たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
毎週第1・第2の日曜日の9時台にお送りしています・・・
「川柳の時間」
今週、ご紹介した投句とお時間の関係でご紹介できなかった句を紹介する
「川柳の時間」ブログ版です。
講評は、茉莉亜まりさんです。
黒田 俊さん
「柿の実たわわひとりふたりと去りし家」
・・・ひとり巣立ち、また巣立ち、ひとり逝き、、、
とする家の庭で、秋になると変わらず実る柿の木。
たわわを愛でつつ、去った家族を「しん」と
思うのですね。
「長い影あなただったと思いたい」
・・・秋となって、長く伸びた影。
その影がよぎった。
「その影、誰の影」であろうと、
俊さんの中では、たった一人のあなたの声。
「まだ何も話さぬままに秋彼岸」
・・・あえて話さぬまま、季節が移ってゆく。
いつ話すか、話さず葬るか、、、
決められぬままの秋分
「連れ合いの機嫌で変わる空模様」
・・・空は空に都合で、変わっているけれど、
俊さんの空はお連れ合い次第だと。
いつか、自分だけの空を持たれますよう~
「目も耳も休め飴玉舐めている」
・・・口の中で飴玉をコロコロ転がせば、
休んだ先の新しい世界が見える。
休んで、飴玉舐めて、さぁ次へ!
木乃芽 花さん
「あしあとをひろってあるく影法師」
・・・影は花さん自身。
にんげん手前だなと思うほどのさみしさの中、
あちこち集める足跡。
いつか足跡の主と人として出会われますように!
前田邦子さん
「またしても秋の終わりのわだかまり」
・・・背負い続けている荷物。
降ろそう、降ろそうと思いつつ、
また秋を見送る邦子さん。。。
”そのお心一つで手放してください。”
と、言いつつ、、、
私も「はい、しょってます。」
城水めぐみさん
「母ひとり娘(こ)ひとり角(かど)を縫っておく」
・・・「角」には「かど」と「すみ」両方の読みがありますが、
外から見ると「かど」、中から見ると「すみ」と読みます。
寄り添う母と娘のひとりひとり。
心の内からしっかりと縫い合わせて支え合う姿に、
「しん」とし、「すみ」と読みました。
徳道かづみさん
「嫉妬にも慣れて秋来る栗を煮る」
・・・”慣れて”というより、慣れたことにしておこう!
心を守るために、、、でしょうか。
なかなか煮えない栗。
煮えても嫉妬のごとく、まとわりついている渋皮。
「女心と秋の空」
とはいかないですね。
「秋桜女の弱さしたたかさ」
・・・華奢な茎とやわらかな花弁ながら、実は雑草のごとく逞しい。
弱いけれど、したたかに雑草のごとくと秋桜のように太陽へ
顔をあげて!!
「紅葉や秋には秋の恋人を」
・・・色付いた葉に見合う恋を。。。
燃える秋にふさわしい男を、、、と思いつつ、
冬にぬくもりをくれる人をキープしておきたくもあったりして。
実は同じ恋人がよかったりして。。。
パーソナリティー・岸田久美子
「いいわけをいえないままに秋くるる」
・・・いいわけの「い」、いえないの「い」が揃っていい響きです。
字面もすべてひらがなで、たゆたう心の雰囲気がよく出ています。
”秋”
持ち越しの宿題に心が及ぶ季節です。
みなさん、今週もたくさんの投句、
ありがとうございました。
来週は夕凪子さんが担当します。
なお、来月は「11月」がテーマです。
11月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。