もしいコーラスを、

喜びいっぱいに背中で受け止めていらっしゃるように見えました。

 

・『SUPER VOYAGER!』から「SHOW MUST GO ON」

みんなで歌い踊ります。

 

・最後は『Music Revolution!』から「Music is My Life」

望海風斗さんがソロを歌われると、客席には美しい緑色のペンライトの光が輝きます。

ぐっと込み上げるものをこらえたのか、望海風斗さんの歌声が

少し声が詰まって揺らいだ瞬間がありました。

これまでの望海さんにはなかったことですよね。

でもすぐに持ち直し、「仲間たちと歌いつづけよう!」「イエ~イ!」と

元気よく踊りながらサヨナラショーの幕が下りました。

 

のちのカーテンコールで、ペンライトの美しい光を見た瞬間、歌えなくなりそうだったと

おっしゃっていました。

 

いよいよ、宝塚大劇場最後の大階段を下りての退団者のごあいさつです。

 

みなさんのご挨拶、一部ご紹介させていただきます。

 

 

朝澄希さん

宝塚に入っていなければすることができなかった経験をたくさんさせていただき、

とても幸せでした。

 

ゆめ真音さん

運命の旅路で手に入れた最高の宝物は、愛を持って関わってくださった全ての方々のお優しさです。

 

真地佑果さん

パワーの源は、お客様と雪組の仲間の最高の笑顔でした。

 

煌羽レオさん

宝塚人生は、ただひたすら自分の気持ちとの戦いでした。

もがき続けた戦いも、振り返ってみると数えきれないほどの愛にあふれたかけがえのない時間でした。

 

笙乃茅桜さん

15年間、多くの方に出会い、たくさんの愛と夢をいただきました。

 

彩凪翔さん

お客様に楽しんでいただきたい、夢をお届けしたい一心で精神誠意舞台に生きてまいりましたが、

何事にも時間がかかる私は、たくさん悩み苦しみ、数えきれないほどの涙を流してまいりました。

ですが、その時間こそが私を強くし、努力して成長するためにはなくてはならない

大切な過程だったと私は信じています。

 

トップ娘役 真彩希帆さん

奏乃はると組長から「きいちゃん」と呼ばれハイッ!と元気いっぱいのお返事。

真彩希帆さんの声はまさに笑顔ですね!

 

宝塚音楽学校合格発表の日、花のみちにいらっしゃる小林一三先生の銅像の前で、

どうか私をこの夢の世界の一員にしてください、

お役に立てるよう精一杯頑張りますと誓い今日まで生きてまいりました。

大劇場のこの空間に立つのが今日で最後だとは、正直まだ実感はわきません。

とてもさみしい気持ちと幸せな気持ちで胸がいっぱいになっています。

大きな空のように受け止めてくださって、恵の雨のように愛情をいただいて、

みなさまに育てていただいて私はここで生まれました。

 

 

そして、いよいよ望海風斗さんです。

奏乃はると組長の「せーの」の合図で雪組生全員から『のぞさ~ん』と呼ばれ、

「はあい!」と頼もしくお返事。

トランペットの音色を中心としたオーケストラが奏でる「すみれの花咲くころ」とともに、

最後の大階段を下りてこられました。

宝塚大劇場最後の衣装として選ばれたのは黒燕尾。

組からのお花を彩風咲奈さんから、同期生からのお花を沙月愛奈さんから受け取られます。

赤いバラの花です。

まるで『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のヌードルスのよう。

シンプルな中に研ぎ澄まされた美しいお姿には息をのむほどでした。

 

 

