「市立病院の得した気分!」-たからづかタウンガイド-
皆さんお元気ですか?
玉井順子です!
今月の「市立病院の得した気分!」は、
腎臓内科部長 兼 血液浄化療法センター長
川田博昭(かわた ひろあき)先生に
「沈黙の臓器 腎臓を守るには?」について
オンラインでお話しをお聞きしました。
・腎臓の場所と働きについて!
腎臓は10cmくらいの大きさでソラマメの様な形をしたもの。
背中側に左右二つあるそうです。
尿を作ったり赤血球の造血や骨のバランスを整えるホルモンを出していたり、多様な働きをしています。
·腎臓病に関しての自覚症状は?
基本的には自覚症状はないとのこと。
浮腫やおしっこの出が悪い、という様な症状が出る場合もありますが、その時はかなり進行した状態なので、気づくためには検査·検診が大事で、血液検査と尿検査で分かるとのことです。
·腎臓病の要因と考えられることは?
高血圧や高脂血症などの生活習慣病の人や塩分摂取の多い人などがリスクが高いそうです。
また、腎臓に嚢胞(水風船の様な袋)が出来て腎臓の機能が徐々に低下していく多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)という遺伝性のものもあり、家族に多発性嚢胞腎の方がいると、かかる可能性が高くなるそうです。
·気をつける年代は?
腎臓病は子どもからリスクがあり、年齢関係なく可能性はあるので学校などでの検診は大切だとのこと。
また、年齢に伴って腎臓機能も低下していくので、70代や80代など高齢の方は特に気をつける必要がありますが、やはり地域での健康診断やかかりつけ医での検診などが大切なのではないでしょうか?
·腎臓病の種類、治療法について!
慢性腎炎···尿検査等で異常があると腎生検で詳しく調べる。
初期の場合は塩分·カリウムなどを控え、腎臓を保護するお薬での治療になるそうです。
初期から進んだ状態になると食事療法や塩分やたんぱく質を抑えるお薬を使用したりするとのこと。
治療後も完治ではなく寛解となり、
寛解は尿蛋白や尿鮮血の出ていない状態の事を言うそうです。
なぜ寛解なのかと言うと、身体に大きな負担がかかることがあったり体調を崩した時に、また再発する可能性が今まで腎炎になったことの無い人に比べても高いからで、定期的にチェックすることが大事になってくるとのことです。
·慢性腎不全···慢性腎不全まで進行した場合は、改善することは無いので、薬や食事療法で悪くなるのをいかに抑えるかが大事だそうです。
年齢を重ねるにつれて腎機能も少しずつ悪くなったり、色々な理由で末期の腎不全になった時には血液透析などの治療が必要となるそうです。
血液透析は週3日各4時間で行われています。
尿が出にくくなったり尿毒症など患者さんご自身も身体がしんどくなっているそうなので、透析をすることで身体が楽になる様です。
近年は機械や水も良くなってきて、患者さんの身体に合わせた透析が出来たり、腎臓を守る効果のある新薬なども増えてきているそうです。
慢性腎不全の血液透析はずっと続けて行く必要があるのですが、仕事をしながら病院やクリニックに通うなどして元気に過ごしている方も沢山いらっしゃるとのことです。
尚、急性腎不全は元に戻る場合もあるそうです。
宝塚市立病院の血液浄化療法センターでは末期の腎不全となり腎代替療法が必要となった患者さんに対して血液透析が出来る様手術をしたり、外来通院での血液透析を行っています。
また、腎臓の疾患以外の重症の病気で入院している患者さんに対しても、
身体の中の、病気になっている血の中の血漿を入れ替える「血漿交換」
潰瘍性大腸炎などに用いられる、血液中の悪い状態の白血球を取り除く「白血球除去療法」
たまっている患者さんの腹水を抜いてろ過·濃縮してかなり少ない量にしてから返す「腹水濃縮」
敗血症などに用いられる、エンドトキシンを取り除く「エンドトキシン吸着」
などの血液浄化療法による治療を主治医と相談しながら行っているそうです。
·気になることや検診等で気になる結果が出た時は?
まずは、身近なクリニックや病院、かかりつけ医に必ず相談してください、とのことです。
·日頃から気をつけることは?
日本人は塩分の摂取量が多いと言われているので、塩分の量に注意して欲しいとのことで、これは腎臓病に関してだけではなく大事な事だそうです。
また、残暑が続いているこの時期は、脱水に注意して十分な水分補給を行って欲しいとのこと。
脱水は腎臓にとって負担が大きいそうです。
腎臓は沈黙の臓器とも言われ、悪化するまで気づかないうえ、1度壊れてしまうと回復出来ないのでとても怖いと思っていましたが、腎臓病から直接亡くなるリスクは少なく血液透析なども外来で行い元気に過ごしている患者さんも多いと聞いて少しホッとしました。
ですが、早く見つける事が出来れば寛解出来ますし、やはり色々な負担も少ないと思います。
自覚症状が無いので早期発見早期治療には検査が欠かせません。
健康診断やかかりつけ医での検診は大切ですね!
そして、そんなに難しいことでは無いけどつい忘れがちになりそうなこと、塩分量や水分補給にも気をつける!
大事な事だと改めて思いました。