宝塚バウホール花組公演『赤と黒』
樽井美帆です![]()
宝塚バウホールにて、 花組公演 ミュージカル・ロマン『赤と黒』-原作 スタンダール- が、7月28日(火)から8月13日(木)まで上演されています。
主演は、侑輝大弥さん。
バウホール公演初主演です。
侑輝大弥さんは、2016年「THE ENTERTAINER!」で初舞台を踏まれた102期生。
入団11年目です。
2022年の「巡礼の年」で新人公演主演をつとめられました。
原作は、19世紀フランスの文豪スタンダールの代表作「赤と黒」。
柴田侑宏さんが1975年に『恋こそ我がいのち』としてミュージカル化し、その後タイトルを『赤と黒』に改め、度々再演を重ねてきた名作です。
脚本は柴田侑宏さん、演出は田渕大輔さん。
出演は、花組30名のみなさんです。
ナポレオン失脚後、王政復古下のフランス。
貧しい暮らしを抜け出し、富と名声を手に入れようと、野望を抱く青年ジュリアン・ソレル(侑輝大弥さん)。
家庭教師として仕えた屋敷では、レナール夫人(朝葉ことのさん)と恋に落ちますが、その恋は思わぬ悲劇を招きます。
その後、パリの貴族社会へ足を踏み入れたジュリアンは、侯爵令嬢マチルド(七彩はづきさん)と出会います。
美しく高慢なマチルドは、野心と才能を秘めたジュリアンに強く惹かれ、二人は身分の違いを越えて愛し合うようになります。
しかし、野望と恋の間で揺れ動くジュリアンの運命は、大きく狂い始めます。
恋と野望に彩られた波乱の物語です。
どんどんという音が響く中、侑輝大弥さんの開演アナウンス。
深くて心地いいお声です。
幕が上がると、手の中指と裾を繋げた白いドレスの熱情の女のみなさんが優雅に美しく踊ります。
そこに後ろ姿で立っているのが、侑輝大弥さん演じるジュリアン。
胸元にフリルがあしらわれた白いシャツに黒のパンツ。
振り返ったその瞬間、あまりの美しさにドキッとしてしまいました!
これから舞台が始まるというのに、「最後まで耐えられるかしら…!」と思ってしまうほどの圧倒的な美しさです🤩
赤いドレスのレナール夫人・朝葉ことのさん、黒いドレスのマチルド・七彩はづきさんが加わり、白鷹の男役のみなさんとのダンスへ。
赤と黒、そこに白が加わった、美しい幕開けです。
衣装担当・薄井香菜さんによる色使いが美しく、 衣装の色に込められた意味を見出しながら観るのも楽しいですね。
主演の侑輝大弥さんが演じるのは、立身出世を夢見る野心家の青年でナポレオンを敬愛している、ジュリアン・ソレル。
見るからにギラギラとした野心家という雰囲気ではなく、内に秘めた上品で深い熱さと聡明さを感じるジュリアンだなと私は思いました。
憂いを秘めた瞳は常に潤んでいるように見え、目の奥深くで見つめているよう。
ゆるくウェーブがかかった長めの前髪が頬にかかる姿も美しいですね。
黒のフロックコート姿で、薔薇が満開の生垣の前で本を読む姿は絵画のような美しさ。
いつかその侑輝さんのお姿だけを愛でるだけの公演をしていただきたいと思ってしまうほどです。
フーケ・美空真瑠さんとの軽快な言葉のやり取りも楽しいです。
侑輝さんの表情やポーズのキメがすべてかっこいい!
歩き方ひとつにも色気が漂い、私は手に熱さを感じました。
握ってみたら燃えているように熱い手なのではないでしょうか。
「レナール夫人の手を握るんだ!」と自分を奮い立たせる姿には、若さがあふれています。
野心に奮い立つ瞬間と、それを達成した瞬間の何とも言えない表情。
背筋を伸ばして座り、目は一点を見つめているのですが、客席までジュリアンの興奮する鼓動の音が聞こえてくるかのようです。
伸ばしきって声が消える直前の余韻が美しい歌声。
とても丁寧に歌と向き合っていらっしゃる印象を受けました。
ほぼずっと舞台に出続けていらっしゃる侑輝さん。
第二幕では第一幕よりも、じっと耐える時間が長いジュリアン。
黒燕尾の中にのぞくベストが赤。
侑輝さんの美をじっくりと堪能できます。
レナール夫人を撃ちにやってきた時の狂気に満ちた表情と、撃ったあとの虚ろな表情がとてもリアルで引き込まれました。
朝葉ことのさんが演じるレナール夫人(ルイーズ)は、落ち着いた丁寧な口調がステキな清らかな女性。
心の声の録音に合わせて魅せる繊細な表情のお芝居が美しいです。
声の震えにも理性と恋心で揺れるルイーズの心情が見えます。
夫はいるけれど、ジュリアンが初恋となったルイーズ。
恋をすると可愛くなりたいと思う乙女心が、ドレスによく表れているように私は感じました。
ジュリアンに出会う前は、どちらかというとシンプルな服装でしたが、出会ってからは初々しい水色のリボンたっぷりのドレスに。
ジュリアンも恋してからは、カマーバンドが赤に!
