梅田芸術劇場メインホール雪組公演 ミュージカル『愛の不時着』
樽井美帆です
雪組公演ミュージカル『愛の不時着』が、
東京建物 Brillia HALLで11月30日(土)から12月15日(日)まで、
梅田芸術劇場メインホールにて12月22日(日)から28日(土)まで上演されました。
この公演は、雪組新トップコンビ朝美絢さん・夢白あやさんのお披露目公演です。
出演は、雪組34名のみなさんと、専科の瀬央ゆりあさん。
潤色・演出は中村一徳さんです。
『愛の不時着』は、2019年に韓国で放送開始後大ヒットしたドラマ。
北朝鮮の兵士リ・ジョンヒョクと、韓国の財閥令嬢ユン・セリの運命の恋が描かれています。
2022年に韓国でミュージカル化。
日本人キャストでの舞台化は、今回の雪組公演が初となります。
北朝鮮の若いエリート将校リ・ジョンヒョク(朝美絢さん)は、
韓国との軍事境界線近くの非武装地帯で不審な女性を発見。
それは、パラグライダーで飛行中、竜巻に巻き込まれて不時着した
韓国の財閥令嬢ユン・セリ(夢白あやさん)でした。
一刻も早く韓国へ戻ろうとするセリですが道に迷ってしまいます。
たどり着いた先は北朝鮮軍の社宅村。
途方に暮れるセリの前に現れたのはジョンヒョク。
ジョンヒョクはセリを婚約者だと偽り自宅にかくまいます。
ジョンヒョクは部下たちと協力し、内密にセリを韓国へ帰そうと計画するのですが、
なかなかうまく運びません。
そんな中、いつしか二人はお互いが特別な存在となっていきますが、
いずれ南に帰るセリがジョンヒョクと結ばれるはずもなく・・・
ジョンヒョクはセリを無事に韓国へ帰すことができるのか、
そして、運命の風が運ぶ二人の愛の行方は-。
開演5分前、緞帳が上がると『愛の不時着』というタイトルと緑の木々の映像。
そこへパラグライダーで下りてくる人の姿が。
実は私は、ドラマ『愛の不時着』を見たことがありません。
ドラマを見たことがなくて観劇した人の感想としてお聴きいただけたらと思うのですが、
タイトルの印象やフォントのイメージから、かなりの悲劇なんだと思ってしまっていました。
観劇してみると、楽しく笑える明るい場面もたくさんあったことにまず驚きました。
そして、ぐんぐんお話しに引き込まれ、第1幕が終わると、
「なんていいお話しなの!」と、この作品が大好になっていました🤩
幕が上がるとそこはスイスの船着き場。
ベージュのコートを着てピアノを弾く一人の男性の背中。
穏やかな時間から一転、激しいダンスが繰り広げられるプロローグへ。
朝美絢さんは、ベージュのコートからカーキ色とベージュの間のような色の軍服姿に早替わり。
黒髪と朝美さんのシャープに輝く美しい瞳のコントラストにドキッとしました。
ダイナミックな曲もとても美しいです。
今回は韓国ミュージカルということで、いつもの宝塚歌劇の公演で歌われている歌や
使われている曲とはかなり雰囲気が違うように感じました。
ダイナミックでドラマティックな曲、フォルテで歌う曲や、
音をかなり強く長く伸ばす曲が多いなと私は感じました。
みなさん、しっかりとした芯のある太い声で朗々と歌っていらっしゃいました。
そして、舞台メイクも陰影を少なめにされ、
つけまつげも薄いものを使っていらっしゃるように見えました。
またそれが新鮮で美しかったです。
舞台には雪組のみなさんの美しさ、美があふれていました✨
朝美絢さんが演じられたのは、芸術学校でピアノを学びながらも、
亡き兄に代わり軍人となった北朝鮮のエリート将校リ・ジョンヒョク。
黒髪の朝美さんが新鮮で美しい!
吸い込まれそうな美しい目で表現されるお芝居も美しい。
軍服、迷彩服、スーツ、コートにマフラー、ハイネックのセーターなど
様々な衣装を着られていましたが、登場されるたびにあまりに美しくてときめいてしまいました😍
ジョンヒョクはとても実直なので最初は表情が固いのですが、
アクシデントがあった時や自分の気持ちに嘘がつけなくなった時は、
気持ちがものすごく表情に素直にあらわれます。
その様子を見ていると胸がキューンとなりました💗
セリを「僕の婚約者です」とかくまう場面では、客席から登場。
見事な造形美のお顔と、実直な背中のステキさに、思わず心の声が出そうになりました。
そんなステキなジョンヒョクから婚約者と紹介され、照れるセリ・夢白さんが
とても可愛らしかったです。
照れる気持ちに激しく同意です!
