死亡保険金は遺産に入るのか否か、それが問題だ。
日差しの暑さの中にも、
肌寒さを感じる季節になってきましたね。
お元気ですか?
宝塚くらしの法律相談所、高田裕美です。
今週は福間法律事務所の尾崎悠吾先生にお越し頂き、
『死亡保険金と特別受益について』
お話しを伺いました。
財産分与について、
以前に、『生前贈与』のお話がありましたが、お亡くなりになった方が(被相続人)から、
生前贈与によって財産を取得した(被相続人から受け取った)相続人がいる場合、
この相続人が他の相続人と同じ相続分を受け取るとすれば、
当然、不公平が出てきますよね?
そこで、民法903条1項としては、
『遺産の金額』と『生前贈与された財産の金額』とを合算した金額に、
法定相続分を乗じて、そこから生前贈与を受け取った相続人については、
生前贈与された財産の金額を差し引くとしています。
これを、『特別受益の持ち戻し』といいます。
しかし『死亡保険金』がこの『特別受益』に当て嵌まるのか?
例えば、ある方の保険金の受取人が妻や長男だった場合・・・
このケースは結構あるのではないでしょうか?
どっちだと思いますか・・・?
答は・・・NO!なんです。
最高裁の判例では、原則として死亡保険金は特別受益の持ち戻しの対象にはならないとしています。
理由は2つ。
①死亡保険金は、保険金受取人が自らの固有の権利として取得するものであり、
保険契約者や被保険者から取得するものではないから。
・・・つまり、死亡保険金は、保険金受取人(かつ相続人)の財産であって、
被相続人からの贈与ではないという形式的な理由。
②死亡保険金は、保険契約者が払い込んだ保険料と等価関係に立つものではないから。
・・・つまり、被相続人が数回しか保険金を払わずして亡くなった場合でも、多額の死亡保険金が
支払われるケースもあり、その際、本来(将来的になる)の遺産の金額はさほど減少しておらず、
保険金受取人は保険会社という第三者から多額の金額を受け取ったに過ぎないため、相続人間の公平には関係ない
という実質的な理由。
しかし、例外もあります。
保険金の額や、保険金の額の遺産総額に対する比率、同居の有無、被相続人の介護に対する貢献度、など、
保険金受取人である相続人及びその他の相続人と被相続人との関係や、それぞれ相続人の生活実態などの
諸々の事情を総合的に考慮して、相続人の間で不公平が著しいと評価すべき事情がある場合には、
例外的に、死亡保険金が特別受益として持ち戻しの対象になるとしているそうです。
基本的には、死亡保険金は相続の対象にはならないけれど、
その額や諸事情によっては特別受益として遺産相続の振り分け方が変わる可能性もあるということです。
もし、心当たりがあれば、一度弁護士の先生にご相談してみましょう!!!
11月16日の予定です。
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宝塚法律事務の柴崎崇先生をお迎えしてお送りする予定です。
来週もお楽しみに~♪