9月4日 たからづか8丁目35番地 川柳の時間

9月4日 たからづか8丁目35番地 川柳の時間

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昼間の陽射しはまだ夏の名残りですが、朝夕の虫の音に秋のはじまりを感じるようになりました。パーソナリティの山崎彫科さんと茉莉亜まりがお届けしました。番組内でお読みできなかったお作品の抜粋と講評です。

 

なお、「川柳の時間」はエフエム宝塚公式youtubeチャンネルにて同時生配信にてお送りしています。是非チャンネル登録をしてお楽しみ下さい。なお、番組のアーカイブはYoutubeに一週間程度のこります。チャンネル登録をしてお楽しみください。

 

 

穏やかな暮らしの友よ 赤とんぼ

         和音

穏やかな暮らしはあらりまえではない。平穏にくらしすことのできている空に赤とんぼ。その穏やかな友が秋の訪れを告げる。

 

沈黙は急須の茶葉が開くまで

       猫又夏梅堂

ゆっくりと開く茶葉。こころもほぐれてゆく。沈黙のまま流れた時間。香りがほどよく立ち、旨みが滲み出たお茶が現れれば、ほっとことばがこぼれるだろう。

 

悲恋このこころのこりの震災忌

    カッシュママ

不意の永訣だったのだろうか。時の流れに埋もれるこころのこりがあるとしても、ときにこころのこりはその痛みのままによみがえる。

 

付箋紙を貼って林檎を包んでる

    川端日出夫

付箋紙はなにを示すのだろう。毒入りのしるし? それともほかのものに替えがたい大切の意味? 意味深に包まれてゆく林檎。

 

泡になる脆き定めを水に問う

    高良俊礼

脆き定めとして生まれ、そのままのいのちのありようを生きる泡。その定めを水に問うなら、無限として稀釈してくれ、たしかとなれるのだろうか。水にとけるように消える泡。それははかなくもうつくしいありよう。

出航す明日という日はずっと明日

    徳道かづみ

きょうの船を出す。一日の航海を終える。夜が明ける。またきょうの船を出す。きょうの向こうにある明日はずっと明日のまま。それでも夜が明けるなら、今日の船を出し続ける。

 

○写真のキャプション

大牟田から見た有明海、晩夏の夕日です。

 

茉莉亜まりの今日の一句

 限界で息継ぎしては茉莉花茶 

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