川柳の時間
川柳の時間
モコモコの青のくつ下冬きたる 玉山智子
モコモコのくつ下を履く季節になりました。足元から暖めて今日も元気に過ごそう。青のくつ下なら、お空も飛べそうです。
逃げ道を作り生きているねずみ 和音
しんどい事が山積みの生。抜け道があれば少しは安心。ねずみは今日も長い長いトンネルを掘る。
チェシャ猫が望遠鏡の視野に居る 涼閑
ふと覗いた望遠鏡に縞々のピンクの猫がいる。秋から冬に移る僅かな隙間にはたくさんの不思議が埋もれている。こんな望遠鏡があると嬉しい。
そろそろといつもの秋になりそうな みいちゃん
日常が非日常のここ数年でした。そろそろいつもが戻りそうな近頃。
当たり前がどれだけ有り難いか、考えさせられた時でもありました。さあ色付いた木の葉を見に行きましょう。
ふと止まりすすきの揺れを見てしまう 川端日出夫
すすきは揺れるもの。何の不思議もないのだが、ふと立ち止まってしまった。すすきの奥に何を見たのか。揺れる自分を見ているのかもしれない。
ふるさとに一番遠い海に眠る 徳道かづみ
波に優しく揺られて眠りにつくまでの束の間の郷愁。波はいつしかふるさとのうねりになっている。
現実が追想のよう水が降り 高良俊礼
現実が追想に思える時。デジャヴであり、悪夢であり、忘れていた夏の日かも知れない。天からの水。梢からの水。あるいは…。水はいつも止まらず、不思議を次々と繰り返す。
中天に月 太初の輝きをまとい 夕 凪子
大阪梅田 地下街にて