宝塚音楽学校 第111期生卒業式
樽井美帆です
3月1日(土)、宝塚音楽学校講堂にて、宝塚音楽学校第111期生卒業式が執り行われました。
第111期生のみなさんは、競争倍率15.3倍を突破し、2023年に入学されました。
合格者40名。
今回卒業されたのは39名です。
予科生の時には、宝塚音楽学校創立110周年記念式典で、
宝塚大劇場の舞台にいち早く立たれたみなさんですね。
午前8時30分ごろから、卒業生のみなさんは宝塚音楽学校へ最後の登校をされました。
思い出深い学び舎へ思いを馳せ、校舎入口で一礼。
晴れやかな表情で、校舎へと入っていかれました。
卒業式に先立って集合写真の撮影が行われたのですが、みなさん清々しい表情。
2年間お世話になった講師の先生方との撮影の際には和やかにお話しをされ、
笑顔で卒業の日を迎えた喜びを分かち合っていらっしゃいました。
その様子を見て、早くも感極まる保護者の方もいらっしゃいました。
卒業式は、午前10時に開式しますが、それに先立って予科生のみなさんが入場します。
グレーの制服姿。
予科生のみなさんは、受付や案内業務、椅子などのセッティング、
卒業証書の受け渡しなども担当し、お世話になった本科生に感謝の気持ちを込めて、
立派に送り出すんだという思いにあふれていました。
続いて卒業生が入場。
緑の袴に黒の紋付姿です。
男役さんはきっちりとリーゼントに髪をセット、
娘役さんは高い位置でキリリとしたお団子にまとめ、
緑のリボンをつけていらっしゃいました。
晴れやかな表情で入場。
草履にも関わらず、まるで一人が歩いているかのような、ピッタリそろった39人の足音でした。
また来賓紹介では、一斉に身体を来賓の方に向け、
お祝いの言葉に笑顔で心のこもった一礼をされていました。
開式のことばに続いて国家斉唱。
続いて卒業証書授与されます。
首席の光田悠那さんより成績順に、
宝塚音楽学校校歌のピアノ生演奏がゆったり流れる中、
中西達也校長先生より、39名の卒業生一人一人に卒業証書が手渡されます。
名前を呼ばれ「はい」と返事をし、壇上の校長先生の前へ進みます。
この「はい」という返事が、みなさんいいお声です。
2年間の学びをやり通した、自信と達成感に満ちあふれた返事に聞こえました。
自分の席から立ちあがり所定の場所まで歩く、壇上への階段を上り、
卒業証書を受け取り壇上から下りる、そして自分の席に戻り着席するという
一連の流れがみなさん美しく、まるで一つの舞台公演を観ているようでした。
段取りをしっかり把握し、緊張感と責任感をもって美しく行動するということは、
舞台人として歩まれる未来につながっているんだと感じました。
また、卒業証書を受け取る仲間の姿をあたたかく見守る様子も印象的でした。
2年間の出来事を思い出しながら見つめていらっしゃったのでしょうか。
卒業証書を受け取った卒業生は、卒業証書を一旦予科生に託します。
大切な卒業証書を受け取った予科生は、寸分の狂いなくビシッと美しく、
テーブルの上に積み上げ並べていかれました。
続いては、39名の卒業生に卒業証書を手渡された中西達也校長の式辞。
一部抜粋してご紹介します。
舞台人としての一歩を踏み出す上で、あらためて社会人となり、
プロとして舞台に立つということを自覚するとともに、その覚悟を持っていただきたいと思います。
今まで以上に自立すること、変化を恐れず、何事にも挑戦し、
舞台で演ずる姿を通して多くのお客様に勇気、元気、夢や感動をお届けし、
今度はみなさん方が憧れられる存在になることを大いに期待しています。
芸事には厳しく、人には思いやりや尊敬の念を持ち、品格ある舞台人となるよう
今後も一層精進していただきたいと思っております。
同期生と互いに励まし合い、これからの宝塚の舞台の一翼を担えるよう、
111期生として力強く一からスタートし、無限の可能性を信じ挑戦を続け、
新芽のようにまっすぐ成長していってほしいと思います。
環境が大きく変わりますので、体調には十分注意し、初舞台公演、
さらには今後の舞台で輝き大いに活躍されることを願っています。
2年間、111期生のみなさんを見守ってこられた校長先生からのお祝いの言葉でした。
「新芽のように」という言葉は、文化祭のご挨拶の際、光田悠那さんが使われた言葉でしたので、
卒業生のみなさんは「うんうん」とうなずきながら聞いていらっしゃいました。
続いては、村上浩爾理事長祝辞です。
抜粋してご紹介します。
・宝塚の舞台に立ちたいという強い思いで二年間研鑚を積んでこられたみなさんには、
頑張る力を持っているという自信と誇りを持ってほしいと思います。
その思いが、慢心やおごりにならないように、入学式の時の希望に満ちあふれた気持ち、
今日の清々しい気持ちを何度でも思い起こしてください。
・宝塚歌劇団は111年の時を経て変革期にあり、
みなさんが集中して稽古に精進できる環境を整備するために、
今一つ一つ歩みを進めているところです。
