4月9日川柳の時間

水曜日川柳の時間  
       夕 凪子
飛ぶような時の流れを笑う亀   和音
 全く、亀でなくともです。のんびり甲羅干しをするゆとりを忘れてしまっている現代。立ち止まる勇気も時には必要ですね。

 

初蝶と一年眠る旅鞄 カッシュママ
 またそろそろ旅へ出たいと鞄を開けると、ひらり飛び出した蝶がいる。去年の蝶を知らずに閉じ込めたままだった。

 

草餅の色濃し退院は近し  一橋悠実
 食欲も出てきて回復が近いことを教えてくれる。たっぷりの餡子の入った草餅に齧りつく。
 色の濃さがバロメーターになって表せるものの多さを知りました。 

 

少しなら許してしまう春の雨   川端日出夫
 許した雨が少しですむとは限らないところが怖い。優しさにつけ込む輩がいるとは思わない作者に、落ちてくる春の雨。

 

子を持たぬことを選んだアザミたち  徳道かづみ
 鮮やかな紫の花を咲かせるアザミはすっくとしてとても強そうで好きです。心の底に辛い決断を抱いているとは思いませんでした。トゲトゲはそのせいかもしれません。

 

洗っても漂白しても黒歴史   夏目堂
 洗ったり漂白したりを繰り返してきた歴史。なのにどこまでも付いてくる。それがあるから、今の自分があると言えるまで、まだ間があるのでしょうか。生きているのは、ほんの僅かな偶然の積み重ねなら、黒歴史も必然だったのでしょうか。

 

場面には桜 記憶を司る   高良俊礼
 桜に操られる事の多いこの頃の心。遠い記憶までも揺さぶりにくる。古来、花が終われば、花が無ければ、と嘆く人の多  かったこと。それでも花を待っている。
 

ライトアップされた芦屋川の桜

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