6月11日たからづか8丁目35番地(水)川柳の時間
6月11日たからづか8丁目35番地(水)川柳の時間
毒吐いて私の胸を軽くする 日出夫
川柳を書くことは毒を吐くことです。吐いて吐いて吐いて、軽くなりましょう。自分の毒だけではなく、読者の胸の毒も流してくれる。それが川柳です。
背に視線感じふりむく夜の道 涼閑
背の一点が妙に気になってしまうこと、ありますね。シンとした夜ならなおさらです。守護霊が見守ってくださるからかもしれません。科学では割り切れないことがいっぱいあります。特に深夜は…。
栗の花キレイな思い出はキライ 一橋悠実
キレイな思い出の味気なさがわかるって少しかなしい。わかってしまってからの人生が大人を生きるってことか。栗の花の噎せるような香りが背を押してくれる。
あじさいに魔法をかけて笑う雨 和音
あじさいの鮮やかさも、色の変化も、雨が魔法をかけているからなのだとおもしろい。一時のランデブーを楽しんでいるのですね。今日も雨です。
ギリギリを生きれば灯る雨後の月 高良俊礼
生きることの難しさは年々増してくるように思います。それでもと歯を食い縛る時、月に何度も救われてきた。びとびとと降る雨が上がって出てくる月。まさにホッと灯るような。ギリギリが静かに救われる瞬間。
畑から爺も眺めた里の山 由利子
今、爺の年に近くなってあの時のように私が眺めている。畑も田んぼも手放してしまったけど、爺さん許してくださいね。
ホタルブクロあの世の夫のプレゼント ミサヲ
庭の片隅に咲いたホタルブクロ。ふんわりと薄紫に俯きながら咲く花の可憐さと優しさ。寂しがり屋の私にあなたが送ってくれたプレゼント。ホタルブクロのフォルムは見守る花にぴったり。側にいる実感が今日の元気になる。
通学路色とりどりの傘の花 彫科
一匹のめだか宇宙は金魚鉢 凪子