宝塚音楽学校 第109期生 文化祭

樽井美帆です

 

2月24日(金)・25日(土)・26日(日)の3日間、

宝塚バウホールにて宝塚音楽学校第109期生文化祭が行われました。

 

お昼12時・午後4時の1日2回公演、全6回公演が行われました。

 

生徒のみなさんが、初めて実際の観客の前で公演を行うのが、この文化祭。

2年間の音楽学校生活の集大成です。

 

コロナ禍で、例年とは全く異なる状況の中で2年間学ばれた109期生のみなさんですが、

素晴らしいパフォーマンスを披露されました。

 

文化祭は3部構成です。

例年と変わらない構成ですが、コロナ禍に入ってから見送られていた予科生のコーラスが

今年は復活しました。

 

影アナウンスも生徒が担当します。

 

 第1部

1.日本舞踊 清く正しく美しく

 

初舞台の口上の際にも舞台上に飾られる小林一三さんが書かれた『清く正しく美しく』の

扇のセットが飾られています。

 

黒の紋付・緑の袴姿、手には銀色に輝く舞扇。

心地よい緊張感と期待の中、『清く正しく美しく』のイントロとともに文化祭の幕が上がりました。

 

第109期生文化祭1

 

歌のソロは、娘役の今岡悠(いまおか・ゆう)さん。

第一声で、会場に清らかな空気が満ちあふれました。

お花が次々に開いていくかのような美しい歌声。

ゆったりしたテンポの曲なので、声をたっぷりと使いブレスのタイミングも

難しいのではないかと思うのですが、今岡さんの歌声は低音から高音まで心地よく響いていました。

とても愛らしい雰囲気の方です。

 

第109期生文化祭3

 

センターで踊られていた男役さんは、足の運びや腰の落とし方がとても凛々しく

優雅でダイナミックな空気を漂わせていらっしゃいました。

 

第109期生文化祭4

 

舞扇を開く音もピッタリ揃った心をひとつに合わせた丁寧な舞でした。

 

第109期生文化祭2

 

109期生のみなさんは、キリッとした雰囲気を持っているなという印象を持ちました。

 

 

2.予科生(110期生)コーラス

 

コロナ禍に入ってから見送られていた予科生のコーラスが今回は復活。

グレーの制服で登場されたみなさんは登場から美しい。

清らかな歌声。

テンポや音の解釈が揃っていました。

フォルテの迫力、ピアノの繊細な響き、言葉もしっかり届きました。

 

第109期生文化祭5

 

 

3.クラシック・ヴォーカル

クラシック・ヴォーカルでソロを披露できるのは二人のみです。

今年は、男役2名。

胸元がフリルになっている光沢のある白のブラウス、黒のパンツ姿です。

 

吉川陽葵(よしかわ・ひなた)さん

オペレッタ「ほほえみの国」より『君はわが心のすべて』

よく響く歌声で、低音まで丁寧に歌われていました。

甘いビブラートも魅力的。

「愛しているあなたのすべてを」という歌詞では、素敵な世界観を表現されていました。

 

第109期生文化祭6

 

岡本のぞみさん

オペラ「道化師」より『衣装をつけろ』

セリフのような歌い出し。

歌声をコントロールし、春野寿美礼さんのような朗々とした歌声を響かせていらっしゃいました。

1曲の中で、1つのお芝居を観たような気持ちになりました。

 

第109期生文化祭7

 

 

4.ポピュラー・ヴォーカル

 

色とりどりの照明に照らされる舞台で宝塚歌劇の名曲が次々に披露されます。

元気に足踏みをしながら『タカラジェンヌに栄光あれ』を全員で歌ってスタート。

14曲が披露されました。

 

第109期生文化祭8

第109期生文化祭9

第109期生文化祭11

第109期生文化祭12

 

「花の業平」より『忍ぶの乱れ』を歌われた岡本のぞみさん。

クラシック・ヴォーカルでもソロを披露されましたが、声量のある太い声、パーンと届く声、

舞台と客席を埋める力を持つ歌声だなと思いました。

 

第109期生文化祭10

 

「アンド・ナウ」より『そして、今』を歌われた

板倉彩(いたくら・さや)さん・久保田舞桜(くぼた・まお)さん

南平友里愛(なんぺい・ゆりあ)さん・望月璃々子(もちづき・りりこ)さん。

男役4名。ダンスもかっこよく、アップテンポのナンバーをまるで一人で歌っているかのような

ピッチがあった歌声でした。

 

