11月6日 たからづか8丁目35番地 川柳の時間
夏の気配がようやくなりを潜め、一気に秋が深くなりました。パーソナリティの山崎彫科さんと茉莉亜まりがお届けしました。番組内でお読みできなかったお作品の抜粋と講評です。
なお、「川柳の時間」はエフエム宝塚公式youtubeチャンネルにて同時生配信にてお送りしています。是非チャンネル登録をしてお楽しみ下さい。なお、番組のアーカイブはYoutubeに一週間程度残ります。チャンネル登録をしてお楽しみください。
空気澄み明日のわからぬ身を抱く
和音
愁思。明日のわからぬは常であるが、夏から秋冷に移ればおぼつかなさが増すのもまた常。まず自身が自信を抱いてやる。そこから明日をみれば広がる景色もあろう。
傷心を小粋にかゞり前を向く
猫又夏梅堂
傷心をかがる。せめての矜持で小粋に。かがろう思う、そのことですでに前を向いているのだろう。
掘って掘ってようやく話しだすモグラ
一橋悠実
ひと目に触れぬよう地中深くいるモグラ。そこまで掘って掘るその過程がなくては話すことのできないモグラのはなしはきっとたいせつな話し。
躓きは許さぬように絹かつぎ
川端日出夫
里いものシンプルな料理、衣かつぎ、だろうか。飾らずちょん、と皿に乗ればちょん、と乗ったまま。躓きを許さないのはその素朴な安心感、だろうか。
奪われたあなたにつける請求書
徳道かづみ
好きの度合いにより最初はプライスレス、そのうちに、このわたしを去るような相手なのだからなどと思い切ることができれば、請求書は熨斗付けてさしあげるにかわる。いっそすぐにべりっとやって、つぎの出会いへ。
茫漠の此岸に近き蜃気楼
高良俊礼
ほんやりとしてつかみどころのない此の世。悟りの彼岸からは遠く、たしかなことのなきそのさまは蜃気楼に近いのかもしれない。
風、未明、だれのものでもない時間
涼閑
もうすぐ夜が明ける。どこからともなくの風。きょうがはじまってしまう前の時間はわたしだけの時間でもあり、だれにも属さない開かれた時間でもあり。
茉莉亜まりの今日の一句
ひと隅の消えぬ灯りのあり檸檬
尼信会館に、拙川柳を詠んで描かれた椿崎和生さんの
絵と共に展示しています。
11月10日まで阪神尼崎駅から徒歩5分の尼信会館にて
「茉莉亜まり展 ことのはことたま」を開催中です。
絵画・陶芸作品とのコラボ作品も展示しております。
お持ち帰り頂けるフリーペーパーも数種あります。
お運び頂けますと幸いです。