月組トップスター 月城かなとさん 退団記者会見

樽井美帆です

 

9月25日(月)、月組トップスター月城かなとさんと月組トップ娘役 海乃美月さんが、

来年2024年7月7日に退団されることが発表されました。

 

発表の前日、9月24日(日)に宝塚大劇場で千秋楽を迎えた『フリューゲル -君がくれた翼-』では、

月城さん演じるヨナスと海乃さんのナディアの、心の動きまで繊細に感じるあたたかいお芝居を、

『万華鏡百景色』では、まさに絶景を見せていただきました。

 

来年は宝塚歌劇が110周年を迎え、まさに110周年真っ只中の公演を担当する月組。

8月には、花組トップコンビ柚香光さんと星風まどかさんが、来年5月に退団されることを発表されており、

95期生トップスターが2組続いて退団を発表されました。

 

2組続けてのトップコンビの退団は、やはり衝撃がありますよね。

 

退団発表の翌日9月26日(火)、ホテル阪急インターナショナルにて退団記者会見が行われました。

 

2021年8月に月組トップスターに就任された月城かなとさん。

大劇場公演のお披露目公演『今夜、ロマンス劇場で』・『FULL SWING!』は、2022年のお正月公演でした。

コロナ禍で生活する私たちの時間を、明るく彩ってくださいましたね。

トップ就任後は、新型コロナウイルスの影響で、ほとんど公演ができない日々もありました。

そんな厳しい状況の中でも、あたたかいお芝居を私たちに届けてくださった月城さん。

知的な瞳と優しいえくぼで、私たちの心に寄り添ってくださいましたよね。

 

記者会見の会場には金屏風が置かれ、その前に置かれた机には、

百合など退団をイメージする白い花と、月組カラーの黄色の小ぶりな花がアレンジされたものが置かれていました。

 

月城かなとさんが登場された瞬間、私は思わず「あっ!ギャツビーさんだ😍」と思いました。

少しアイボリーも入っているのかなと感じる優しい白のパンツスーツに、

光沢のある白のシャツ、靴も白、そして首にはストール。

このストールがとてもオシャレなものでした。

優しい白が月城さんの美しいお顔を、月の女神のように輝かせていました。

また私は、こめかみからおでこにかけての髪の生え際が美しいなと見とれてしまいました🤩

 

月城さんは、美しく大きな瞳を静かに輝かせ、まっすぐな姿勢でしっかりと前を見据え精悍な雰囲気。

「いざっ!」という静かに闘志を燃やす武士のよう。

月城さんの前に日本刀が見えた気がしました。

 

会見に出席されたのは、宝塚歌劇団理事長 木場健之さん、そして月城かなとさんです。

 

木場理事長は会見の冒頭で、

「月城は、第95期生として2009年宙組公演『Amour それは…』で初舞台を踏み雪組に配属。

その後、2017年に月組に組替えとなり、2021年に月組トップスターとなりました。

コロナ禍でのトップスター就任で、公演の上演実施も安定的にできず、

難しく厳しい状況が続く中で、一つ一つの公演に誠実に冷静に向き合い取り組み、

月組トップスターとしての重責を果たしてくれました。

役の内面から緻密に作り上げ、温かみのある深く豊かな声は、

客席の隅々まで響き渡らせる力強さも増し、大変惜しまれるところではございますが、

退団するその日まで、月城ならではの男役像を突き詰めていってほしいと思っております。」

と、月城さんについてお話しされました。

 

月城さんは、うなずきながら会場の記者のみなさんを見渡し、理事長のお話しを聞いていらっしゃいました。

 

続いて月城さんは、

「みなさま本日はお集まりくださいましてありがとうございます。

このたび次回作、『Eternal Voice 消え残る想い』と『Grande TAKARAZUKA 110!』で

宝塚を卒業させていただくことになりました。

最後まで男役として全うしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。」

と、迷いのない真っ直ぐな言葉で、清々しく言い切られました。

 

