二度と人が人に優性劣性を付けない世の中に。7/19木野先生
宝塚くらしの法律相談所
7月19日
今日は宝塚花のみち法律事務所の木野達夫先生でした。
たまたまでしたが、視覚効果って大事ですね。
なんとなくスタジオ内が涼しく感じます。
さて
今日のテーマは、今大きな問題となっている「旧優生保護法違憲判決」でした。
今月3日、最高裁判所大法廷で、旧優生保護法は憲法違反だとする初めての判断が下されました。
旧優生保護法は1948年に施行された法律で、「不良な子孫の出生を防止する」という目的のために、
精神障害・知的障害・神経疾患・身体障害を有する人のうち、当時の医学で遺伝性の障害だとされていた人に対して、
本人の同意がなくても強制的に不妊手術を行うことを認めていました。
最近改めてニュースでよく耳にしますが、いったいどのくらいの時代におきたことなのだろう。
ゆうこるん、気になって少し調べてみました。
1948年、昭和23年。
戦時中の不妊手術と中絶に関する「国民優生法」(1940年制定)からすでに始まっていた。
→その名残、つまり戦争の足跡が濃くのこる時代
私の父が生まれる数年前でした。美空ひばりが歌手デビュー、国会両院で教育勅語排除を決議
国家公務員法改正公布施行(罷業禁止)、NHK鹿児島放送局でラジオ第2放送が開局
日本人の平均月給が¥9,000ほど。
バナナが1房¥1000と高級品でした。
今とあまりにちがう生活、制度、価値観の中ではあるものの
人としての価値観は、こんな悍ましい「旧優生保護法」を作るに至るほど、どうかしていたのでしょうか?
今回の判決での木野先生の注目してほしいポイント!!
⑴最高裁はこのように類似の裁判をまとめて判断することがある
5件に分かれて行われていた裁判、これをまとめて、同じ価値観で最終判決を出すためである。
最高裁判所の判決がバラバラだと、結局意味がないですね。
⑵裁判官15人全員一致の結論で、法律の規定を最高裁が憲法違反と判断したのは戦後13例目
本当に、貴重な、珍しい、そうそうありえない判決であったということ。
⑶今回の判決で最大の争点は、改正前の民法が規定していた20年間の「除斥期間」
「除斥期間」というのは、平成29年の民法改正の前まで規定されていたもので、
損害が発生したときから20年間経過すると、法律上当然に権利が消滅するというものです
(事件が起きた時点の法律が適用される)。
「時効」と似ていますが、時効は「援用」しなければ効果が生じないという性質がありますし、
「中断」という概念もあります。
「時効」にはいろいろと例外はあるけれども、「除斥期間」は絶対的なもので例外がないのです。
この「除斥期間」の問題について、5件の高裁判決のうち、1件(仙台高裁)は除斥期間の経過を理由に
国の賠償責任を否定したのですが、4件では「除斥期間」を適用せずに国の損害賠償責任を認めていました。
最高裁の大法廷では統一した判断が下されますので、5件全てについて除斥期間の経過を理由に賠償責任を否定するのか、
5件全てに対して除斥期間を適用せずに賠償責任を認めるか、のどちらかになるのかが注目されていました。
今回の大法廷判決は
「この裁判で、請求権が消滅したとして国が損害賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し容認できない」
と述べて、除斥期間を適用しませんでした。
絶対的で例外がないといわれている「除斥期間」について「正義・公平の理念」に反するといって適用を否定したわけです。
この点はきわめて重大な判断であるのです。
こうやって、この番組、先生方のお話を聞いて、判決から、どれだけ大きなことだったのか
どんな背景や流れがあってここに至るのか?
学んでいくことで、こういった悲しい判断が行われない未来を作っていけるのだと思いました。
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この放送の再放送は7月21日(日) 夕方4:45~
ぜひ聞いてくださいね。
坂本ゆうこでした