川柳のコーナー
1週目、川柳の時間です!
梅雨晴れ間の宝塚より、パーソナリティの山崎彫科さんとお送りしました。
番組内でご紹介できなかったお作品の抜粋はこちらです。
妹を肩車した枇杷の下 西尾幸恵
頭上で枇杷上げる妹を愛おしんだ日々。姉として慕われた日々。
幼い姉妹のものがたりはいま、どんな実りとなったろう。なつかしくやさしく実る追想の枇杷。
ジンロック胸の痛みは隠せない 川端日出夫
隠せないほどの痛みにそそぐように飲むジンロック。あおりすぎませんように。
去らずとも、押し隠せるほどの痛みとなりますように。
ンアアアと歌う 私はもう知らん 一橋悠実
歌にならない歌をンアアアと絞り出す。匙を投げる。投げていい匙だって少なからずある。
投げれば歌が歌となってゆく。
青すすきまだ見ぬ恋が待つ地球 徳道かづみ
秋まではさして気に留められることのないすすき。地球、恋はその懐深き星のあちこちに仕組まれている。
青すすきを待つ恋はさてどこに。
聴診器あてたあなたに積もる雪 浪速のマッキントッシュ
聴診器の先にいる人は外の季節とかけ離れた時を生きることがある。時を選ばずだれかに、あなたに積もる雪。
聴診器を当てる人の愛が目の前の人に静かな雪を積もらせる。
当たり前がまぶしく光り梅実る 和音
季節が巡れば当たり前に梅が実る。当たり前を当たり前として実る。それはそれはおだやかな日々が巡り、
実る梅をまぶしく見つめる人の心にその光が届くということだろう。
百合睡る寓話に線を引きそびれ 高良俊礼
引こうとした線を引いていたなら、寓話はこわれたのだろう。そのままに。
睡る百合はその夢のしずかな寓話の中でしか美しく咲かない。
寂しさは抱いた子猫と半分こ 猫又夏梅堂
子猫のぬくもりに寂しさを託す。きみは子猫だから半分だけお願い、と遠慮がちに。
君は子猫だから半分だけお願い、と遠慮がちに。じっと変わらぬぬくもりで抱かれてくれる子猫。
残り半分の寂しさも次第に温められてゆく。子猫を放せばきっと、ん、もう大丈夫だにゃ、と見上げられるだろう。
奄美大島・名瀬のaim campanyさんのキーホルダー。
龍は辰年の私のためにお作りくださいました。
茉莉亜まり