早い段階で、トップスターとして出演する大劇場公演5作で退団することを決めていたという月城さん。

トップスターに就任するというお話しがあった時、

歴代の月組のトップスターの方のお名前をあらためてご覧になり、

トップスターになるということは、自分だけのゴールではなく、

私は月組をつないでいく役割をいただいたんだと思われたそうです。

どうやってどの時期に次につないでいくのがベストなのか、自分の去り際を就任の時から考え、

早い段階で5作で退団するという自分の中でゴールを決めましたとおっしゃっていました。

それまでに自分ができる限り月組をいい状態にして、

これからもその先も、月組がみなさんに愛していただけるような組にする、

そんなトップスターになりたいと思われたそうです。

早いうちから5作と決めたので、プロデューサーさんと作品の内容など

前向きにお話しできてよかったとお話しされていました。

 

月組のみなさんには、大劇場公演『フリューゲル -君がくれた翼-』・『万華鏡百景色』の前楽、

23日の終演後に、退団することを伝えられたそうです。

前日の夜、いよいよ明日、組のみんなに言うんだと思ったら、急に寂しくなったという月城さん。

早いうちからゴールを決めて走ってきた自分が、

こんな気持ちになるのかという驚き、寂しさ、辛さもあったそうですよ。

でも、この公演で退団する生徒もいますし、まずはしっかりと今のこの公演を

大劇場千秋楽までつとめなければなという思いで、みんなには明るく伝えたつもりです

とお話しされる月城さんから、常に月組のことを一番に思いやるトップさんなんだな

ということが伝わってきました。

 

月城さんから退団のお話しを聞かれている時の月組のみなさんは、

次で卒業するんだろうなと感じていたのか、一言一言真剣に聞いていらっしゃったそうです。

そんな一人一人の顔を見ると泣いてしまいそうだったと月城さんはおっしゃっていました。

 

自分が卒業を口に出してしまったら、卒業に向かって進んでいくんだなという現実を感じた時、

みんなへの思いがあふれてくる自分に驚かれたそうです。

 

トップ就任時から、大劇場5作で退団するという決意が揺らぐことはなかったそうですが、

月組のみなさんに伝える時に少し寂しくなり、決意が一瞬揺らいだとすればこの時かなとおっしゃっていました。

 

こんなに月組のことを好きで、組のみんなのことが好きで。

自分の気持ちよりも、どうにか月組がいい組になるようにと思っていて、

自分個人の思いにはあんまり目を向けていなかったんですとおっしゃっていました。

退団を告げる時に自然とわいてきた自分の気持ちに驚かれたようでした。

 

月城かなと退団記者会見1

 

そんな月城さんが愛する月組については・・・

頼もしいメンバーが揃っていて、今は下級生にいたるまで安心して舞台に立てていると感じます。

舞台で色んなことに挑戦したり、戸惑いなく日々何か変えてみたり。

それを受け止めてくださる上級生の存在に感謝され、そのような環境になっていることを

とても誇らしげにお話しされていました。

 

自分がトップスターとして舞台に立てているのは、絶対的に組のみんなのおかげ。

その感謝を舞台に元気に立つことでみんなに返していこうと、就任した時から思われていたそうです。

 

自分の気持ちを表現される時は、ご自分の胸に手を当てられることがあったのですが、

その仕草がとてもあたたかかく、常に自分に向き合い、いつも謙虚な姿勢で生きてこられたんだなと感じました。

お話ししながら、自分の思いに気づいた時『あっ』とおっしゃるんですよね。

情景を思い出しながら、自分の心と向き合いながら、低音ボイスでお話しされていました。

 

宝塚に入ってから、一度も辞めたいと思ったことがないと言い切られた月城さんの

清々しいお顔も印象に残っています。

 

相手役であるトップ娘役の海乃美月さんに退団を伝えたのは、

昨年2022年7~8月に上演された『グレート・ギャツビー』の公演中。

自分でよく自分の人生を考えて、自分のタイミングで一度考えてみてほしいと伝えられたそうです。

そして、『フリューゲル -君がくれた翼-』・『万華鏡百景色』のお稽古が始まる時に、

一緒に退団させていただきたいですと海乃さんが伝えられたそうです。

 

