川柳の時間

川柳の時間
image1

朝夕の窓から秋気が感じられるようになりました。
パーソナリティの山崎彫科さんと茉莉亜まりが「川柳の時間」をお届けしました。
コーナーはFM宝塚公式youtubeチャンネルでの同時生配信でお届けしています。
アーカイブが一週間程度残ります。チャンネル登録をしてお楽しみください。

番組内でお読みできなかったお作品の抜粋と講評です。

 

本気出せと空から声が降ってくる   和音

「本気出してないでしょう? まだやれるでしょう?」。空から降る声が自身の中でこだまする。
空の声は自身の内なる声。どこまで応えるかは自分次第。

 

ほんとだと知った途端に消える夢   涼閑

眠っているあいだに見る夢も、追いかけて叶える夢も、ほんとだと知った瞬間に消える。
起きている間の夢は、ほんとうになって消える、そんな夢であってほしい。

 

断捨離の手を止め抱いたスヌーピー   猫又夏梅堂

人生を整理する断捨離。あれもこれも思い切って、と捌いていく手が止まる。スヌーピーの存在、そのかたち、表情、やわらかさが想い出のあれこれを呼び覚ます。もうすこし一緒に、と残すスヌーピー。

 

へのへのもへじの案山子は実は天邪鬼   一橋悠実

天邪鬼はお米の番をしながら「じ」の口で人知れず皮肉を言ったり、
もしかして「すこしなら食べていけ」とすずめを招いていたりするのかもしれない。
「実は」を入れると説明的となるので、省くと十七音の自由律となる。

 

いつの日か逢えるだなんて靴の音   カッシュママ

いつの日が来るのか来ないのか。靴の音がたしかに聴こえるような、それは逢いたいがゆえの幻の音のような。

 

傷さえもハートマークに変わりだす   川端日出夫

傷は傷として刻まれていたはずが、時間とたとえば季節の風や人の温みとに晒されるうち、
気づけばハートマークに変わりはじめていた。傷は勲章に、そののち、きっと愛に。

 

最下位で一人占めする競技場   徳道かづみ

勝てなかったレースを、負け戦を最後まで戦う。その敗者の美学に観衆は惜しみない拍手と歓声を送る。
戦い続ける。生き続ける。競技場を去っても、送られた拍手と歓声を胸に。

 

匿名で降りしきる雨、秋の雨   高良俊礼

名乗ることなく降りしきる雨。どこにも、だれのもとにも雨。その哀愁の香りが、季節は秋だとじずかに告げて。

 

s-DSC_1372
阪神尼崎駅から徒歩5分の尼信会館3階段にて10/5から11/10まで展示をさせていただいています。
お立ち寄りいただけますと幸いです。
尼信会館⇒https://www.amashin.co.jp/kaikan/yotei.html

 

揺れ巾は狂れ巾にして白式部 【茉莉亜まり】