たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
「川柳の時間」
今週、ご紹介した投句とお時間の関係でご紹介できなかった句を紹介する
「川柳の時間」ブログ版です。
今回の担当選者は、茉莉亜まりさんです。
今週もたくさんの投句をいただきまして、ありがとうございます。
多舵洋さん
「来るならば来いと波立つ冬の海」
「初恋の記憶に光る黒電話」
「小指だけ真っ赤に染める年女」
城水めぐみさん
「性善説で賑わうプリン・ア・ラ・モード」
芍薬さん
「雑草を抜いても生えるSNS」
一橋悠実さん
「年明ける敢えて何にも掲げない」
「誰からも好かれて困る主人公」
月波与生さん
「できるだけ写真のように笑います」
「友だちがわたしの敵を数えだす」
高良俊礼さん
「除夜しずか一人称の雪降れり」
猫又さん
「地底湖の底に沈めてきた涙」
「じわじわと消える記憶と残る愛」
「活きたまま灼かれて踊るチャールストン」
涼閑さん
「背伸びする深呼吸する陽をつかむ」
「空色の帽子今年も投げ上げる」
「forever 愛はあなたの内にある」
「煙突の煙にも愛が混ざってる」
「葉の雫あふれ一面銀世界」
砂狐(さこ)さん
「太陽を鼻の穴から吸って出す」
「電柱、今日からジャクソンと名乗る」
徳道かづみさん
「カレンダー白い分だけ夢がある」
「結論は出さない除夜の鐘を聞く」
「十円で世界平和を祈りおり」
福村まことさん
「乾くまで素通りをする生家跡」
「日捲りの余白に嘘の地下出口」
「消火栓までは本音に蓋をする」
柾木郷志(まさきさとし)さん
「島国を守るマスクが弛みだす」
恵庭弘さん
「さい銭もキャッシュレスの時代来た」
「人類が選別されているような」
川端日出夫さん
「ぎゅう詰めのおせち料理は自己主張」
「待たされて吉を拾いに初詣」
「1月にはや新年と振り返る」
「お雑煮に心の澱が溶けていく」
岡田深幸さん
「あの日には戻りたくない みかん剥く」
今月の気になる作品
一橋悠実さん
「無 無 無 私は今止まれない」
=無になって突き進む。
もちろん止まれない。
そのまま進めばいい。
無が連れて行ってくれるのは辿り着くべき場所だから。
福村まことさん
「残照の未練文字化けさせる雲」
=未練は文字化けさせて雲に吸ってもらうといい。
やがて霧散する。
のちの残照に染まる雲はきっと美しい。
「白夜来て幻孵化をするという」
=沈まない太陽が孵化させる幻。
人は孵化した幻を纏って生きる。
人生も過ぎれば幻ならば、生まれくるよき幻とともにあらんことを。
月波与生さん
「途中下車して三月を待っている」
=先で待つより、途中下車の人影まばらな駅でひっそり待つ三月がいい。
別れに涙したり、旅立ちを祝福したり。
途中下車の駅ではゆっくりと時が流れる。
高良俊礼さん
「牡丹雪 暦の中に他人めく」
=ふわりと降りては溶ける牡丹雪。
時の積もらぬ暦の中で近しい人がしずかに他人めいてゆく。
みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。
次回は夕凪子さんが担当します。
なお、来月は「2月」がテーマです。
次回の茉莉亜まりさんの登場は、2月7日となります。
2月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。