3月5日川柳の時間

3/5 春をはぐくむ冷たい雨の朝となりました。

 

「川柳の時間」は茉莉亜まりがパーソナリティの山﨑彫科さんとYouTube同時生配信でお届けしました。

番組内でお読みできなかったお作品の抜粋と講評は以下です。
「川柳の時間」のアーカイブはFM宝塚YouTube公式チャンネルで1週間程度ご覧いただけます。

チャンネル登録をしてお楽しみください。

 

カラス舞う今青空は君のもの 徳道かづみ

黒黒と。堂堂と。地上でなにを言われようが、青に映える黒はカラスがカラスであることの誇り。舞う限り、空は舞うもののもの。

 

凛とした姿みせつけ花水木 川端日出夫

天にその顔を向けて咲く花水木。凛としたその姿を花は意図せずしてみせる。みせつけられたと感ずるも、誇らしげと感ずるも、仰ぐものの心次第。

くちびるの動き追いつつティータイム

涼閑向き合いくつろぐ人のくちびる。しばしおだやかなお茶の時間だろうか。ここぼれてゆくことば。ときにこぼすくちびるのみを追って。

私から空へてんとう虫離陸 砂狐 

星を背負ったてんとう虫。私でひと休みしてから離陸。休めたかな。その星に、きっと、空への願いもかけておいていい。

争いを尻目に芽吹くチューリップ 和音理念。

主義。主張。生存のため意外に争うのは人間のみ。やがて無心に咲くその姿。春を迎えるなら変わらず芽吹いて。

グッバイと告げるがごとく閉まるドア 一橋悠実

ドアが閉まる。なにかが終わり去ってゆく。かたしみのグッバイ。見切ってのグッバイ。きっとつぎのドアが「さあこちらへ」と告げるがごとく待ち構えている。

小夜まだき送電線を跨ぐ月 高良俊礼

夜が降りてきた。人の世界のあれこれをつなぎ運ぶ送電線を跨ぐのはおそらくほどなく朔を迎える繊月。消え入る前、気付く人のみの気付く月の気配。

 

卒業と言い倣し消えて行つた星 猫又☆夏梅堂

星は人、だろう。いのちを終えることを卒業と言い倣した人。諦念とともに告げられた終わり。遺されたものに残る星の余韻。

 

やっと雨痛みもつれて春が来る みぃちゃん

ひと雨ごとに春が近づいてくる。花々の咲きはじめる春。うれしいことばかりではない。運ばれてきた痛みは作者のもの。痛みやわらぐ時間が春の中により多くありますように。

 

◯茉莉亜まりきょうの一句

伝言や 花 風 光 声音 雨

京都伏見の海文舎さんで名刺半分サイズの川柳豆本句集を2冊作っています。

製本は手作業でちいさいながら上製本です。今月半ばには一部完成します。

見本はどちらも絣装丁ですが、『花のこゑ』の完成品は黄緑いろの「たんぽぽ」の意匠の記事となります。

海文舎さんのホームページ、店長さんのお散歩日記にこのところよくおじゃましています。

よろしければお訪ねください。

https://www.kaibunsya.jp/phone/

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