川柳の時間

川柳の時間
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たからづか8丁目35番地
5月1日 「川柳の時間」茉莉亜まりがパーソナリティの山崎彫科さんとお届けしました。
「川柳の時間」はFM宝塚公式youtubeチャンネルでの同時生配信でお届けしています。
アーカイブが一週間程度残ります。チャンネル登録をしてお楽しみください。

以下、番組内でご紹介できなかったお作品の抜粋と講評です。

悩むこと何にもないと鯉のぼり   玉山智子
高々とゆうゆうと泳ぐ鯉のぼりが五月晴れの空に映える。悩むことはない。
あたっとしても、やがては風がさらってくれる。鯉のぼりよ、その願いの中を泳ぎきってゆけ。

 
足早で前傾姿勢この春も   涼閑
この春も、まえの春も、そのまえも足早に過ごした。春は前へ前へと突っ切る。
未来は自身が創る。そんな春の足取り。


平凡に生きてもいいさ
黒アゲハ   和音
生きてもいいさ、と云いながら舞う黒アゲハ。そうなのだろうか。かの黒アゲハ、である。
平凡なってまっぴら、と羽をゆらゆらとさせているに違いない。

 
朽ちてなお嘘が半日つきまとう   カッシュママ
嘘のために朽ちたのか。嘘をつかねばならないその状況に朽ちてしまったのか。
あるいは、吐かれてしまった嘘にわずらっているのか。半日のののち、この嘘はどうなったろう。

 
気の抜けたソーダ呑気にいきましょう   徳道かづみ
強炭酸は時に痛いほど。放置して抜けるのを待つか、ストローでかき混ぜて飛ばしてしまうか。
ほどよい泡でときには程よくのんびり。


意味深に剥がされていく菜種梅雨   
川端日出夫
あの黄色に降る雨の中でなにかが剥がされるのか。剥がされてゆくのは自身の殻なのか。
あるいは菜種梅雨が季節から剥がされてゆくのか。


モノラルで蝶生まれ出(いで)枇杷青し   
高良俊礼
しっとりとモノラルの蝶。はではでしさの代わりにくぐもったあたたかみを宿して舞うのだろう。
青々と枇杷。蝶から生まれるしずかな音楽とともに季節は夏へ。

 

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写真:わがやの近くにあるネモフィラの花畑です。「ネモフィラ」と記された時刻表のないバス停があります。
バスは来るのか来ないのか。それは天におまかせです。【茉莉亜まり】