11月12日 川柳の時間
11月12日 川柳の時間
力強くレモンの花は咲いている 川端日出夫
レモンの香をさせてレモンの花が咲いている。冷たい風にもめげずに。レモンの花に力をもらっていることが助詞「は」に出ています。
煌めいた冬のアーチのその先に カッシュママ
カッシュママさんは神戸の方。煌めいたアーチとはもしかしてルミナリエでしょうか。煌めきの先に何を見ておられるのか。委ねられています。作者も読者もあの大災害を胸の奥にたたみ込んでいます。
高速の真っ直ぐ私のS字 一橋悠実
確かに高速道路は真っ直ぐが多いです。下道はくねくね曲がってばかり。それでも、運転している時は真っ直ぐに見えているのですがね。くねくねからあなたらしさが出てくるのです。
梅干しの酸味 反撃せよ乙女 徳道かづみ
乙女の反撃力を引き出す物としての梅干し。取り合わせが渋い。古くて新しい発想に平伏しました。老いも若きも梅干しを食べて冬を乗り切りましょう。
雨雲の向こうに滲む月、点かず 高良俊礼
雲の向こうの月はぼんやりとして見えます。それで何が点かないのか書かれておらず、省略が効いた句です。明るい月の下なら、何が点くのかを考えると答えが出てきそうです。「、」も点ですが。
柿渋抜く父を近くに感じた日 ミサヲ
子供の喜ぶ顔を思いながらので作業でしょうか。いつもは近づき難い父が懐かしく思い出されるワンシーンなのでしょう。あの頃の親の年齢になって、解ってくる親心。
今月の彫科さんの句
オレンジの小花の香 秋を告ぐ 彫科
欲捨てて曽爾高原が夕暮れる 夕 凪子