「NEVER SAY GOODBYE」より『ONE HEART』

クラシック・ヴォーカルでソロを歌われた吉川陽葵(よしかわ・ひなた)さんがソロをつとめ

全員がコーラス。

あの鬼気迫る迫力ある場面を、一場面だけ切り取って作り出す力は圧巻でした。

コーラスに埋もれることなく豊かな声量で歌う吉川さん。

しっかりした芯のある歌声と迫力のコーラスが重なり感動的でした。

 

第109期生文化祭13

第109期生文化祭14

 

「薔薇の封印」より『私のヴァンパイア』を歌われた鈴木咲奈(すずき・さな)さん。

キュートで可愛らしく、地声と裏声を使いこなしたキレイな歌声でした。

 

第109期生文化祭15

第109期生文化祭16

第109期生文化祭17

第109期生文化祭18

 

「霧深きエルベのほとり」より『鴎の歌』を歌われた山田早瀬(やまだ・はやせ)さん。

凛々しくクラシカルな響き、声量のある太い魅力的な歌声でした。

 

今岡悠(いまおか・ゆう)さんを中心とした「ラ・ラ・ファンタシーク」より『愛の宝石』

今岡さんは大人っぽい歌声から可愛い歌声までお持ちで、

将来エトワールをしていただきたいなと思いました。

 

第109期生文化祭19

第109期生文化祭20

 

ポピュラー・ヴォーカル、最後は「TAKARAZUKA FOREVER ザ・レビューⅢ」より

『この愛よ永遠に』を全員で歌いました。

109期生のみなさんは、キラキラしているのはもちろん元気で声量があります。

コーラスもフォーメーション移動も視線も息ぴったりでした。

 

 

第2部 演劇

BE SURE Ⅱ

脚本・演出 正塚晴彦

 

公演はA組・B組の2組に分かれて上演されました。

通し舞台稽古はA組により上演されました。

 

舞台芸術を学ぶ学生たちが、毎年行われる卒業公演についての制作会議を始めます。

様々な意見やアイデアが飛び交います。

制作会議をする場面と、そこで出たアイデアを実際に自分たちが演じてみるという

面白い構成のお芝居でした。

役を演じる時は、舞台奥に準備されている衣装を身に付けます。

舞台上には3段の階段セットが置かれていて、そこにも人が座っています。

そして、出番がきたらそこから登場します。

 

第109期生文化祭21

 

学生の役では、まじめな人・軽い人・ふざけるタイプの人・ちょい悪など、

色々なキャラクターが登場。

等身大で初々しいお芝居。

セリフの数が多く、ポンポンとセリフを交わしていきます。

エリザベスと緑川の2役を演じた川島笙(かわしま・しょう)さんの

お芝居をリードし動かす存在感が印象に残っています。

 

第109期生文化祭23

 

ピエール役の南平友里愛(なんぺい・ゆりあ)さんの落ち着いた足取り、

マリー役の落石のの子(おちいし・ののこ)さんの美しい声も素敵でした。

 

第109期生文化祭22

 

 

第3部 ダンスコンサート

 

キラキラの粉が天井から舞い、チャイナドレス風の上半身に黒いゆとりのあるパンツという衣装で登場。

とても不思議な世界観。

ゆっくり足を上げたり、ポーズをキープしたりと、勢いで踊るのではない中で、

より揃うことが求められるダンスで魅了されました。

 

第109期生文化祭24

 

バレエ『韃靼人の踊り』

美しいバレエの技の数々。

ジャンプ力も素晴らしかったです。

 

第109期生文化祭25

 

元気な掛け声のタップダンス。

 

第109期生文化祭26

 

ジャズダンスは、Ado『新時代』にのって。

まさに、これからの109期生のみなさんを表現するかのような明るい未来、

描いた夢を自分の手でつかみ取るぞというパワーに満ち溢れた伸びやかなダンスでした。

 

第109期生文化祭27

 

モダンバレエは、黒のレオタードに黒のタイツという衣装に頼ることのない状況で、

鋭く訴えかける美しいダンスを披露されました。

 

第109期生文化祭28

 

フィーナーレのジャズダンスは、白いシャツと白いパンツスタイルで。

跳んで・走って・回って・笑顔で全力のパフォーマンスとなりました。

舞台に立つ喜びを笑顔と全身で表現。

額に光る汗がきらめき、弾む息が舞台に駆ける思いを物語っていました。

 

第109期生文化祭29

第109期生文化祭30

第109期生文化祭31

 

コロナ禍での2年間の音楽学校生活、思い描いていた憧れの音楽学校生活を、

様々な制限の中送ることになった109期生のみなさん。

そんな中でも109期生の絆は固く結ばれ、時間を大切に日々真摯に芸事に向き合われた

日々であったことが伝わってくる、無事に舞台に立てることへの喜びが

全身からあふれ出す姿を見ることができた文化祭でした。