たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
毎週第1・第2の日曜日の9時台にお送りしています・・・
「川柳の時間」
今週、ご紹介した投句とお時間の関係でご紹介できなかった句を紹介する
「川柳の時間」ブログ版です。
講評は、茉莉亜まりさんです。
今週もたくさんの投句をいただきまして、ありがとうございます。
城水めぐみさん
「はぐれないように小指で結ばれる」
・・・赤い糸の結ばれた小指ならば、
小指だけでもずっとはぐれずにいられるかしら...
たしかで、でも危ういのが「恋」
尾崎良仁さん
「油蝉ころがっている処女のまま」
・・・たった一週間の命。
相手と出逢えず逝く蝉も。
油蝉のその照りがなお哀れ。
ころがる油蝉をどう形容するかでドラマが変わりますね。
「子を生きぬまま」くらい詠みこむ手もありますね。
徳道かづみさん
「恋求むゲリラ雷雨の激しさで」
・・・突然に、
鮮烈に、
わたしという局地だけに降れよ!
雷鳴の轟きほどに心震えよ...と、
そんな恋なら、ずぶ濡れ落雷も覚悟ですね~
COME ON!
唯一無二の恋
「重なって真珠孕まぬアコヤガイ」
・・・重なるだけ。
真珠は子、あるいはほんとうの愛。
それでも貝は不器用に互いを傷つけながら重なる。
「ひぐらしのカナカナカナを愛する母」
・・・秋の訪れを告げる「カナカナカナ」
人生の朱夏を遠い目で思う母が愛す蜩(ひぐらし)
「現実になってしまった夢がある」
・・・叶えたく、叶うと色褪せる夢。
あるいは予知夢となった夢。
どっちにせよ、現実となった夢は時に重荷。
「サボテンが枯れる 愛情濃度過多」
・・・愛し方が分からず、
水を遣り過ぎ、
肥料もあげにあげて…
枯らせたのは、自分って分かっているけれど。。。
前田邦子さん
「曼珠沙華 も一度恋をしてみたい」
・・・お彼岸の頃になると、突然あちこちで目に入る赤い花。
この赤が、邦子さんに恋する心を喚起したのですね。
赤は恋の色。
してください、恋!
黒田俊さん
「密やかに九月の空とデイトする」
・・・すっと暑さが引いて、澄んだ空。
雲はやさしく語り、秋風がそっと肩を抱いてくれますね。
「九月の風が活入れていく曲がる背に」
・・・老いの足音に気迫と曲がっている背。
さらりとなった九月の風が、活力と冬を生き抜く力を入れる。
伸ばして、空を仰ぎましょうか。
「テレビ消す私の孤独浮かび出す」
・・・見るとはなしに、点けているテレビ。
消すと「ひとり」を突きつけられるから…
「しん」とした無音に蝋燭を灯しましょうか。
「私」の命を照らしましょうか。。。
「じんじんと足の裏から暮れてゆく」
・・・人生の季節も日暮れへ。
足裏から滲んでくる日暮れは歩いて歩いて。
次の季節の日が昇るまで!
パーソナリティー・岸田久美子
「おそぜみの鳴き声つらし風たちぬ」
・・・か細くなった蝉の声。
心がしんとなりますね。
たつ風が終えた命のつらさを洗って、
秋が進んでゆきます!
みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。
次回は夕凪子さんが担当します。
なお、来月は「10月」がテーマです。
次回の茉莉亜まりさんの登場は、10月7日となります。
10月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。