ここが私の生きる場所
髪。
成長の速度は違えど、産まれた時から自分とともに人生を歩んでいく友。
時には(薄くなって)立ち止まってしまうこともあるかもしれないけれど、生きていく限り髪との付き合いは続きます。
ということで本日私まっつんこと松坂滉が訪れたのは小林2丁目にあります『atelier KEISOU』さん、お1人で店を営業する佐々木さんにお話を伺いました。
KEISOUさんのオープンは1991年、若いうちに自分の好きな空間で仕事がしたいとの思いで始められました。
佐々木さんは人生で一番長くいる場所が仕事場だと考えているそうで、まさにその空間は佐々木さんの趣味が十二分に反映されています。
早速店内を覗いてみましょう。
先ず目に飛び込んでくる大きなスピーカー。
心地の良いジャズやクラシック音楽が耳からあなたを癒して毛根を開かせます。
美容室に置いてある本と言えば何をイメージするでしょうか。
ファッション誌やヘアカタログ…。はたまた漫画なら週刊少年ジャンプやゴルゴ13、じゃりン子チエでしょうか(それは床屋か)
KEISOUにある本はそれらとは一線を画します。
『四国霊場の秘宝』、『日本仏教美術の源流』、『ニーチェの言葉』などなど、佐々木さんの興味はありとあらゆる分野に及びます。
何故か?
佐々木さんに理由を伺うと「常に職人でありたい」との答えが返ってきました。
美容師駆け出しの頃、たまたま立ち寄った気品の溢れる美人画で有名な上村松園の美術展で衝撃を受けたそう。
しかし、美容室が休みの月曜日は美術展も基本お休み…。
美術館にはあまり行けないけれどなんとか職人の技術に触れたいと考えた佐々木さんの出した答えこそが、お寺巡りだったんです。
言われてみれば確かに鳥居や仏像、木々の組み方に至るまで…お寺というものは職人技術の結晶です。
数々の職人の技術を肌で感じ、ヘアカットにもインスピレーションが活かされているはず。
今ではお寺巡りが転じて山登りにも精を出しているそうです。多方面にアクティブすぎる佐々木さん。
その他にも壁には著名な画家の作品が飾ってあります。
佐々木さんの趣味がここまででていながら店の雰囲気にもマッチしていて、シックでかっこ良いKEISOUが出来上がっています。
さあここで一つの謎に触れましょう。
KEISOUとはなにか。
「疾風に勁草(けいそう)を知る」という中国のことわざがあります。
速い風が吹いて初めて強い草を見分けられるように、大きな困難が立ちはだかった時にこそ意志の強さや節操の堅さがわかることを意味します。
KEISOUとは勁草。強い草のように吹き荒れる風にも負けない、時代の流れに置いていかれないお店をという思いが込められています。
30年営業している中で、流行も変わればお客さんの輪郭・毛量・毛質なども変わっていきます。
そんな中強い草・勁草だからこそ、変わらず愛され続けて今があるのかもしれません。
THE・余談。
佐々木さんは時間に余裕があればお客さんにお茶を淹れることもあるそうです。
いやこれ淹れるというより点ててますやん。
美容室でお茶を点てられたことなんてあるわけありません。
多趣味すぎる佐々木さん。
私に似合う髪型を少し考えていただいたところ、「今の髪型が爽やかな感じで似合っているが、強いて言うなら耳まわりをスッキリしたいかも」と答えてくれました。
しかし今の髪を切ってくれた美容師にも何か考えがあるはずと、髪型に正解は無いことを教えてくれました。
KEISOUさんは予約制、必ず一度お電話をお願いします。
先の読めないことだらけのこの荒野に立つ強い草、KEISOUのようにありたいとお店を後にした松坂でした。
『atelier KEISOU』
住所:兵庫県宝塚市小林2丁目12−26
電話番号:0797-71-0390
営業時間:9:00-20:00 月曜定休
HP:atelier KEISOU – since 1991