宝塚大劇場宙組公演『宝塚110年の恋のうた』・『Razzle Dazzle』

樽井美帆です

 

宙組公演

宝塚歌劇百十周年紀念奉舞『宝塚110年の恋のうた』

ジャズ・スラップスティック『Razzle Dazzle(ラズル ダズル)』

が、宝塚大劇場にて1月1日(水)から2月2日(日)まで上演されています。

 

今年2025年幕開けの宝塚大劇場お正月公演。

 

宙組トップスター芹香斗亜さんの退団公演です。

 

 

宝塚歌劇百十周年紀念奉舞『宝塚110年の恋のうた』

作・演出/大野 拓史

 

宝塚歌劇110年の歴史を創り上げてきた数々の日本物作品から、

恋にまつわる名曲をセレクトし、新たに紡ぎ上げる日本物ショー。

事前にホームページを通してリクエストが募られました。

 

ストーリー性のあるショーで、芹香斗亜さんは歌人・藤原定家、

春乃さくらさんは式子内親王、桜木みなとさんは春日野八千代さん役の八千代、

専科の京三紗さんは衣通姫という和歌の神様を通し役で演じられています。

 

愛する式子内親王が亡くなって、もう恋の歌を詠む意味がないと落ち込む定家に、

八千代が「そんなこと言うなよ~。」と寄り添います。

110年もの間、俳優(わざおぎ)として恋の歌を歌い続けてきた八千代に連れられ、

定家は数多くの恋のうたが綴られる不思議な世界を旅します。

 

開演前の舞台には、色々な家紋が金色で描かれたセット、

豊かに葉が茂った美しい木のセットが輝き、110年の歴史と実りを感じます。

 

開演アナウンスに先立ってお琴の調べが聞こえてきます。

お正月ムード満点ですね。

 

美しいコーラスが聞こえてくると、舞台も客席も真っ暗に。

日本物のオープニングといえば・・・

拍子木の音がチョンと鳴って、一斉にパッと照明がつくチョンパのオープニングです!

何度見ても胸が高鳴る美しさですね。

 

赤い布が敷かれた大階段も雅です。

1981年の『新源氏物語』から「恋の曼陀羅」が歌われ、

一気に平安時代へタイムスリップです。

 

『宝塚110年の恋のうた』1

 

次々に宝塚歌劇の日本物の曲が歌われるのですが、

「あっ、これなんの作品だったかな?なんという曲だったかな?」

と思われることもあるかと思います。

でもご安心ください。

舞台のどこかに必ず表示されますよ😊

 

みなさんのリクエストで入りきらなかった曲が、曲替わりで披露される場面もあります。

 

上演されてから時が経っている公演の曲もあるので、

イントロを聞いただけで懐かしさで胸がいっぱいになることもありました。

一瞬で場面や感動が蘇るので、曲の力ってすごいなとあらためて感じました。

 

110年の歴史の中には、第二次世界大戦により宝塚大劇場が閉鎖され、

公演ができない時代があったことが描かれた場面もありました。

大劇場閉鎖前の最後の公演『翼の決戦』。

写真でしか見たことがなかった場面の再現。

舞台に立ちたくても立てなかった方がいらっしゃったこと、

そして今、自由に舞台を観ることができる平和な時代であることへの感謝の思いを持ちました。

 

芹香さんの定家と春乃さんの式子内親王が、次々にたたみかけるように

流れるように和歌を詠まれる場面では、お二人の技術の素晴らしさに感動します。

 

木の葉や花のセットが、場面に合わせて色を変えるのもキレイでした。

 

定家が八千代に恋の歌を歌い続けることを託す場面は、

芹香斗亜さんから桜木みなとさんへのバトンタッチのように感じます。

 

最後は、満開のしだれ桜の元、花柄の着物姿、琉球の衣装などの宙組のみなさんが

優雅に華やかに舞われます。

 

 

ジャズ・スラップスティック『Razzle Dazzle』

作・演出/田渕 大輔   

 

なんだか不思議な呪文のような言葉「Razzle Dazzle(ラズル ダズル)」。

このお話しの主な舞台となるナイトクラブのお店の名前です。

ステップを踏みたくなる軽快な主題歌でも、

何度もこの「Razzle Dazzle」という歌詞が出てきます。

「Razzle Dazzle」というお店の名前には、華やかな喧騒、バカ騒ぎ、目眩ましなど、

何だかワクワクと心躍るような意味合いが、作・演出の田渕大輔さんによって

込められているそうです。

 