卒業を決めたのは私自身です。

ですが、思いもよらぬ事態となりました。

今、この瞬間も見えない恐怖と戦っていらっしゃる方は、たくさんいらっしゃいます。

どんな運命になろうとしっかり受け止めようと心に強く思っておりました。

しかし、この退団公演を何とか今できる最高の形で千秋楽まで続けられるよう

尽力してくださいました方々。

そして、劇場にはいらっしゃれなくても祈り続けてくださいました方々。

そして、劇場に足を運んでくださいました方々。

心あたたかいたくさんの人に助けていただき、私は毎日抱えきれないほどの幸せをいただきました。

そして本日、全員で舞台に立つことが叶い最高の千秋楽を迎えることができました。

みなさまに何とお礼を申し上げたらいいか分かりません。

胸がいっぱいです。

今日この日のことは、一生忘れません。

どんな時も私を信じて笑顔でついてきてくれた雪組の仲間、大切な同期、

そしていつも隣で全開の笑顔で一緒に走り続けてくれた真彩。

私はみんなのことが大好きです。

そして、大切なファンのみなさま。

私を見つけ支えてくださり、たくさんの愛を注いでくださりありがとうございました。

みなさまに出会えてうれしかったです。

幸せでした。

そして、みなさまがいなかったら今の私は存在しません。

今はただみなさまにお会いしたいです。

いつの日か一緒に笑いあえる日が来ることを夢見ております。

本日、望海風斗は大好きな宝塚大劇場を卒業いたします。

みなさま、本当にありがとうございました。

 

 

大変な状況の中、どれほどの覚悟を持ってのぞまれたのでしょうか。

ファンのみなさんへの思いをお話しされる際は、

込み上げる思いに声を詰まらせていらっしゃいました。

 

思うように卒業を見届けられないファンのみなさんの悲しい思いをしっかりと受け止め、

ファンのみなさん全員へ伝わるようにお話しをされているように感じました。

熱く燃える望海風斗さんの命を感じる、そんなご挨拶でした。

 

 

『TAKARAZUKA FOREVER』を全員で歌い幕が下りました。

 

 

その後のカーテンコールは6回にも及びました。

 

映画館でのライブ中継・ライブ配信、

また台湾でライブ中継をご覧になっている方にも、「みなさ~ん」と呼びかけ、

「シェイシェイ!」とお礼を。

 

3回目は、スタンディングオベーションの客席とともに

三本締めならぬタタタン締め!

 

4回目は、「雪組~!どっせーい!」

 

終演後の記者会見では、「どっせい」について、

宝塚スカイステージの彩風咲奈さんの番組で生まれた掛け声です。

早花まこさんからのお題、「男役はどんな掛け声もかっこよくかけれるのか」

という対決をした際に生まれたものですと、丁寧にご説明くださいました。

 

5回目では、この日の朝の楽屋入りの裏話。

雪組のみんなに迎えられて楽屋入りしたら、

黄色いクマのキャラクターの着ぐるみが用意されていて、

白い洋服の上からそれを着たら、今度ははちみつのツボの上に乗るように指示されたんです。

そのままみんなの化粧前を練り歩きました。

朝から泣くは笑うは大忙しでした。

みんなが持っているうちわに、「投げキッスして」や「あごクイして」と

注文が書いて大忙し!

 

サプライズで用意してもらって幸せでしたと本当に幸せそうな笑顔でお話しされる望海風斗さん。

お話しの途中、絶妙なタイミングで「着ぐるみ」・「ツボ」と

望海風斗さんに助け舟を出す真彩希帆さんの頼もしい姿

 

6回目は、トップコンビ二人で緞帳前に。

「みなさまもどうぞお身体に気をつけて元気にお過ごしください。

本当にありがとうございました。」

元気よく息ぴったりのご挨拶をされました。

 

 

つづいては、終演後の記者会見の模様をご紹介します。

 

黒燕尾で会場に入ってこられた望海風斗さん。

ダンスの導入部かのような、このまま踊りだしてしまうのではないかと思ってしまうほど

スムーズで美しい歩き方での入場でした。

 

 

★最後の大階段を下りる時の衣装に黒燕尾を選んだ理由は?

東京公演の千秋楽まで、まだまだ男役の姿のままみなさまの前に立ちたいなと思い

黒燕尾にしようと思いました。

今までにも色々なトップさんを見送らせていただいて、

黒燕尾の方もすごく多かったので、黒燕尾を着て大階段を下りるという一つの憧れもありました。

 

望海風斗ラストデイ2

 

 

★今日、涙が込み上げた瞬間はありましたか?

ファンの方とともに、今までどんな時も色んなことを乗り越えてやってきましたので、

全くお会いできないなかで公演が進んでいくのは初めての経験でした。

ファンの方と一緒に退団を意識していくものなのかなと思っていたのですが、

そういう形ではなかったので、自分の素直な気持ちをみなさまの前で話すとなると

うまく言葉にできなかったり、詰まってしまいました。

ファンの方が、幸せに卒業できるようにということを

一番に考えてくださっていることも知っていました。

きっとみなさま色んなことを我慢してくださっていたんだなと思った瞬間、

胸が詰まってしまいました。

 

望海風斗ラストデイ3

 

 

★今日、特に印象に残った景色は?