良い舞台を作っていくにあたって、みなさんが安心して自分の意見や思いを
発言していけるような環境を整備するために努力を惜しまないようにしようとしています。
・お互いを思いやり、必要な鍛錬を行い、高い目標を乗り越え
素晴らしい舞台を作っていってほしい、輝く舞台人に、尊敬される舞台人になってほしいと
強く願っています。
仲間を信じ、心身の体調管理に気をつけ、素晴らしい舞台人になるために鍛錬を繰り返し、
舞台で大いに活躍されることを願っています。
お祝いの言葉と宝塚歌劇団の取組について伝えられました。
そして、未沙のえる宝友会会長祝辞です。
宝友会というのは、宝塚歌劇団が認める唯一の卒業生の会です。
一部抜粋してご紹介します。
一人一人が、心と身体の健康に気をつけて、常に世の中にアンテナを張り巡らせて、
世間の動きを敏感に感じ取ってください。
自分で考え、自分で見て、自分の足で歩く、それが大事です。
そして何事も本気で取り組んでください。
111年続いた歴史の中で、小林一三先生のお教え、清く正しく美しくとともに、
あらゆる礼儀作法、人を思いやる気持ちを、先輩たちは脈々と受け継ぎ、受け渡してきました。
それをどうぞみなさん、正しく伝えていってください。
それが私たちの願いです。
先輩たちはみなさんのことを応援しています。
宝塚歌劇団の生徒であることの誇りと責任を忘れずに、
悔いのない宝塚人生を送られることを心よりお祈り申し上げます。
39年間在籍された未沙のえるさんは、あたたかく愛情いっぱいに語り掛けられました。
111期生のみなさんはとても勇気づけられたのではないでしょうか。
このあとは表彰です。
『すみれの花咲くころ』のピアノ生演奏に合わせて表彰式が行われます。
まず【小林一三賞】
行い正しく成績最優秀の卒業生に贈られる賞です。
村上理事長より光田悠那さんへ賞状と賞品が授与されました。
行い正しく成績極めて優秀な卒業生に贈られる【校長賞】
中西校長から4名へ、賞状と記念品が授与されました。
【優秀賞】
声楽総合部門、バレエ部門、ピアノ部門、演劇部門など9部門の成績優秀者に贈られます。
良く努力し輝かしい成績をおさめた卒業生に贈られる【奨励賞】
今年は、タップダンス部門と演劇部門の2部門でした。
【特別皆勤賞】
2年間全教科に完全出席を成し遂げた8名に贈られました。
【皆勤賞】
2年間皆勤だった11名に贈られました。
首席の光田悠那さんが表彰されたのは5回!
小林一三賞、モダンダンス部門、タップダンス部門、演劇部門、そして皆勤賞。
5回も表彰される方は、とても珍しいと思います。
昨年卒業され、花組に配属となられた110期生の彩葉ゆめさんの4回も驚きましたが、
さらに多い5回。
素晴らしいですよね✨
予科生代表送辞をつとめたのは第112期生の赤井七海さん。
一部抜粋してご紹介します。
みなさまから教えていただいたすべてを心に刻み、
112年間受け継がれてきた伝統を受け継いでまいります。
わたくしたちの尊敬するみなさまが、宝塚大劇場の舞台で、
夜空に光る星のように輝きつ続けていられますよう心よりお祈り申し上げます。
本科生のみなさまが、わたくしたちと真摯に向き合い作り上げてくださったお時間は、
何事にもかえがたい特別な思い出です。
今まで本当にありがとうございました。
感謝の思いがこみ上げ、感極まった声になられた場面もありました。
そんな予科生からの言葉を受けて、卒業生総代・光田悠那さんによる答辞です。
一部抜粋してご紹介します。
純粋で真っ直ぐな心を持ったいつも明るく元気な同期。
どんなに辛い時も、みんなが夢に向かって輝く姿を見ていると自然と笑顔があふれ、
元気になれました。
これから進む道で悩むことがあっても、二年というみんなで過ごした
幸せがいっぱい詰まった時間を思い出せば、どんな壁も乗り越えていけると思います。
みんなで笑った時間、ぶつかった時間、泣いた時間、励まし合った時間、
すべてが大切な思い出であり、一生の宝物です。
これからも、折れない、めげない、強い心で全力で走り続けましょう。
宝塚の舞台に立つ者としての自覚と誇りを胸に刻み、
小林一三先生の「清く正しく美しく」の教えを守り、宝塚を愛してくださるすべてのお客様に、
舞台から喜びをお届けできる舞台人を目指して精進してまいります。
同期生と過ごした日々と宝塚の舞台にかける熱い思いが盛り込まれていました。
光田さんの答辞が読まれはじめると、涙があふれる卒業生のみなさんと予科生のみなさん。
後輩への優しい呼びかけも印象的でしたし、同期生への思いもあふれていました。
込み上げる思いの中読まれた答辞でした。
宝塚音楽学校の生徒として歌う最後の校歌斉唱。
蛍の光合唱に続いては、セレモニーです。
円形に整列し、卒業生と予科生が一対一で向き合います。
卒業生の前に立っただけで、卒業生よりも涙を流している予科生がいたり、
そんな予科生の涙を笑顔でふいて励ます卒業生がいたり。
