川柳の時間
きょうは鑑賞担当茉莉亜まりがパーソナリティ山崎彫科さんとお届けしました。
「川柳の時間」FM宝塚youtube公式チャンネルに一瞬間程度アーカイブが残ります。
チャンネル登録をしてお楽しみください。
春から初夏。緑がすこしずつ色を増してきました。
番組内でご紹介出来なかったご投句の抜粋と講評です。
青もみじ生きろ生きろと囁いて 和音
さやさやと初夏の風にそよぐやわらかな緑。ささやくように「生きろ」と背中を押してくれる。
友の恋金平糖をガリと嚙む 徳道かづみ
甘いはなしを続ける友。「そうか、そうか、よかった」と聴きながら、陰りゆく心がある。ガリ。ガリガリ。金平糖をかみ砕く。
仏門に入る野良猫の換毛期 廣澤真希
ときに気楽で時に苦難。すべては自分次第の野良が仏門に入るという。猫ならば自然に換毛。これが人となると時任せとはいかない。
生きるために変える毛。決して変えるものかの毛。選びつつの仏のもと。
泣くたびに九時消灯の長い夜 カッシュママ
9時に消灯の制約ある場所でひとり泣く。泣くたびにまた夜が巡る。灯りの消えた長い夜。
泣きながら眠りに落ちたり落ちること叶わなかったり。涙が乾く、そんな朝がいつか巡ってきますように。
また会おう私ら白い雲だから 一橋悠実
さだまった形を持たない私ら。霧散したりまた像を結んだり。約束はないけれど、また会おう。会うべき私らなら会える。きっと。
筍ご飯に本音が飛び変わる 川端日出夫
しゃきしゃきと筍。嚙むごとに本音が飛んで変わるとは。大地の力を得てにょっきりと飛び出してきた春の味覚の魔法。
告げられぬカーネーションの花言葉 猫又夏梅堂
感謝を直接に告げるべき母はもういない、と読むのが順当だろうか。感謝を、愛を、告げずに黙して届ける。天へ。
語尾霞む淡い季節であるが故 高良俊礼
かすむ。ゆるむ。アンニュイな気配をまとった淡い季節は語尾が季節に溶け込んで霞んでゆく。霞に隠されたことばの気配はそのままに。霞んだはおそらく救いとしてそのままほうがいいのだろう。
阪神野田駅から藤を巡りました。野田。優雅に揺れる藤とあたたかな住人の方々が素敵な街です【茉莉亜まり】