宝塚大劇場月組公演ミュージカル『GUYS AND DOLLS』

樽井美帆です

 

月組公演 ミュージカル『GUYS AND DOLLS』が、

宝塚大劇場にて7月26日(土)から9月7日(日)まで上演されています。

 

 

ミュージカル『GUYS AND DOLLS』
脚色・演出・訳詞/稲葉太地

 

ブロードウェイで最も陽気なミュージカル・コメディの一つとして絶大な人気を誇る

「GUYS AND DOLLS」。

宝塚歌劇では、1984年に月組の大地真央さん・黒木瞳さんにより初演、

2002年に月組の紫吹淳さん・映美くららさん、

2015年に星組の北翔海莉さん・妃海風さんにより再演されました。

今回の鳳月杏さんと天紫珠李さんを中心とした月組公演は、

2025年版の新たな上演台本、訳詞、演出で上演されています。

 

公演のタイトルが、これまでのカタカナ表記から英語表記に。

ミュージカルナンバーも、タイトルと歌詞が新しくなっています。

例えば、スカイとサラのナンバー、『はじめての恋』は『初めての想い』、

『古いカオの老舗』は『信頼と実績の男』。

タイトルは変わらず歌詞だけが変わっているものもあります。

 

 

舞台は、活気溢れる1948年頃のニューヨーク。

超大物ギャンブラーのスカイ(鳳月杏さん)は、ラスヴェガスで大金を儲けて

意気揚々と戻ってきました。

そこへ昔馴染みのネイサン(風間柚乃さん)から賭けを申し込まれます。

クラップゲーム主催者であるネイサンは、

14年間婚約したままのアデレイド(彩みちるさん・彩海せらさん 役替わり)をそっちのけに、

クラップゲームの主催に夢中なのですが、賭場代を工面できず困っていたのです。

ネイサンがスカイから賭場代を得るために思いついた賭けの内容は、

「指名された女を口説き落とし、ハバナへ連れていけるかどうか」というもの。

プレイボーイを自認するスカイは余裕たっぷりにこの賭けに乗りますが、すぐに後悔します。

使命された女は、お堅いことで有名な救世軍の軍曹サラ(天紫珠李さん)だったのです。

賭けの結果は、そして、スカイとサラの恋の行方は・・・

 

 

開演前、舞台には『GUYS AND DOLLS』という文字がピンク色とブルーに輝いています✨

プログラムの色合いに似ているので、今回のイメージカラーなのでしょうか。

 

1948年頃のニューヨークの夜の街並みにワクワクしながら開演を待ちます。

ミラーボールが輝き、まるでショーの開演のような華やかなオープニング。

おなじみのナンバー『GUYS AND DOLLS』が演奏されます。

SAXアンサンブルの音色がカッコイイ!

どんどんテンションが上がります。

 

ブロードウェイを行き交う人々の中、ブラックのスーツ、ソフト帽を手にした

スカイ・マスターソン、鳳月杏さんが軽やかに登場。

大人の余裕を感じます。

救世軍の赤い制服を着たサラ・ブラウン、天紫珠李さん。

グレーのスーツのネイサン・デトロイト、風間柚乃さん。

水玉模様の入った白い衣装のミス・アデレイド、彩みちるさんも登場。

スーツ姿の男役さんも登場し、ドタバタと物語が始まっていきます。

 

やっぱり宝塚歌劇の男役さんのスーツはいいですね😍

この公演では、思いっきり堪能できますよ!

 

鳳月杏さんが演じるのは、スカイ・マスターソン。

ギャンブラーです。

 

自然体で、存在自体が男役の美学🤩

人生経験豊富で、自由な遊び人という印象を私は受けました。

近づいたらダメな人と分かっているのに、気づいたら近づいてしまっているカッコ良さ。

もう理屈ではないカッコ良さです。

 

細身のスーツの着こなしにムダがありません。

スッキリ美しい背中。

帽子を持つ手も自然で、まるで帽子が手に吸い付いているかのようです。

胸元に帽子を持つ仕草がステキ✨

まるで帽子が相棒化しているようです。

 

大人の余裕と、押しつけがましくないさりげなさが魅力的。

相手に深入りしないサラリとした人間関係を築いているからこそ、

サラやネイサンも一緒にいて居心地が良いんだろうなと感じる

みんなから愛されている鳳月さんのスカイ。

 