さらに、もう戻れない情熱的な恋になった時のルイーズのドレスはマゼンダピンク。
一般社団法人色彩心理カウンセリング協会のホームページにによると、赤の情熱が入ったピンク色は、大人の女性の情熱と可愛さを表す色。
赤になりきっていないカラーが、ルイーズの切ない恋心を表現しているように感じられました。
ルイーズの3人の息子たち(長男アドルフ・風美はる帆さん、次男ミリアム・琴美くららさん、三男スタニスラス・優花りらさん)も、本当にかわいいです。
特に、三男スタニスラス・優花りらさんは本当の子どもに思えるほど、お声がかわいらしいですね!
宝塚歌劇の子役は、本当に素晴らしいです😊
七彩はづきさん(宝塚市出身)が演じるのは、ラ・モール侯爵の令嬢マチルド。
高慢な娘にピッタリの声を作られているなと感じました。
とても心地よいセリフ回しです。
ちょっと突拍子もなくて高慢ですが、実はとても純粋なのかなと感じさせる雰囲気。
初めから真っ直ぐ人を見るのではなく、一旦横を見てから見る。
その目を横に動かすお芝居がステキで可愛らしく、強気な目の演技に引き込まれました。
また、心の中の自分とやり取りし、自分でも自分が分からなくなる葛藤のお芝居も最高でした。
マチルドからのラブレターで再び野心に火がつくジュリアン。
ジュリアンを待つマチルドはサーモンピンクの衣装で、恋する喜びに目を輝かせて歌う歌声も美しいです。
窓のカーテンをはらって部屋に入ってくるジュリアンのカッコ良さには息が止まりそうです!
糸月雪羽さん演じるデルヴィール夫人は、社交界に必ずいる勘のいい貴婦人。
上品で美しく、とても美しい声で言葉を輝かせていらっしゃいました。
マチルドの兄・ノルベール伯爵を演じる青騎司さん。
ステキな声と美しい軍服姿も印象に残っています。
牢獄の場面では、ジュリアンは幕開けと同じ胸元にフリルがあしらわれたシャツに黒のパンツ。
ルイーズは苦しい恋心に耐えるかのような黒みがかった深いエンジ色のドレス。
マチルドは恋心が鮮やかなパステルピンクのドレス。
二人に挟まれ、美しい涙を流すジュリアンが切なくも美しいです。
死刑の場面で涙を流すジュリアン。
悲しげな表情でありながらも、自分の人生を受け入れ、後悔を感じさせない笑顔も見せます。
スモークがたかれる中、真っ赤なドレスのルイーズと黒いドレスのマチルドが現れる演出も幻想的で美しいですね。
フィナーレは、男役さんのかっこいい群舞からスタート。
侑輝さんが加わり、しっとりとした色気と様々な目の表情で踊ります。
掛け声も色気たっぷり!
胸元がフリルで飾られた赤いシャツに黒のパンツ姿の侑輝さんが、赤のベルベット調ドレスを着た娘役さんたちに囲まれて踊る場面は、周りが吸い寄せられていくような侑輝さんの色気に満ちています。
最後は、胸元に赤い装飾を施した白いドレスの朝葉さん、七彩さんと侑輝さん三人での様々な愛の表現が描かれたダンス。
幕開けと同じ、赤と黒と白の世界です。
笑顔で踊られている姿を見るとほっと心が温かくなります。
とても丁寧にゆったりと心情が描かれていて、登場人物たちの心の動きをじっくり追いながら楽しめる公演だなと感じました。
8月11日(火・祝)14時30分からの公演は、ライブ配信が行われます。
詳しくは、宝塚歌劇公式ホームページをご確認ください。