サヨナラショーの一番最後に「Music is My Life」でソロを歌って、

正面を見て緑のペンライトが光った瞬間、何ともいえない気持ちが込み上げてきました。

それまではすごく楽しい時間をずっと過ごしていました。

公演も楽しく、お客様に観ていただける大きな喜びもあり、

朝からみんなが色んなことをしてくれて、すごく幸せで楽しい気持ちが勝っていたんですが、

ペンライトが客席で揺れる景色を見た瞬間にふと心が緩んでしまい、その瞬間が忘れられないですね。

 

 

★卒業の日までどんな男役を追求していきたいですか?

一人で何かを頑張るというよりも、組のみんなと一緒に色んなことを追求していきたい

ということが最後にやりたいことです。

自分自身もみんなと一緒に過ごすことによって、発見することもたくさんありますので、

みんなが一緒に成長していく中で、自分だったらこうしてみようかなと

初心に返ることもあります。

下級生の頃は周りにたくさん男役さんがいて、その中で自分の個性をどう出していくかを

すごく考えながらやってきましたが、この立場に立たせていただくと

ずっと前を向いて走り続けることが多くなります。

振り向いたら下級生たちがいっぱいて、どうやって個性を出そう、

どうなっていきたいんだろうと考えながら舞台に立っているを見て、

もっともっと自分自身もやれるもの出せるものがあるのではと感じていますので、

みんなの中で感じて提示していけたらいいなと思います。

それによって男役が息づいていったらいいなと感じています。

 

私からは次の3つの質問をさせていただきました。

 

望海風斗ラストデイ1

 

★宝塚大劇場の隅々までを大切に見渡していらっしゃったように感じましたが、

卒業された今、あらためて宝塚大劇場は望海風斗さんにとってどんな場所ですか?

育てていただいた場所だなと思います。

何も分からない初舞台の時に初めて立って、そこから色んなことを経験させてもらって、

来てくださるお客様との18年間の歴史みたいなものをすごく感じましたし、

この立場にならせていただいてから特にお客様に支えていただき、

客席からいただくものをすごく感じていました。

みなさまの気持ちが本当にあたたかくて、自然と見渡していたのではないかと思います。

 

 

★今日、真彩希帆さんとは何か言葉を交わしましたか?

今日は朝からベルトコンベヤーのように時が過ぎて行ってしまって、

本当にあっという間でした。

さっき緞帳が下りて、一日が終わったんだなという感じです。

最後に舞台上で話したのが、本当にゆっくり会話できた時じゃないかなと思います。

お互いに今日はすごく幸せな忙しい一日だったと思います。

 

 

★真彩さんは望海さんの相手役で世界一幸せだったとおっしゃっていましたが、

今日一緒に卒業されてあらためてどんな相手役さんでしたか?

まだ東京がありますので、こうだったと決めたくないなとは思うのですが、

どんな時も全力で同じ方向を向いて、来てくださるお客様に

今日できる最高のものをお届けしようという気持ちを持っていつも挑んでくれていたので、

私自身もすごく助けてもらいました。

色んなことがありすぎてこれということを一つ話すことは難しいですが、

東京公演もあるので、まだまだ可能性を広げていきたいなという気持ちはすごくあります。

 

望海風斗ラストデイ4

 

 

★ファンのみなさん、関わってくださったみなさんへの思い

18年を振り返ると、一人では絶対ここまでたどり着くことはできませんでした。

色んな方に出会って助けていただきながら今日を迎えることができました。

携わってくださった全ての方に本当にありがとうございますという気持ちでいっぱいです。

私自身も卒業の時にどういう気持ちになるか想像がつかなかったのですが、

今までお世話になった方、公演をサポートしてくださった方、

本当にたくさんの方が助けてくださっていたんだなということをこの公演中に感じました。

一人一人にありがとうございますとは伝えられないのですが、

この公演はそういう気持ちをしっかり持って、

みなさまに感謝の思いを舞台の上からお届けできたらいいなと思って日々公演していました。

 

晴れやかな笑顔と明るくあたたかいお声でお話しされた望海風斗さん。

宝塚歌劇とファンのみなさんへの愛にあふれたお気持ちが

優しい眼差しと言葉にあふれていました。

 

望海風斗ラストデイ5

 

2月26日(金)から東京宝塚劇場で公演が行われ、

4月11日(日)をもって宝塚歌劇団を卒業されました。