ネイサンとの賭けのために、スカイは救世軍の伝道所へ。

突っかかるサラに対して、余裕の目線と顎の角度。

声もとても心地いい鳳月さん演じるスカイですが、

サラに好印象を持ってもらえるよう、爽やかな話し方と声も変えているのもステキ。

 

サラと会話をする時、目線を合わそうと少し首をかしげるのも魅力的。

瞳の奥に優しさを感じます。

 

ハバナで酔ったサラと騒ぎから脱出する際、

急いでサラの帽子やカバンを持ち、手を引く姿など、

大人の余裕を見せていたクールなスカイが

サラに振り回される様子はとても微笑ましいですよね😊

あきれ顔のスカイもステキです。

スカイとサラの心の距離が縮まっていく過程は、この作品のときめきポイントですよね😍

 

天紫珠李さんは、お堅いことで有名な救世軍の軍曹サラ・ブラウン。

真っ直ぐに、まじめに生きてきたことがキビキビとした動きに表れています。

白い手袋でタンバリンを叩く仕草も上品でキビキビと。

自分が正しいと思っていることを人に押し付ける、その押し付け感が最高です。

 

ハバナで酔った時、普段はすべて完璧なのに、少しずつ気にかけることがゆるんでいきます。

例えば、いつもは背筋を伸ばしてビシッと座っているのに前かがみになったり、

足の力が抜けてデレッとなったり。

千鳥足もかわいい天紫さんのサラ。

いつものお堅さからの変貌ぶり、そのギャップにスカイも惹かれたことに納得です。

上目づかいでスカイの目をのぞきこんだり、ふくれっ面もかわいいです。

 

スカイとサラの凸凹感が、見事にはまっている鳳月さんと天紫さんだなと感じます。

 

月組『GUYS AND DOLLS』2

 

クラップゲームの主催者ネイサン・デトロイトは風間柚乃さん。

登場された瞬間から、みんなから愛されてるいい人なんだろうな、

そして何か巻き起こしてくれそうな予感と期待を持ってしまう風間さんのネイサン。

 

口元のちょび髭が自然で可愛らしく愛嬌があります。

ギャンブルがやめられなくて、14年間もアデレイドと婚約したまま。

ダメダメなのにこんなにも愛すべき人として成立させてしまう風間さんのお芝居は、

とにかく表情が豊かですね。

 

歩き方や、膝の開き方がまさにギャンブラー。

アデレイドに対しては強く接することができないネイサン。

いつもアデレイドに振り回されていますが、その振り回され方が愛おしいです。

 

歌がキレキレなのも風間さん演じるネイサンの愛おしいギャップですね。

 

月組『GUYS AND DOLLS』1

 

この公演で退団される彩みちるさんは、ミス・アデレイド。

CLUB HOT BOXの踊り子、ネイサンと14年間婚約したままの間柄です。

今回のミス・アデレイド役は、彩みちるさんと彩海せらさんの役替わりですが、

通し舞台稽古では彩みちるさんが演じられました。

 

可愛くてキュートで清潔感がある彩さんのアデレイドですが、

時々ドスをきかせたり、にらみをきかせたり!

プリプリ怒る姿もかわいいです。

14年間の婚約生活に疲れをにじませていて、同情し応援したくなります。

 

踊り子としての華やかさがあり、笑った時のキレイな三日月型の目がチャーミング。

手の仕草も可愛らしい彩さんのアデレイド。

 

オレンジ色の衣装で歌うナンバー。

見事に息を操り、パンチがある声やだみ声も盛り込んで、かわいく歌いあげられます。

 

本当に楽しそうに舞台に息づいていている彩さんのアデレイドは、

見ていて笑顔になれますね。

 

愛してはいけない人を愛してしまったという同じ悩みを抱えるサラとアデレイド。

励まし合い語り合う強くてかわいい二人が最高です✨

 

月組『GUYS AND DOLLS』3

 

ネイサンの仲間ナイスリー・ナイスリー・ジョンソンの礼華はるさん。

明るい歌声が印象的。

物語の最初にも、明るい歌声を響かせます。

二幕のナンバー「座れ、舟が揺れる」は、これまではスカイからのスタートでしたが、

今回はナイスリーから歌い始めるオリジナルの演出となっています。

 

への字の口がとても愛らしく、ちょっと間の抜けた返事や愛嬌ある表情が、

大きな弟キャラ、愛されキャラの礼華さんのナイスリー。

 

「調子はどう?」と聞かれ、「ナイスナイスナイスリー!」と答えてスベル

礼華さんのナイスリー🤣

礼華さんのスベルお芝居お見事です!