感謝の言葉とともに、予科生から卒業生にすみれのブーケが贈呈されました。
言葉では伝えられない思いを眼差しで伝えあっているように見えました。
予科生が作る花道を通り、大きな拍手に送られ、「タカラヅカ行進曲」のピアノ演奏に合わせて、
111期卒業生のみなさんは二年間過ごした学び舎を巣立っていきました。
頬に涙は光っていましたが、晴れやかな笑顔で、
開式前よりも凛とした前を向いたたくましさを感じました。
宝塚音楽学校の生徒である誇りと、夢の舞台に立つ覚悟が見えました。
予科生の声を揃えての「ありがとうございました。」というごあいさつで卒業式は終了。
本科生を見送り、これからは背中を追うのではなく自分たちがしっかりやっていきますという
覚悟が見えました。
卒業式のあとは、すみれの花のブーケを持って、集合写真の撮影が行われました。
卒業式終了後、代表生徒4名によるインタビューがありました。
インタビューに出席されたのは、左から
愛知県名古屋市出身 光田悠那(みつだ・ゆうな) さん
岡山県岡山市出身 三枝友梨乃(みつえだ・ゆりの) さん
兵庫県明石市出身 今井絢音(いまい・あやね)さん
岡山県岡山市出身 南田愛弥(なんだ・まなみ)さん
多くの報道関係者を前に緊張しながらも、一生懸命答えてくださいました。
★卒業式を終えての感想
・光田悠那さん
大好きな学び舎での生活がもう終わってしまうと思うと寂しい気持ちは残りますが、
これから始まる新しい生活への希望で胸がいっぱいです。
思い出の場所は、予科生のころにお掃除を頑張った講堂の舞台裏だそうです。
・三枝友梨乃さん
憧れだった宝塚音楽学校で、厳しくも楽しく芸事を教えていただいて、
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
これからの生活に緊張もありますが、喜びで胸がいっぱいです。
音楽学校沿いの武庫川が大好きだそうです。
・今井絢音さん
音楽学校に入学してからの二年間、本当にたくさんの先生方から教えをいただき、
貴重な経験をさせていただいて感謝の気持ちと喜びが込み上げてきました。
思い出の場所は、入学前から憧れていたピアノ掃除を経験することができたピアノ教室だそうです。
・南田愛弥さん
大好きな先生方や同期に支えていただき、本日無事に卒業生を迎えることができて、
とてもうれしい気持ちでいっぱいです。
支えてくださったすべての方々に恩返しができるよう、これからも精一杯精進してまいります。
桜が満開の花のみちが大好きだそうです。
★音楽学校で過ごされた2年間はどんな時間でしたか?
・光田悠那 さん
大変なこともたくさんありましたが、これから始まる新しい道での同期全員の活躍を願って
これからも頑張ります。
光田さんの憧れは彩風咲奈さん。
華やかでエネルギーあふれる男役を目指していらっしゃいます。
・三枝友梨乃さん
憧れの音楽学校に入って、学ぶことがとても多く、
自分自身とても成長した二年間だと思っています。
大切な同期とともにこれからも頑張っていきたいという気持ちです。
三枝さんの憧れは暁千星さん。
華やかでいつも全力な男役を目指していらっしゃいます。
・今井絢音さん
同期とともに毎日笑い泣き努力したこの二年間は、私の宝物です。
この二年間の学びを忘れずにこれからも精進してまいりたいと思います。
今井さんの憧れは星風まどかさん。
いつも笑顔がステキで品のある娘役を目指していらっしゃいます。
・南田愛弥さん
大好きな先生方や同期など、たくさんの方々に巡り会えた本当にステキな二年間でした。
たくさんの芸事を学ばせていただき本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
南田さんの憧れは実咲凛音さん。
どんな時も初心を忘れず、素直な心を持った娘役を目指していらっしゃいます。
★どんな舞台人になりたいですか?
・光田悠那さん
宝塚を愛してくださるすべてのお客様に夢と希望を与えらえる舞台人を目指します。
・三枝友梨乃さん
先日文化祭を終えて、お客様の前で舞台をすることの喜びと大変さをあらためて感じました。
もっともっとお客様に笑顔をお届けできるような舞台人になりたいです。
・今井絢音さん
わたくしが宝塚に憧れてきたように、わたくしたちの舞台を観て憧れてくださる
お客様一人一人に愛や夢をお届けできるような舞台人になりたいです。
・南田愛弥さん
受験生の頃に憧れた先輩方のようにわたくしもより多くの方から憧れられるような
存在になれるよう、これから精進してまいりたいと思います。
卒業式のあと入団式にのぞんだ111期生のみなさん。
芸名も発表されました。
初舞台は、4月19日から6月1日まで宝塚大劇場で上演される星組公演
『阿修羅城の瞳』『エスペラント!』です。
口上日程も発表されましたね!
111期生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
初舞台を楽しみにしています