たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
毎週第1・第2の日曜日の9時台にお送りしています・・・
「川柳の時間」
今週、ご紹介した投句とお時間の関係でご紹介できなかった句を紹介する
「川柳の時間」ブログ版です。
講評は、茉莉亜まりさんです。
ラジオネーム・こはらさん
「帰路で見る平日午前の白昼夢」
・・・街も人も動き出す平日の朝。
街にも人にも溶け込むことなく、白昼夢に包まれた帰路。
帰り着くと、巣にはぬくもりがありますよう・・・
「午前」と「朝」とすると、リズムも整い、
ドラマがよりくっきりと浮かび上がりますね~
宝塚市の河村肇男さん
「親の家夜着に包るまり休みけり」
・・・亡き親の家。
田舎にぽつんと残る大きな一軒家が朽ち初めている中で、
夜着と親御さんとの想い出に包まれておられる。
そんなドラマを想像してみました。
冬。
屋根には雪が降り積んでいるかもしれませんね。。。
「鬼やらひ金棒提げて童追ひ」
「外套の右ポケットにチョコ菓子」
黒田俊さん
「あの詩(うた)がこぼれてしまう観覧車」
・・・この世とはちがう時間が流れる観覧車。
俊さんはきっと一人でその時間、
空へ近く近くと思いながら、
世を見下ろしているのでしょう。
こぼれる詩。
そして、きっと涙。
「春一番口紅の色変えました」
「友三回忌庭の椿が薄く咲く」
「涙腺解放ピアノソナタとバーボンと」
「始めましょうか私を畳む大仕事」
城水めぐみさん
「繋がれた糸に鋏を添えておく」
・・・糸の色が赤とすれば・・・
運命の糸でないならちょきんと切っていただいて結構よ。。。
の女の啖呵が鋏。
恋において、潔よいのは多分。。。女
あるいは、親と子の糸であれば、
時にちょきんとやりたくなることも。。。
前田邦子さん
「母に似た指でニベアを塗っている」
・・・「ニベア」はハンドクリームの代表ですね。
手を荒らして、家族の世話をあれこれとしていた母の指。
やはり、荒れた手。
その形を受け継いだ自分の指を通して思う邦子さん。
ニベアは邦子さんの指を通して、お母様へもしみ込んでゆくのでしょうね。。。
パーソナリティー・岸田久美子
「あの頃のわたしはきっと鬼だった」
・・・いつも穏やかに笑っておられる久美子さんに・・・
そんな「あの頃」があったのですね。。。
着眼点がとても川柳らしいです。
今日は前半で散文と韻文の違いをお話ししました。
このままだと散文に近い気がします。
たとえば、こんな風にするとより韻文らしくなります。
「あの頃のわれの被りし鬼の面」
こうすると、鬼にならざるを得なかった物悲しさも透け、
ペーソスが生まれます。
みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。
きょうは、初めての方お二人からも投句いただきました。
次回は夕凪子さんが担当します。
なお、来月は「3月」がテーマです。
3月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。