川柳の時間
4月3日 「川柳の時間」茉莉亜まりがパーソナリティの山崎彫科さんとお届けしました。
「川柳の時間」はFM宝塚公式youtubeチャンネルでの同時生配信でお届けしています。
アーカイブが一週間程度残ります。チャンネル登録をしてお楽しみください。
以下、番組内でご紹介できなかったお作品の抜粋と講評です。
スヌーズの合間を縫って舞ふ胡蝶 猫又夏梅堂
「起きなさい、起きなさい」とスヌーズ。音か消えると、夢うつつの合間を縫って舞う胡蝶。
つらつらとずっと見ていたいような。
今だけの桜 心で見ています 玉山智子
桜を愛でる。目で。心で。心で見る今だけの桜は、思い出すとき、心にいつでも咲き戻る。
これ以上あなたを追わぬ春の虹 徳道かづみ
どこまでも追いたかったあなた。追わぬと決めるあなた。春の虹がかかる。「あきらめよ」の七色か。
この虹をわたってそれでも追ってゆけ、とかかるのか。
薄くしたはずの記憶が騒がしい 一橋悠実
やっとのことで薄くしたのに騒ぎだした。なだめるにはまだ時間がかかる。
薄くなったり濃くなったりしながらやがてほどよい濃さになりますように。
春だからコートと一緒に意地も脱ぐ 和音
張っていた意地をコートと一緒に脱いでしまおう。春だから。
脱げばやさしくなれる。やさしい春風が包んでくれる。きっと。
*春だからコートと意地を脱いでいる
「一緒に」は省いて上のようにすると律が整い、意地を脱いだよりやわらかな印象となるかもしれません。
わたくしはチューリップの芽料理する 千春
これから咲くその芽は春のいのちの芽。 咲くのを待たずに摘み取り、料理してそのいのちをいただく。
心して。こころの中で咲くように祈りながら。
夢ののち寝汗は春に嫌われて 高良俊礼
春に似つかわしくない夢、重苦しい夢だったのだろう。
目覚めたなら春に迎えてもらえるよう汗を流し切り、春の中へと歩き出してください。
瓦礫から新芽が顔を出している 川端日出夫
瓦礫、と聞けば思い起こす光景がある。あちらにもこちらにも。瓦礫から顔を出す新芽。
どうか希望の新芽となりますように。
満開のさくら幻降る夢野 涼閑
桜は幻が似合う。桜が満開だから幻が降るのか、満開のさくらはもはや幻となって夢野に降るのか。
その境目すらもわからなくさせる満開の桜よ。
明日への窓はいつでも桜色 カッシュママ
明日への窓。どんなときにも開いていてほしい。いつでも桜色であるなら、
窓を開けて入りくる風からきっと生きるに値する明日の風が吹いてくれる。そう信じて。
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番組内で紹介した城水めぐみさん、とし総子さん、茉莉亜まりの川柳・詩・エッセイを収録したzine『mimoza』。お取扱店は垂水の流泉書房さん、須磨の自由港書店さん、あいうゑむさん、塩屋の舫書店さん、
元町の花森書店さん、1003さん、灘の古書店ワールドエンズ・ガーデンさんにてお取扱いただいています。
お尋ねの際は在庫を確認いただくのもよし、ふらりと立ち寄られてもどこも素敵な書店さんです。
是非お訪ねください。 茉莉亜まり