川柳の時間
川柳の時間
たからづか8丁目35番地
10月9日 「川柳の時間」夕凪子がパーソナリティの山崎彫科とお届けしました。
「川柳の時間」はFM宝塚公式youtubeチャンネルでの同時生配信でお届けしています。
アーカイブが一週間程度残ります。チャンネル登録をしてお楽しみください。
以下、番組内でご紹介できなかったお作品の抜粋と講評です。
袖まくり父におまけの出目金魚 林かずき
お祭りの金魚すくいかな。奮闘の割に成果がいまいち?
おまけの出目金(きっと黒)が袋の中に一匹。なんともほっこりする一時です。
ごみ出しのトーンで自立するつもり 一橋悠実
作業としてのごみ出し。決まった時間に、決まった場所へ、決められたルールで。そんなふうに自立できたら大人なんだろうけど。
川柳人としてはどうなんだろう。自分らしさを失わない程度に。はちゃめちゃでもいいんじゃないかな。
「ごみ出しのトーン」とは楽しい。
綺麗さはふいの動きに現れる 涼閑
計算された動きの綺麗。何気ない仕草の中にふと出る綺麗。ハッと心を奪われるのは無防備な後者の美しさ。見られているって怖い。
ぎりぎりで繋がっている神無月 川端日出夫
コロナ禍をくぐり抜け、物価高をかわし、夏の暑さに息絶え絶えなこの頃。やっとたどり着いた神無月。
なに、繋がっていれば安心。ここからはこちらの思うがまま。僕の天下。
あたしからあたしへ渡す残り菊 徳道かづみ
清楚な香りの秋の花。頑張ってきたあたしに一輪。このままあなたはあなたのままで。そんなふうにすっくと立ってくれている。
また頑張れそうです。
重い返事 長い廊下に立っている 薮蔵
長い廊下の先に待っている返事。いつか行き当たり、聞きたくないが聞かねばならない答。
聞いたあとの景色がどうかわるか、緊張感が伝わる。渡辺白泉の『戦争が廊下の奥に立っている』をふと思う。
いつまでも痛みの残る指であれ【凪子】