お風呂に入る時はアロマキャンドルが必要だというセリのためにアロマキャンドルを手に入れ、
それを渡す場面。
渡したあと照れて目をそらす姿にときめきました🤩
第1幕の終わりは、ジョンヒョクがセリを非武装地帯まで送り届ける場面。
軍事境界線を越えれば二度と会えない・・・
そんな中、ジョンヒョクはセリが落とした物を拾って、
しゃがんだ状態で立っているセリに渡します。
そしてセリの背中をそっと押す・・・
そんな優しさあふれるジュンヒョク、好きにならずにいられませんよね!
この場面のカゲソロ、絢斗しおんさん・白綺華さんの歌声がとても美しかったです。
夢白あやさんは、韓国の財閥令嬢ユン・セリ。
地毛を活かしたロングヘア、色白のツヤ肌メイクが美しい。
身体にフィットしたミニスカートのスーツや、カジュアルなロングスカートにカーディガンなど、
様々な衣装を着られましたが、その衣装に合わせてキリリとしたりゴージャスになったり
リラックスしたりと表情や雰囲気まで変化されるんですよね。
表情豊かで元気溌剌なセリ。
強くたくましく生きる姿が清々しかったです。
華やかでまぶしい夢白さんですが、面白いことをしたり突拍子もないこと言うお芝居が自然体。
夢白さんの楽しいお芝居は元気になれますね!
気がつくとカリスマ性も感じる夢白さん演じるセリの味方になりファンになっていました。
そして、夢白さんは泣き方がキレイなんです。
ハラハラと涙を流すという言葉のお手本のような美しい泣き方でした。
瀬央ゆりあさんが演じられたのは、
セリのお見合い相手で、詐欺を働いて追われる身となり北朝鮮に身を隠すク・スンジュン。
白いパンツに青いジャケット姿が、瀬央さんの美しさに拍車をかけ、
その骨太な存在感、かっこいい背中から目が離せませんでした。
いえ、目が離れませんでした😍
色々な笑顔を使い分ける瀬央さん。
切ない笑顔には胸が痛み、心からの笑顔を見せられると客席の自分も幸せに✨
また、瀬央さんが「ワクワクして」と言うと自分も本当にワクワクしますし、
瀬央さんが寂しそうだと自分も本当に寂しくなってしまいます。
ソ・ダンの気持ちに合わせて、そっと背中に手を当てるエスコートが
最高に優しくてカッコよかったです!
オレンジのハイネックのニット姿もステキでした。
そして、歌声にはすごいパワーを感じました。
また、パレードではサングラスをかけて登場。
とってもカッコよくて、サングラスを外されたあとのとびっきりの笑顔が魅力的すぎました🤩
北朝鮮の富裕層の令嬢、ジョンヒョクの婚約者ソ・ダンを演じられたのは、
華純沙那さん。
宝塚市出身の106期生です。
痛々しいまでに真っ直ぐで、笑顔を見せないストレートな話し方ですが、
ただのキツイ人ではないということが、
華純さんのお芝居によって表現されていたように感じました。
ストレートな話し方のなかに感じる嘘のない心。
姿勢も真っ直ぐ、腕や手もあまり動かされないんですよね。
ふとした時に見せる悲し気な表情や、すっとそらす視線、
一瞬に凝縮された感情に胸が苦しくなりました。
華純さんのお芝居は瞬発力がありますよね。
ストレートの黒髪からもダンの生き様を感じました。
そして、それまで優しい感情を出していなかったダンが、
瀬央さん演じるスンジュンを思い泣き崩れる場面。
その悲しさが痛いほど伝わってきました。
情感たっぷりの歌声もとても美しかったです。
フィナーレは、瀬央さんの歌からスタート。
朝美さんと瀬央さん、同期のお二人の息がピッタリなダンス。
目を合わせて踊られるお二人から、思わずこれからの雪組を想像して楽しくなってしまいました。
瀬央ゆりあさんは、12月29日付で専科から雪組へ異動されます。
トップコンビのデュエットダンスは真っ赤な衣装。
朝美さんのエスコートが優雅で美しい😍
そんなエスコートを受け、夢白さんが軽やかに舞っていらっしゃいました。
出演者のみなさんの細かいところまでこだわった役作り、お芝居がとても楽しく、
また心震える大熱唱も聞きごたえがありました。
様々な登場人物の気持ちの変化や過程が分かりやすく見事に描かれていて、美しさがあふれていて、
雪組のみなさんが何より楽しそうに舞台に立っていらっしゃるステキな舞台を
今年最後に見せていただけて幸せだったなと思いました。