たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
「川柳の時間」
今週、ご紹介した投句とお時間の関係でご紹介できなかった句を紹介する
「川柳の時間」ブログ版です。
今回の担当選者は、茉莉亜まりさんです。
今週もたくさんの投句をいただきまして、ありがとうございます。
今月の投稿作品
高良俊礼さん
「人はみな微光でありて厭離穢土」
「春空は夏を隠して降る畏れ」
砂狐さん
「たんぽぽをカエルに変えた過去がある」
「神さまのシッポを踏んで花吹雪」
恵庭弘さん
「今年のサクラを 観れずに逝く人」
「指輪などハマらなくなった母の指」
「コロナワクチンの 予約が取れない!」
川端日出夫さん
「こいのぼり世の流れには逆らえず」
「丸裸にされ名残りの柏餅」
「カレンダーの祭日の朱灰になる」
朧(ろう)さん
「奇跡には棘があるから気をつけて」
涼閑さん
「夜ごとに飛べない鶴を折ってます夜明け前」
「瓶をあふれて光る星」
「雨音に翻弄されるススワタリ」
「満ちてゆく心の水位遠い夜」
福村まことさん
「衣替え鶴の折り方変えてみる」
「絵葉書を一本背負いする切手」
「怒りかも知れない蟹の縦歩き」
「落ちながらプラス思考を伸ばす滝」
西尾幸恵さん
「追い続け陽炎のよう夢遥か」
「白牡丹後幾年(いくとせ)かまた会える」
千春さん
「心の卵子は居たの心の精子は居たの」
徳道かづみさん
「楽園を燃やして焦げた薔薇の香よ」
「君が好き血がはちみつになっている」
川合大祐さん
「人間の手に茅ヶ崎の空気缶」
「防腐剤宇宙縮んでゆくいまも」
Orrinさん
・・・アメリカはテキサス州からもいただきました。
英語の川柳です。
「apple mint -senryu is a slip of paper burning in me」
「fried catfish for dinner this is the life of a single man」
今月の気になる作品
お読みしなかった句への講評
西尾幸恵さん
「友浮かぶ妍を競わぬ野の花に」
=野の花のようなご友人なのですね。
野の花を見て心が動き、それがご友人を思わせたのなら、
以下のようにされるといいかもしれません。
「野の花や妍を競わぬ友のあり」
福村まことさん
「踊り場でステップ変える受精卵」
=踊り場までステップとは、またかろやかな。
変えたステップで運よく生誕の場に辿り着けば、
生れくるはオプティミスト、だろうか。
川合大祐さん
「寒い初夏ガンジーの皮膚培養す」
=肌寒に夏が兆す。名言の数々が過る。
死ぬ覚悟をして自由に生き、逆境を走り抜く皮膚。
培養ののち移植できたとして、ひたひたと迫りくる炎暑。
さて、定着するか否か。
高良俊礼さん
「春空は夏を隠して降る畏れ」
=愁いの春空はそののちに続く
烈火の夏を隠しながらたしかに含んでいる。
畏れとして降る春空、その彼方に隠すは、おそらく夏だけではあるまい。
涼閑さん
「夜ごとに飛べない鶴を折ってます」
=飛べないとわかっていても夜ごとしずかに鶴を折る。
飛べない鶴がやがてなにかを運びはじめるかもしれない。
ありがとうございました。
さて、ここでブログ版をお楽しみくださる皆様にご案内です。
来月からの「川柳の時間・ブログ版」は、投稿作品の中から、
各週の選者が「今月の気になる作品」として複数句を選考し、
掲載する形式に変更することとなりました。
これからも番組コーナーともども、このブログ版もお楽しみ
いただけるよう鋭意取り組んでまいります。
今後とも、ご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
次回は夕凪子さんが担当します。
なお、来月は「6月」がテーマです。
次回の茉莉亜まりさんの登場は、6月6日となります。
6月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。