 

ギャンブラーの一人、瑠皇りあさん演じるラスティ・チャーリーは、

目力と色気と可愛らしさが絶妙です。

 

英かおとさん演じるシカゴのギャンブラー、ビッグ・ジュール。

歴代のビッグ・ジュールとは印象がかなり違うように感じました。

ピンク色のスーツを着こなす、わがままでかわいいギャンブラー。

サイコロを投げる姿がかっこいいです。

 

救世軍の一員でサラの後見人、アーヴァイド・アバナシーは、

専科の悠真倫さん。

舞台に出てこられるだけで癒しの存在ですね。

優しくあたたかい眼差しで、サラの気持ちに寄り添って歌われる歌は感動的です。

 

倉庫の持ち主ジョーイ・ビルトモア、大楠てらさん。

ネイサンと電話している姿が、悪くて怖くて迫力満点!

その横で、真っ直ぐ前を向いて立っているギャンブラー・天つ風朱李さん。

足が長くてキレイです。

お二人の並びが何とも言えない空気感を出していて惹きつけられました。

 

デリ・スタンドの男を演じていらっしゃる桜之真緒さんが、私の目に飛び込んできました🤩

キラキラの笑顔と豊かな表情がとても可愛らしくて、

毎日通いたいデリ・スタンドだなと思いました。

 

ハバナの場面は客席降りがあります。

客席から登場した水玉の衣装のみなさんが、元気に華やかに踊り、

客席の私たちもハバナに来たという雰囲気が味わえます。

スカイとサラも客席から登場。

「えっ、いつの間に?」という感じで二人の距離が縮まって、

スカイがサラの手を引っ張って銀橋を歩く様子にドキドキ😍

たくさん恋をしてきたであろうスカイが、

優しく楽しそうにサラをエスコートする姿が本当にステキです。

鳳月さんのスカイは、手だけでなく眼差しでもエスコートされていますよね🤩

 

ダンスで表現されるクラップゲーム。

スーツさばきや帽子の使い方がとてもかっこよく、

宝塚歌劇の男役さんのスーツ姿は最高だなとあらためて感動します。

 

真夜中の伝道所へ集まったギャンブラーたち。

座り方にもそれぞれに個性があり微笑ましいです。

ギャンブラーと救世軍が一緒にり歌い踊るナンバー「座れ、舟が揺れる」。

椅子を小道具に使っての歌とダンス。

曲の最後には、見事に元の位置に椅子が戻り、元の位置にみんなが座っていて、

圧巻のナンバーです。

 

ネイサンとアデレイドの結婚を祝い、ラジオシティミュージックホールから

ロケッツのメンバーが登場!

ミュージカルの登場人物たちが舞台にいながら、

フィナーレに突入する演出が斬新です。

 

月組『GUYS AND DOLLS』4

 

ハートとダイヤの豪華な飾りがついたゴールドの衣装の鳳月さんが、

同じくハートとダイヤの飾りが付いた衣装のドールたちに囲まれて大階段で踊ります。

彩みちるさん、彩海せらさんと踊ったり、この公演で退団する白雪さち花さんと踊ったり。

とてもあたたかい眼差しでエスコートする鳳月さん。

 

月組『GUYS AND DOLLS』5

 

鳳月さんを中心に白いスーツの男役さんが踊る場面。

最後は銀橋にずらりと並び、サイコロを投げるポーズを華麗に決めます!

 

スカイとサラに戻ってのトップコンビのデュエットダンスは、

伸びやかで美しいダンス。

サラが、つないだ手を愛おしそうに見つめるのが印象的。

 

鳳月さん以外のみなさんは、役の衣装を着用してのパレード。

役替わりですが、パレードは毎回二人のアデレイドが登場するのも印象的です。

 

終演後、オーケストラのみなさんによる演奏があります。

客席とオーケストラの方々が一つになって盛り上がり、素晴らしい舞台を振り返りながら

笑顔で劇場をあとにできますよ😊

 

宝塚大劇場で9月7日(日)まで上演されています。

東京宝塚劇場では、10月4日(土)から11月16日(日)まで上演されます。