舞台は、1950年代のロサンゼルス。

ハリウッドにほど近いナイトクラブ「Razzle Dazzle」。

新たなオーナーとなったのはレイモンド・ブルー(芹香斗亜さん)。

幼い頃に富豪の両親を亡くし、莫大な財産を相続した彼は、

“ハリウッド一裕福な孤児”の異名を持つも、その財産を手にするには条件がありました。

それは、彼の後見人である遠い親戚の実業家の一人娘と結婚すること。

ですが彼は彼女との結婚を断固拒否。

結婚から逃れるため、経営難に陥っていた行きつけのナイトクラブ

「Razzle Dazzle」の新たなオーナーとなって活路を見出そうとします。

まるで映画の筋書きのような真実の愛を夢見るレイモンドに、

親友の映画スター・トニー(桜木みなとさん)がある賭けを提案します。

その賭けとは、レイモンドがハリウッド一の大金持ちであることを隠して

一人の女性に愛されること。

成功すれば財産を自由にできるようになり、失敗すれば気の進まない相手と結婚するというもの。

彼らがヒロイン役として白羽の矢を立てたのは、映画に出ることを夢見て

田舎町からハリウッドへ出てきたばかりの純朴な娘ドロシー(春乃さくらさん)。

“偽りの愛”を手に入れようと奔走するレイモンドが、

“真実の愛”に気付くまでを描くハートフルコメディです。

 

 

黒地にゴールドの花の模様がほどこされたキラキラ輝くスーツに黒のダービー帽、

そしてステッキを持った芹香さんが、粋でオシャレに登場し、銀橋で軽やかに歌い踊ります。

場所は、芹香さん演じるレイモンドがオーナーをつとめるナイトクラブ「Razzle Dazzle」。

とってもオシャレなお店です。

やがて、お店のお客さんや店員さんも一緒になり明るく楽しく踊ります。

 

 

芹香斗亜さんが演じていらっしゃるのはレイモンド・ブルー。

“ハリウッド一裕福な孤児”の異名を持つナイトクラブ「Razzle Dazzle」のオーナーです。

幼い頃に富豪の両親を亡くし、莫大な財産を相続したものの、

遠い親戚の養父に財産を管理されています。

 

遊び心のある色合わせのスーツも、オシャレにスマートにそして可愛らしく

着こなしていらっしゃいます。

力の抜けた軽やかなお芝居の芹香さん。

コメディ的要素のある役を数々演じてこられた芹香さんならではの間が絶妙ですね。

 

自分にはない夢を追いかける人たちと接する中で、

少しずつ変わっていく心境を丁寧に演じていらっしゃいます。

 

いつのまにかドロシーに惹かれていることに気づいた時、

そして賭けであることがドロシーにバレた時の切ない表情。

切ない表情の芹香さんのお芝居から、レイモンドの焦りや後悔が伝わってきました。

 

『Razzle Dazzle』1

 

春乃さくらさんは、映画女優を夢見てカンザスからハリウッドに出てきた娘

ドロシー・レイン。

 

たくましくて太陽のような笑顔に元気がもらえます。

歌声のパワーがすばらしい!

映画に出ることができて心からうれしいという喜びが、

イキイキとしたダンスからも笑顔からも伝わってきます。

ドロシーは、きっと一生懸命自主練習してきたんだろうなと想像でき、

チャンスを逃さないぞという意気込みを感じます。

エキストラとして役柄的に舞台の端にいても光輝いていらっしゃいます✨

 

桜木みなとさん演じるトニー・デイヴィス主演の大作ミュージカル映画

『バビロンの落日』の撮影場面。

芹香さん演じるレイモンドは奴隷役のエキストラ、

春乃さん演じるドロシーは踊り子役のエキストラとして参加しています。

大階段を使ったダイナミックなセットが登場したり、ダンスシーンが繰り広げられたり、

手動でセットを動かしたりと、まるでショーのひと場面を見ているような長回しでの撮影。

1950年代のハリウッド映画の撮影の世界に入り込んだかのような楽しい場面です。

 

『Razzle Dazzle』2

 

お芝居の最後は、客席降りがあります!

客席の私たちもナイトクラブ「Razzle Dazzle」のお客さんになった気分で

思いっきり楽しめます🤩

 

お芝居のあとにはフィナーレがあります。

桜木みなとさんと、今回女役を演じている瑠風輝さんの素晴らしいハーモニでースタート。

 

芹香斗亜さんがキラキラ光るゴールドにも見えるうすい黄色のスーツに

ピンク色のリボンタイをして登場。

オレンジ色のドレス姿の娘役さんに囲まれて大階段からの登場です。

芹香さんは、可愛い色合わせのメルヘンチックな衣装の着こなしがステキですね😍

 

『Razzle Dazzle』3

 

芹香さん・春乃さんによる最後のデュエットダンスは、

大階段と舞台が青く輝く星空のステージで。

衣装は宙組カラーのパープル。

スモークがたかれる中、ミュージカル映画のワンシーンのようなダンスを繰り広げます。

 

そして最後は、とてもリズミカルなパレード。

煌く白い衣装に白い羽根を背負った芹香さん。

みんなで軽やかに闊歩しているかのような楽しいパレードでした。

 

『Razzle Dazzle』4

 

2月1日(土)15:30公演、2日(日)13:00公演終了後には、

芹香斗亜さんのサヨナラショーが行われます。

 

東京宝塚劇場では、3月15日(土)から4月27日(日)まで上演され、

4月27日(日)芹香斗亜さんは宝塚歌劇団を卒業されます。