川柳の時間

川柳の時間

 

能登の地震、救援物資を運ぶ海上保安庁の飛行機と旅客機の事故で幕開けとなった2024年。命を落とされた方々、そのご遺族の方々に心よりの哀悼の意を、被災され日常が一変されてしまった方々にお見舞いを申し上げます。

新年最初の「川柳の時間」は宝塚公式Youtubeチャンネル同時生配信で、茉莉亜まりが山崎彫科さんとお届けしました。アーカイブは一週間程度残ります。チャンネル登録をしてお楽しみくださいませ。

番組内でお読みできなかったお作品の抜粋と、鑑賞です。

 

おむすびを丸い気持ちでむすんでいる  涼閑

まあるくまあるく食べる人のことを思って。

むすんだおにぎりが食べた人の元気の素となりますように。

 

ト書きでは笑う場面を濡れた瞳(め)で  猫又夏梅堂

場面はフィクション。リアルがどうであっても、たとえ

涙を称えていても、フィクションのリアルを書く。

 

プカプカと残り一つのおでんの具  川端日出夫

たくさんの具で賑わっていたおでん、その最後のひとつ。

遠慮のかたまりではないだろう。だれからも選ばれなかった

残されたおでん、かなしくてぷかぷか。

 

女偏 縛るのはもうやめなさい  一橋悠実

女。昔と比べると縛られることは減ったけれど、それでも

残る女偏のあれこれ。縛られる。自分が縛ってしまう。

止められるといいですね。

 

春近し虚実の中に樹氷満つ 高良俊礼

春までの虚に実に樹氷。

冷たさが満ちる。刺さる。

虚実に満ちる樹氷すべてがとける春は、近い。

 

まっしろな暦あたしの可能性  徳道かづみ

新年。ここから書きこんでいく暦。

書くとは世界に刻むこと。

書きこんでゆく「あたし」の可能性がことしの暦を

埋めていく。

 

龍に乗り大空駆けて夢駆けて 和音

天空と地上を自由に行き来する龍。

駆けよ駆けよ。たましいを載せ、

夢を叶える場所に運んでくれ。

 

 

写真:播磨灘の初日の出です。(撮影:茉莉亜まり)

茉莉亜まり先生

茉莉亜まり