月城かなとさんの記者会見の雰囲気は、月城さんがとても静かに低音でお話しをされるので、

ちょっと暗めなオシャレなバーでカウンターに座ってカクテルを飲みながら、

近い距離で1対1で語り合うような雰囲気でした。

 

月城さんは、8月に退団を発表された花組トップスター柚香光さんにも事前に連絡されたそうです。

今は同期という枠を越えて、それぞれ組を担う立場であるので、

ここまで花組を引っ張てきた花組のトップスターとして心から尊敬しています。

同じ立場のトップスターとして、最後までお互いその役目を全うできるように頑張ろうという気持ちです。

お互いが自分のやるべきことに集中する時だと思いますし、柚香の卒業までの時間を、

私も同じ立場の人間として見守りたいですし、尊重したいなと思っていますとキリッと話された月城さん。

 

個人的な会話はお伝えしかねるんですけれども・・・と笑っていらっしゃいました。

お互いが卒業したら、卒業の時の気持ちなど色んなことをゆっくり語り合いたいですと

柚香光さんを思いやるお気持ちをお話しされました。

そんな幸せな日をお二人が迎えられるよう応援したいですね。

 

月城かなと退団記者会見2

 

2017年2月、雪組から月組へ組替えとなった月城さん。

組替えは、自分にとってすごく大きなターニングポインだったなととらえていらっしゃいます。

宝塚は同じメンバーで公演をして、その中で人となりを分かっていくのですが、

全く自分のことを知らない環境に、宝塚に入って10年目で新しい環境にいける

という機会をいただけたのは、自分にとってはすごくよかったと思います。

振り返った時に、組替えしてよかったと思えるようにしたいという思いで月組に行ったので、

自分のいた組は月組だと、今言える気持ちで舞台に立てていることはすごくうれしいことですし、

組替えしてよかったと今思えることが、とてもうれしいですとお話しされた月城さんの瞳には、

強い光が宿っていました。

 

「うーーーーん・・・」と考えながらじっくり時間をとり、どんな言葉と表現で伝えれば一番伝わるのかを考え、

ゆっくりと話される月城さん。

ふさわしい言葉が見つかるまで、納得するまで考えられるその時間が心地良くもありました。

 

目線・指先・呼吸からも役を感じさせてくださった月城さんに、

私は目指してこられた男役像についてお伺いしました。

 

舞台上には、人となりがすべて出てしまうと思うので、男役としての仕草や型というのは、

辞めるまで追求したいという思いで取り組んできました。

同時に人としての中身の分厚さや、土台がしっかりしていないといけないということも

大切にしてきましたので、自分の中身を充実させていくということは、

下級生の時から気を付けて取り組んできました。

男役としても人として面白いと思ってもらえる男役になるということが目標だったかもしれないですね。

 

月城さんの中に静かに、でもしっかり燃える炎が見えた気がしました。

 

相手役の海乃美月さんとは、トップに就任される前から主演でコンビを組まれることがあり、

お二人ともお名前に月という字が入っていますよね🌙

私は、海乃さんと舞台を作られた時間、過ごされた時についてもお伺いしました。

 

本当に色々なことに挑戦させていただきました。

でもまだまだ終わりではないので、

自分自身も退団公演の千秋楽の日に、どんな景色が見えるかまだ想像がつきません。

それまでお互い役を追求していきたいと思いますし、最後の最後にやり切ったと思えればいいかなと思っているので、

それまでは今までと変わらず色んなことを追求していきたいです。

ずっと同じ景色を見てきたので、最後にいい景色が見れるように一緒に頑張っていきたいと思います。

 

『万華鏡百景色』のストーリーそのもののようなお答えで、ジーンときてしまいました。

 

月城かなとさんが宝塚歌劇団をされるのは七夕です🎋

そのことについては・・・

 

