たからづか8丁目35番地（水）『川柳の時間』

『川柳の時間』

花火、夏祭りも各地で開催され、夏の色濃い気配があちこちにあります。
厳しい暑さが続いています。みなさまおすこやかに、とお祈りいたします。
第一週目は茉莉亜まりが山崎彫科さんとお届けしました。

「川柳の時間」はエフエム宝塚youtube公式チャンネルでの同時生配信でお届けしています。
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番組内でお読みできなかった作品の抜粋と講評です。

尨犬（むくいぬ）が五体投地で祈る涼　　　猫又夏梅堂
ぬくぬくとむく毛を纏った犬。犬はまして灼熱の地面に近い。さぞ暑かろう。五体投地で祈る涼。
涼風が懸命のいのちにとどきますように。

ひまわりも背伸びしている交差点　　　川端日出夫
背伸びしてどこを、なにを見ているのだろう。夏のさなかに交差点を行き交うなにか、だれか、だろうか。
天へ向かうひまわりが人に見えてくる。

満月を見上げて君と帰る家　　　（お名前がありませんでした）
満ちている月をともに見上げる君がいる。一日の終わり。
何があってどんな終わりであってもともに帰る家がある。

藪がらし無様に生きてみせること　　　徳道かづみ
力強く蔓延る藪がらし。無様でも、だれになんと言われようとも、この世に芽吹いたのなら生きてみること。
生きてみせるのだと思うこと。最期の時までを生きる。そう思い続けること。

精神が傾けば雨、文月去る　　　高良俊礼
精神が傾くから雨になる。雨だからなお傾く。荒れる空をなんとかやり過ごすことができれば晴れ、また曇り、
そしての雨。なんとかやり過ごすこと叶うころ、ようやく文月が暇を告げる。

鳥取・聖神社の朝陽【茉莉亜まり】