「偶然、あっ七夕なんだっていう ウフフフヘヘ 感じでした😀

大劇場公演のトップお披露目が1月1日から始まって、卒業する時が7月7日。

なかなか覚えやすくて へへへ😀

自分の中でも覚えやすい日として、これからの人生の中でも記憶されていくんだろうなと思います。」

 

まだまだ月城かなとさんの男役が見たいと思っていらっしゃるファンのみなさんへ、

月城さんからのメッセージです。

 

「もしもっと見たい思ってくださるなら、そんな風に思ってもらえるように自分がなるとは、

宝塚に入った時は想像もしていなかったので、そう思って応援してくださるファンの方がいてくださることが、

自分の人生にとって、宝塚で頑張ってきてよかったなと思いますし、それを下級生の自分に伝えてあげたいです。

最後まで、男役として追求していきたいと思いますので、退団公演の千秋楽のその日にも、

やっぱりもっと見ていたかったと思っていただけるように舞台に邁進したいと思います。

月組生として、月組の長い歴史の中の一部としてどのように過ごしていけるか、

月組生としてどんな自分でいることが大事かということを千秋楽のその日まで考えながら、

胸を張って月組生として卒業できるように千秋楽の日まで頑張りたいと思います。」

 

月城かなと退団記者会見4

 

質疑応答のあとは写真撮影が行われます。

美しい微笑みに見とれてしまう写真撮影タイムでした😍

 

ジャケットへの手の添え方が、肘の角度や持つ位置など、鏡を見て確認しているわけではないのに

瞬時に完璧なポーズをとられます。

必要なものだけが残されたそぎ落とされた美を感じました。

 

月城かなと退団記者会見3

 

撮影タイムが終了すると、司会の方より記者会見の終了が告げられます。

 

「本日は誠にありがとうございました。」

 

拍手で月城さんをお見送りし、つい立の向こうに月城さんが消え去ろうとされたその瞬間!

男性記者から『恒例の質問があるんですけれども・・・』と少々控えめにお声掛け。

聞こえているんだけれども、聞こえていないふりをして、

キラリといたずらっ子のように目を光らせ微笑みながら、一旦つい立の向こうに消えた月城さん。

しばらくして、つい立の後ろから、美しきひょっこりはん状態でご登場✨

 

出てこられた月城さんに、

「寿の可能性は・・・」

 

「あの~、ちなみにご結婚は?」

という月城さんからのまさかの逆質問に大笑いの会場😆

 

「してます・・・💦」

と驚きながらも答える記者。

 

「いい点とかは?」

と舞台から身を乗り出して笑顔で質問する月城さん。

 

月城かなと退団記者会見5

 

意表をついた逆質問に動揺しながらも

「いろ・・・いろ・・・ありますよ・・・」と記者。

 

「例えば?」

さらに聞く月城さん。

 

「う~~~ん・・・毎日楽しい」と記者。

 

「参考にさせていただきます。」

とニカッと笑う月城さん😄

 

まさか、質疑応答のあとにもこんな時間があるとはと、

出席された記者のみなさんも驚きながらも爆笑でした🤣

 

優雅な笑顔で質問返しをする月城さんは、まさしくオシャレなギャツビーさんそのものでした。

 

 

月城かなとさんの今後のスケジュールです。

 

10月14日(土) 〜 11月19日(日) <東京宝塚劇場>

ミュージカル『フリューゲル -君がくれた翼-』

東京詞華集『万華鏡百景色』

 

2024年1月17日(水) ~ 1月31日(水) <梅田芸術劇場メインホール>

『G.O.A.T』 ~Greatest Of All Time~

 

退団公演は

ミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』

レビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』

3月29日(金) ~ 5月12日(日) <宝塚大劇場>

6月1日(土) ~ 7月7日(日) <東京宝塚劇場>

 

2024年7月7日(日)、七夕の日に、月組トップスター月城かなとさんは宝塚歌劇団を卒業されます。